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楽訓 / 巻之下・読書

一或人のいへるは、聖賢の書を以て一の師とし、筆硯紙墨と案とを以て五の友とし、あけくれ是にまじはるは、益ありて樂多し。又燈火の暗を照して晷につぐも、大なる寶也。一ふみ見るには、時を惜むべし。されどあかねさすひるは、事しげくて功すくなし。ぬば玉のよるは、しづけく、古をかんがふる樂多し。此時をうしなひ、徒に寢てあかすは、惜むべし。

新字:一或人のいへるは、聖賢の書を以て一の師とし、筆硯紙墨と案とを以て五の友とし、あけくれ是にまじはるは、益ありて楽多し。又灯火の暗を照して晷につぐも、大なる宝也。一ふみ見るには、時を惜むべし。されどあかねさすひるは、事しげくて功すくなし。ぬば玉のよるは、しづけく、古をかんがふる楽多し。此時をうしなひ、徒に寝てあかすは、惜むべし。

書き下し

一或人のいへるは、聖賢の書を以て一の師とし、筆硯紙墨と案とを以て五の友とし、あけくれ是にまじはるは、益ありて楽多し。又灯火の暗を照して晷につぐも、大なる宝也。一ふみ見るには、時を惜むべし。されどあかねさすひるは、事しげくて功すくなし。ぬば玉のよるは、しづけく、古をかんがふる楽多し。此時をうしなひ、徒に寝てあかすは、惜むべし。

現代語訳

ある人が言うには、聖賢の書を一人の師とし、筆・硯・紙・墨と机を五人の友として、朝夕これと交わるのは、益があって楽しみが多いとのことです。また灯火で暗闇を照らして昼の続きに読むのも、大きな宝です。書物を読むには時間を惜しむべきです。けれども昼間は用事が多くて成果が少ない。夜は静かで、昔のことを考える楽しみが多い。この時を失って、むなしく寝て明かすのは惜しいことです。

解説

聖賢の書を師、筆硯紙墨と机を友とする「一師五友」の考えを紹介し、灯火で昼の続きを読むこと(韓愈「進学解」の「焚膏油以継晷」を思わせる表現)を宝と呼びます。昼は雑事に追われて身が入らないが、夜は静かで古を考えるのに向いている、だから夜を無駄に寝過ごすなと勧めます。現代なら、通勤前の早朝や家族が寝静まった夜など、自分だけの静かな時間を読書に充てる工夫にあたるでしょう。書物を師と仰ぐ姿勢は、独学の支えにもなります。

この章句が説くこと

読書時間師友学問

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