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驢鞍橋 / 卷上

一日老婆二三人來り、法要を問ふ。師我何にても敎ふべき事を知らずと也。良有りて不圖云ふ、しぬずよしぬずよ死ぬ事を忘れずして、念佛申しめされよと也。

新字:一日老婆二三人来り、法要を問ふ。師我何にても教ふべき事を知らずと也。良有りて不図云ふ、しぬずよしぬずよ死ぬ事を忘れずして、念仏申しめされよと也。

書き下し

一日老婆二三人来り、法要を問ふ。師我何にても教ふべき事を知らずと也。良有りて不図云ふ、しぬずよしぬずよ死ぬ事を忘れずして、念仏申しめされよと也。

現代語訳

ある日、老婆が二、三人来て、法の要を尋ねた。師は、私は何も教えるべきことを知らない、と言われた。しばらくして、ふと言われた。死ぬぞよ、死ぬぞよ。死ぬことを忘れずに、念仏を申しなさい、と。

解説

教えを請いに来た老婆たちに、正三は、教えることなど何もないと言い、しばらくして、死ぬぞよ、死ぬことを忘れずに念仏せよ、とだけ告げた。難しい教義を並べるより、相手の年齢や立場に最もふさわしい一言を選んでいる。長く生きた人に必要なのは知識ではなく、残された日々を切実に生きる心構えだからだ。相手に応じて、最も短く核心を突く言葉を選ぶ指導者の見本となる条である。

この章句が説くこと

一言念仏死を忘れず老婆核心応機

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