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驢鞍橋 / 卷中

去る夜棒喝の僉議の次、師僧に問ふ、經文を以て棒喝の意を働き吊へと云はは何と吊はんや。衆無語。師不圖聲を勵して云はく、摩訶般若波羅蜜多と吊はんずと也

新字:去る夜棒喝の僉議の次、師僧に問ふ、経文を以て棒喝の意を働き吊へと云はは何と吊はんや。衆無語。師不図声を励して云はく、摩訶般若波羅蜜多と吊はんずと也

書き下し

去る夜棒喝の僉議の次、師僧に問ふ、経文を以て棒喝の意を働き吊へと云はは何と吊はんや。衆無語。師不図声を励して云はく、摩訶般若波羅蜜多と吊はんずと也

現代語訳

ある夜、棒喝について吟味していたついでに、師が僧に問うた。「経文をもって棒喝の意を働かせて弔えと言われたら、どう弔うか」。衆は答えがなかった。師は不意に声を張り上げて言われた。「摩訶般若波羅蜜多と弔おう」と。

解説

棒喝は、禅僧が打ったり叫んだりすることで、弟子の迷いを一瞬で断ち切る手段である。正三は、経文で同じ働きをするならどうするかと問い、答えられない弟子たちの前で「摩訶般若波羅蜜多」と大声で唱えてみせた。経文も、意味をなぞる読み物ではなく、気迫をこめて発すれば迷いを打ち砕く一喝になるということである。惰性で唱える経には、この働きはない。決まりきった言葉も、込める気合いしだいで人を動かす力に変わる。

この章句が説くこと

棒喝読経気迫弔い般若一喝

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