論衡 / 『論衡』譴告篇第四十二・誤りを増幅せず、調律し直す
鼓瑟者誤於張弦設柱、宮商易聲、其師知之、易其弦而復移其柱。夫天之見刑賞之誤、猶瑟師之睹弦柱之非也。不更變氣以悟人君、反增其氣以渥其惡、則天無心意、苟隨人君為誤、非也。
新字:鼓瑟者誤於張弦設柱、宮商易声、其師知之、易其弦而復移其柱。夫天之見刑賞之誤、猶瑟師之睹弦柱之非也。不更変気以悟人君、反增其気以渥其悪、則天無心意、苟随人君為誤、非也。
書き下し
瑟を鼓する者、弦を張り柱を設くるに誤り、宮商声を易うれば、其の師之を知り、其の弦を易えて復た其の柱を移す。夫れ天の刑賞の誤りを見るは、猶お瑟師の弦柱の非を睹るがごときなり。気を更変して以て人君を悟らさず、反って其の気を増して以て其の悪を渥くせば、則ち天は心意無く、苟くも人君に随いて誤りを為すこと、非なり。
現代語訳
瑟を弾く人が、弦を張り柱を立てるときに誤り、音の調子が狂ったとします。その師匠はそれに気づき、弦を取り替えて柱を動かし直します。天が刑罰や賞の誤りに気づくのも、瑟の師匠が弦や柱の誤りに気づくのと同じはずです。ところが、気候を変えて君主を悟らせることをせず、かえってその気候を強めて君主の悪を厚くするというなら、天には心がなく、いい加減に君主に従って誤りを重ねることになり、それは正しくありません。
解説
譴告篇は、天災異変は天が君主を戒める警告だとする説を批判する篇です。王充は、調子外れの瑟を直す師匠にたとえます。本当に警告するなら誤りを正す方向に働きかけるはずなのに、刑罰を誤れば同じ寒さを、賞を誤れば同じ暖かさを重ねるだけで、誤りに同調して増幅しているのではないかと突きます。ここから、本当の指導とは相手の誤りに同調せず、正す方向を示すことだと読めます。現代の管理職も、部下の失敗に感情で追い打ちをかけたり、迎合して見過ごしたりしていないか、フィードバックのあり方を見直す手がかりになります。

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譴告瑟調律フィードバック誤り天人
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