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驢鞍橋 / 卷中

問ふ、債を償ふに錢は少しなるに、經は多卷にて還すあり。又錢は大分なるに、經は少しにて還すあり。是れ何の道理なりや。師云はく、大分なり共、善根に用ひたると、又小分なり共、不義に費ひしたるとの替りなるべしと也。因に示して云はく、必す世の吝か費を厭ふへし。扨て又凡夫の費と云ふ事知る迄に不及者は、しわひが能き人の中也。

新字:問ふ、債を償ふに銭は少しなるに、経は多巻にて還すあり。又銭は大分なるに、経は少しにて還すあり。是れ何の道理なりや。師云はく、大分なり共、善根に用ひたると、又小分なり共、不義に費ひしたるとの替りなるべしと也。因に示して云はく、必す世の吝か費を厭ふへし。扨て又凡夫の費と云ふ事知る迄に不及者は、しわひが能き人の中也。

書き下し

問ふ、債を償ふに銭は少しなるに、経は多巻にて還すあり。又銭は大分なるに、経は少しにて還すあり。是れ何の道理なりや。師云はく、大分なり共、善根に用ひたると、又小分なり共、不義に費ひしたるとの替りなるべしと也。因に示して云はく、必す世の吝か費を厭ふへし。扨て又凡夫の費と云ふ事知る迄に不及者は、しわひが能き人の中也。

現代語訳

問う。借りを償うのに、銭は少しなのに経は多くの巻数で返すものがある。また銭は多いのに、経は少しで返すものがある。これはどういう道理か。師が言われた。多額であっても善根のために用いたのと、少額であっても不義のために費やしたのとの違いであろう、と。ついでに示して言われた。必ず世の中の吝嗇(けち)と浪費とを嫌うべきである。さて、凡夫の浪費ということを知るまでに至らない者は、しわい(締まり屋の)ほうがまだよい人のうちである。

解説

ここでいう債とは前世から持ち越した借り、すなわち宿債のことで、後段に引かれる表とつながっている。問う者は、借りた額と返す経の巻数が釣り合わないのはなぜかと尋ねた。正三は、金額の大小ではなく、その金を善に使ったか不義に使ったかで重さが変わると答える。さらに、けちも浪費も嫌うべきだが、浪費の害がわからない者ならむしろ締まり屋のほうがましだと言い添えた。お金の多寡より使い道の筋を問う見方は、今の家計や経営にもそのまま通じる。

この章句が説くこと

宿債善根浪費倹約お金因果

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