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論衡 / 『論衡』寒溫篇第四十一・通説を事実に照らす

六國之時、秦、漢之際、諸侯相伐、兵革滿道。國有相攻之怒、將有相勝之志、夫有相殺之氣、當時天下未必常寒也;太平之世、唐、虞之時、政得民安、人君常喜、弦歌鼓舞、比屋而有、當時天下未必常溫也。豈喜怒之氣為小發、不為大動邪?何其不與行事相中得也!

新字:六国之時、秦、漢之際、諸侯相伐、兵革満道。国有相攻之怒、将有相勝之志、夫有相殺之気、当時天下未必常寒也;太平之世、唐、虞之時、政得民安、人君常喜、弦歌鼓舞、比屋而有、当時天下未必常温也。豈喜怒之気為小発、不為大動邪?何其不与行事相中得也!

書き下し

六国の時、秦・漢の際、諸侯相伐ち、兵革道に満つ。国に相攻むるの怒り有り、将に相勝つの志有り、夫に相殺すの気有るも、当時の天下は未だ必ずしも常に寒からざるなり。太平の世、唐・虞の時、政は得られて民安んじ、人君は常に喜び、弦歌鼓舞は屋を比べて有るも、当時の天下は未だ必ずしも常に温かからざるなり。豈に喜怒の気は小に発して、大には動かざるや。何ぞ其の行事と相中得ざるや。

現代語訳

戦国の世から秦・漢の交代期にかけて、諸侯は攻め合い、武器が道にあふれました。国には攻め合う怒りがあり、将には勝とうとする意志があり、兵士には殺し合う気があったのに、当時の天下がいつも寒かったとは限りません。太平の世である堯・舜の時代には、政治がよく行われて民は安らぎ、君主はいつも喜び、琴や歌や舞が家々に絶えなかったのに、当時の天下がいつも暖かかったとは限りません。喜怒の気は、小さくは発しても大きくは動かない、というのでしょうか。どうして実際の出来事とこうも合わないのでしょう。

解説

寒溫篇は、君主が喜べば暖かく、怒れば寒くなる、という当時の通説を検証する篇です。王充は、戦乱の世には国々の怒りと殺気が満ちていたはずなのに天下がいつも寒かったわけではなく、太平の世に君主が喜び続けたはずでもいつも暖かかったわけではないと、史実に照らして突き合わせます。もっともらしい説も、実例に当てはめると食い違うことがある、という実証の姿勢です。現代でも、リーダーの気分が組織の業績を決める、といった通説に出会ったとき、事実で確かめる態度が役立ちます。
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この章句が説くこと

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