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李衛公問対 / 卷上

太宗曰:「正合朕意。卿可密教邊將,只以此蕃漢,便見奇正之法矣。」靖再拜曰:「聖慮天縱,聞一知十,臣安能極其說哉!」太宗曰:「諸葛亮言:

新字:太宗曰:「正合朕意。卿可密教辺将,只以此蕃漢,便見奇正之法矣。」靖再拝曰:「聖慮天縦,聞一知十,臣安能極其説哉!」太宗曰:「諸葛亮言:

書き下し

太宗曰く、「正に朕が意に合ふ。卿密かに辺将に教ふべし。只だ此の蕃漢を以て、便ち奇正の法を見さん。」靖再拝して曰く、「聖慮天縦にして、一を聞きて十を知る。臣安んぞ能く其の説を極めんや。」太宗曰く、「諸葛亮言ふ、

現代語訳

太宗が言った。「まさに朕の考えに合う。卿はひそかに辺境の将たちに教えよ。この蕃と漢の使い分けだけで、奇正の法が見えるだろう。」李靖は再拝して言った。「陛下のお考えは天与のもので、一を聞いて十を知る。臣がどうしてその説を窮め尽くせようか。」太宗が言った。「諸葛亮は(次のように)言っている、

解説

李靖が蕃兵と漢兵の見せ方を入れ替える策を述べると、太宗はまさに自分の考えに合うとして、辺境の将たちにひそかに教えるよう命じる。蕃と漢の使い分けだけで奇正の法が見える、という言葉には、奇正が抽象論ではなく、手元の兵の性質と見せ方の問題だという理解が表れている。李靖は再拝して、太宗を一を聞いて十を知る君主だと称える。本書にはこうした君臣の称賛のやりとりが多く、問答の形そのものが名君と名将の理想像を描いている面もある。続いて太宗は諸葛亮の言葉を持ち出し、話は訓練の意義へ移っていく。身近な材料で原理を示されると人は理解が早い。抽象的な戦略論より、手元の人材の組み合わせで考えるほうが現場には伝わりやすい。

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