導師導古典を学びたいすべての人に

論語と算盤 / 算盤と権利・金門公園の掛札

こ〻で時の大統領ルーズヴエルト氏に謁見することが出来た、其他にもハリマン、ロツクフエラー、スチルマン抔の亜米利加で有名なる人々にも面会した、初めルーズヴエルト氏に面会した時に、ル氏は頻りに日本の軍隊と美術とに就て賞讃の辞を与へられた、日本の兵は勇敢にして軍略に富み、且つ仁愛の情に深く、節制ありて極めて廉潔である、それは北清事件の時に、亜米利加の軍隊が行動を共にしたに依りて、日本の軍隊の善良なるを見て敬服したといふことであつた、また美術も欧米人が如何に羨望しても、企て及ばざる一種の妙味を有つて居ると言つて賞めた、

書き下し

ここで時の大統領ルーズヴェルト氏に謁見することが出来た。そのほかにもハリマン、ロックフェラー、スチルマンなどのアメリカで有名なる人々にも面会した。初めルーズヴェルト氏に面会した時に、ル氏はしきりに日本の軍隊と美術とについて賞讃の辞を与えられた。日本の兵は勇敢にして軍略に富み、かつ仁愛の情に深く、節制ありて極めて廉潔である。それは北清事件の時に、アメリカの軍隊が行動を共にしたによりて、日本の軍隊の善良なるを見て敬服したということであった。また美術も欧米人がいかに羨望しても、企て及ばざる一種の妙味を持っていると言って褒めた。

現代語訳

ここで、時の大統領ルーズベルト氏に謁見することができた。そのほかにも、ハリマン、ロックフェラー、スティルマンなど、アメリカで有名な人々にも面会した。初めてルーズベルト氏に会ったとき、氏はしきりに日本の軍隊と美術について賞賛の言葉をかけられた。日本の兵は勇敢で軍略に富み、しかも仁愛の情が深く、規律があってきわめて清廉である。それは北清事変(義和団事件)のときにアメリカの軍隊が行動を共にし、日本の軍隊の優れていることを見て敬服したのだ、ということであった。また美術についても、欧米人がどれほどうらやんでも及ばない一種の妙味を持っていると言って褒めた。

解説

明治三十五年の渡米で、渋沢はセオドア・ルーズベルト大統領に会い、鉄道王ハリマン、石油王ロックフェラー、銀行家スティルマンら、当時のアメリカ財界の中心人物とも面会した。日本の一民間人としては異例の顔ぶれである。大統領が褒めたのは軍隊と美術であった。北清事変では日本軍が列国の連合軍の主力として戦い、その規律が欧米で評価されていた。美術は万国博覧会などを通じて欧米に知られ、ジャポニスムの流行を生んでいた。どちらも当時の日本が国際的に認められていた分野である。しかし実業の人である渋沢にとって、そこに商工業が入っていないことは見過ごせなかった。この賛辞が、渋沢の有名な応答を引き出すことになる。相手が自分たちの何を評価しているかを知ることは、何が評価されていないかを知ることでもある。

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る