論語 / 為政篇
子曰、君子不器。
書き下し
子曰く、「君子は器ならず。」
現代語訳
君子は一つの道具のように限られた役割しか果たせない者ではない。
解説
孔子は「君子は器のような存在ではない」と言いました。器とは、ある決まった用途にしか使えない道具のことです。人格の整った立派な人は、一つの技だけに秀でて満足するのではなく、様々な場面に応じて力を発揮できる、広い器量を持つべきだという教えです。これは仕事の場面に限りません。家庭でも地域の集まりでも、一つの役割しかできない人より、台所も手伝えば話も聞けるし、力仕事もこなせるという人の方が頼りにされます。自分の得意なことに閉じこもらず、必要とされればどんな役割にも応じられる幅の広さを持つこと。それが、周りから信頼される人の条件です。
この章句が説くこと
君子多才柔軟
関連する章句
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『五常訓』巻之四・義一子曰く、君子の天下に於けるや、適も無く、莫も無し、義と之れ与に比ふ。君子は天下一切のことにおいて、専らに主としてすべき事も無く、又すべからざる事もなし。是万の事、善悪一定せず、唯時の宜しき道にしたがふべし。一事を以ていはば、世に出でて必仕ふるを専らにせず、是無適なり。仕へまじき時は仕へずして、世をのがるべし。又必仕へざるを以てむねとせず。是無莫なり。仕ふべき時は仕へて、道を行ふべし。然れば、仕ふるも仕へざるも、唯義とともにしたがふべし。仕へて宜しき時は仕へ、仕ふまじき時は仕へず。是義にしたがふなり。たとへば道を行くに、早きがよしといふは適なり。早きを悪しきとするは莫なり。早く行きてよき時は早く、しづかに行きてよき時はしづかなるは、義とともにしたがふ也。人に物を与へんと定むるは適なり。与へまじきと定むるは莫なり。与ふべき時は与へ、与ふまじき時は与へず。是義とともにしたがふなり。万のこと、皆是を以ておして知るべし。義は事の主なり。万事の善悪一定せず、唯義にまかせて行ふべし。是善なり。
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荀子・哀公篇哀公曰く、善し。敢えて問う、何如なれば斯ち之を君子と謂うべきか、と。孔子対えて曰く、所謂る君子なる者は、言は忠信にして心に徳とせず、仁義身に在りて色に伐(ほこ)らず、思慮明通にして辞は争わず。故に猶然として将に及ぶべきが如き者は、君子なり、と。
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論語・学而篇子曰く、「君子重からざれば則ち威あらず、学べば則ち固ならず。忠信を主とし、己に如かざる者を友とすること無かれ、過てば則ち改むるに憚ること勿かれ。」
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論語・学而篇子曰く、「君子は食らうに飽くことを求めず、居るに安きを求めず、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正す。学を好むと謂う可きのみ。」
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論語・顔淵篇司馬牛、君子を問う。子曰く、「君子は憂えず懼れず。」曰く、「憂えず懼れざれば、斯れ之を君子と謂うか。」子曰く、「内に省みて疚しからずんば、夫れ何をか憂え何をか懼れん。」
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論語・憲問篇子曰く、君子にして不仁なる者有るかな。未だ小人にして仁なる者有らざるなり。
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