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礼記 / 郷飲酒義

降,說屨升坐,修爵無數。飲酒之節,朝不廢朝,莫不廢夕。賓出,主人拜送,節文終遂焉。知其能安燕而不亂也。 貴賤明,隆殺辨,和樂而不流,弟長而無遺,安燕而不亂,此五行者,足以正身安國矣。彼國安而天下安。故曰:「吾觀於鄉,而知王道之易易也。」

新字:降,説屨升坐,修爵無数。飲酒之節,朝不廃朝,莫不廃夕。賓出,主人拝送,節文終遂焉。知其能安燕而不乱也。 貴賤明,隆殺弁,和楽而不流,弟長而無遺,安燕而不乱,此五行者,足以正身安国矣。彼国安而天下安。故曰:「吾観於郷,而知王道之易易也。」

書き下し

降りて、屨(くつ)を説(ぬ)ぎて升りて坐し、爵を修むること数無し。飲酒の節、朝は朝を廃せず、莫(くれ)は夕を廃せず。賓出づれば、主人拝送し、節文終遂す。其の能く安燕(あんえん)して乱れざるを知るなり。 貴賤明らかに、隆殺弁じ、和楽して流れず、弟長して遺す無く、安燕して乱れず。此の五行の者は、以て身を正し国を安んずるに足る。彼の国安くして天下安し。故に曰く、「吾郷を観て、王道の易易たるを知る」と。

現代語訳

一同は堂を降りて履(くつ)を脱ぎ、再び上って座り、杯のやりとりに回数の制限はない。それでも飲酒の節度として、朝に始めても朝の務めを怠らず、夕方に始めても夕方の務めを怠らない。賓が退出すると、主人は拝して見送り、礼の節目と文飾が最後まで遂げられる。これによって、くつろいで宴を楽しみながらも乱れないことがわかる。 貴賤の区別が明らかで、礼の厚薄がはっきりし、和やかに楽しみながらも流されず、年長者に従いつつ誰も取り残さず、くつろいで宴を楽しみながらも乱れない。この五つの行いは、身を正し国を安らかにするのに十分である。一国が安らかであれば天下も安らかになる。だから「わたしは郷飲酒の礼を観て、王者の道がいかにたやすく行えるかを知った」というのである。

解説

孔子の「王道の易易」を説明する三段の結びである。宴の後半、履を脱いで座り、杯を無制限に交わす無算爵の段階に入っても、朝夕の務めは怠らず、賓が帰るときには主人が拝送して礼を最後まで遂げる。ここから安燕して乱れずという五つ目の徳が導かれる。そのうえで、貴賤明・隆殺弁・和楽不流・弟長無遺・安燕不乱の五行が並べられ、これだけで身を正し国を安んずるに足り、国が安らかなら天下も安らかになると結ばれる。王道とは遠大な政策ではなく、郷の一つの酒宴を正しく運ぶことの延長にあるという主張である。ここに、身近な場の秩序から天下の秩序へと広げていく儒家の発想がよく表れている。宴の終わり方にこそ人柄が出るというのは今も同じで、最後まで見送りを怠らない主人の姿は、信頼される人のあり方を示している。

この章句が説くこと

礼記郷飲酒義王道節度五行

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