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論衡 / 『論衡』狀留篇第四十・急流で動かない大きな石

是故湍瀨之流、沙石轉而大石不移。何者?大石重而沙石輕也。沙石轉積於大石之上、大石沒而不見。賢儒俗吏、并在世俗、有似於此。遇暗長吏、轉移俗吏超在賢儒之上、賢儒處下、受馳走之使、至或岩居穴處、沒身不見。咎在長吏不能知賢、而賢者道大、力劣不能拔舉之故也。

新字:是故湍瀨之流、沙石転而大石不移。何者?大石重而沙石軽也。沙石転積於大石之上、大石没而不見。賢儒俗吏、并在世俗、有似於此。遇暗長吏、転移俗吏超在賢儒之上、賢儒処下、受馳走之使、至或岩居穴処、没身不見。咎在長吏不能知賢、而賢者道大、力劣不能抜舉之故也。

書き下し

是の故に湍瀬の流れ、沙石は転ずるも大石は移らず。何となれば、大石は重くして沙石は軽ければなり。沙石は転積して大石の上に至り、大石は没して見えず。賢儒と俗吏、并びに世俗に在りて、此に似たる有り。暗き長吏に遇えば、転じて俗吏を移して賢儒の上に超在せしめ、賢儒は下に処りて馳走の使いを受け、至りては或いは岩居穴処して、身を没するまで見えず。咎は長吏の賢を知る能わず、而して賢者は道大にして、力劣れば拔挙する能わざるの故に在るなり。

現代語訳

急流の瀬では、砂や小石は転がされても、大きな石は動きません。大石は重く、砂や小石は軽いからです。転がった砂や小石は大石の上に積もり、大石は埋もれて見えなくなります。賢い儒者と俗吏が世の中にいる姿は、これに似ています。物事に暗い上司に当たると、俗吏が引き上げられて賢儒の上に立ち、賢儒は下に置かれて使い走りをさせられ、ついには岩穴に隠れ住んで生涯世に出られない者もいます。咎は、上司が賢者を見抜けないことにあります。そして賢者の道は大きく、上司の力が足りないので引き上げられないからでもあります。

解説

状留篇は、賢者がなぜ出世が遅いのかを論じる篇です。王充は、急流では軽い砂や小石が転がるのに、重い大石は動かず、やがて砂に埋もれて見えなくなると述べ、これを賢儒と俗吏にたとえます。実力のある人ほど抱えるものが重く、すぐには動かない、動かせる力のある上司がいなければ埋もれる、という見方です。現代でも、軽快に動く人が目立ち、じっくり積み上げる人が後回しにされることがあります。動きの速さと価値の重さを混同していないか、評価する側が自らに問い直す手がかりになります。
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この章句が説くこと

賢儒俗吏大石評価人材埋もれる

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