論衡 / 『論衡』命祿篇第三・成功を才能だけで語る誤り
世之論事者以才高當為將相、能下者宜為農商、見智能之士官位不至、怪而訾之曰:「是必毀於行操。」行操之士亦怪毀之曰:「是必乏於才知。」殊不知才知行操雖高、官位富祿有命。才智之人、以吉盛時舉事而福至、人謂才智明審;凶哀禍來、謂愚暗。不知吉凶之命、盛衰之祿也。
新字:世之論事者以才高当為将相、能下者宜為農商、見智能之士官位不至、怪而訾之曰:「是必毀於行操。」行操之士亦怪毀之曰:「是必乏於才知。」殊不知才知行操雖高、官位富禄有命。才智之人、以吉盛時舉事而福至、人謂才智明審;凶哀禍来、謂愚暗。不知吉凶之命、盛衰之禄也。
書き下し
世の事を論ずる者は、才高ければ当に将相と為るべく、能下き者は宜しく農商と為るべしと以い、智能の士の官位の至らざるを見れば、怪しみてこれを訾りて曰く、「是れ必ず行操に毀有らん」と。行操の士も亦た怪しみてこれを毀りて曰く、「是れ必ず才知に乏しからん」と。殊に知らず、才知行操高しと雖も、官位富祿には命有るを。才智の人、吉盛の時を以て事を挙げて福至れば、人は才智明審なりと謂い、凶哀にして禍来たれば、愚暗なりと謂う。吉凶の命、盛衰の祿を知らざるなり。
現代語訳
世の中で物事を論じる人は、才能が高ければ将軍や宰相になるべきで、能力が低ければ農民や商人になるのが相応しいと考えます。知恵と能力のある人が高い官位に至らないと、不審に思ってけなし、「きっと行いに欠点があるのだ」と言います。行いの優れた人が高位に就かない時も、不審に思ってけなし、「きっと才知が乏しいのだ」と言います。才知や行いが高くても、官位や富には命があることを、まったく知らないのです。才知のある人が運の良い盛んな時に事を起こして福が来れば、人は才知が明らかで緻密だと言い、不運で衰えた時に禍が来れば、愚かで暗いと言います。吉凶の命、盛衰の祿があることを知らないのです。
解説

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