司馬法 / 天子之義
賞不踰時,欲民速得為善之利也。罰不遷列,欲民速覩為不善之害也。
書き下し
賞は時を踰(こ)えず、民をして速やかに善を為すの利を得しめんと欲すればなり。罰は列を遷(うつ)さず、民をして速やかに不善を為すの害を覩(み)しめんと欲すればなり。
現代語訳
賞は機を逃さずすぐに与える、それは人々に善行の利益を速やかに実感させたいからである。罰はその場を離さずすぐに科す、それは人々に不善の害を速やかに知らしめたいからである。
解説
賞は機を逃さずすぐに与え、罰もその場を離れずすぐに科す、それは人々に善行の利益と不善の害を速やかに実感させるためだという実務的な教えである。良いことをしても後になってから評価されたのでは、行いと結果の結びつきが見えにくくなり、次の行動につながらない。仕事の評価やしつけの場面でも、良し悪しへの反応を先延ばしにしないことが、人の学びと納得を支えるという示唆を含む。
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呂氏春秋・義賞①春氣至れば則ち草木産し、秋氣至れば則ち草木落つ。産と落とは之を使しむるもの或り。自ら然るに非ざるなり。故に之を使しむる者至れば、物為さざる無く、之を使しむる者至らざれば、物為す可き無し。古の人、其の使しむる所以を審らかにす、故に物、用を為さざる莫し。賞罰の柄、此れ上の使しむる所以なり。其の以て加うる所の者義なれば、則ち忠信親愛の道彰わる。久しく彰われて愈々長ずれば、民の之に安んずること性の若し。此を之れ教成ると謂う。教成れば則ち厚賞嚴威有りと雖も禁ずること能わず。故に善く教うる者は、義以て賞罰して教成り、教成りて賞罰禁ずること能わず。賞罰を用いて當らざるも亦た然り。姦偽賊亂貪戻の道興り、久しく興りて息まざれば、民の之を讎うること性の若し。戎夷胡貉巴越の民は、是を以て厚賞嚴罰有りと雖も、禁ずること能わず。郢人の兩版を以て垣するや、吳起之を變じて惡まる。賞罰易れば民安くんぞ樂しまん。氐羌の民、其れ虜となるや、其の係纍を憂えずして、其の死するに焚かれざるを憂うるは、皆、邪に成り、且つ成りて民を賊う。故に賞罰の加うる所は、慎まざる可からず。
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