説苑 / 雜言
孔子曰:「中人之情,有餘則侈,不足則儉,無禁則淫,無度則失,縱欲則敗。飲食有量,衣服有節,宮室有度,畜聚有數,車器有限,以防亂之源也。故夫度量不可不明也,善言不可不聽也。」
新字:孔子曰:「中人之情,有余則侈,不足則倹,無禁則淫,無度則失,縦欲則敗。飲食有量,衣服有節,宮室有度,畜聚有数,車器有限,以防乱之源也。故夫度量不可不明也,善言不可不聴也。」
書き下し
孔子曰く、「中人の情は、余り有れば則ち侈り、足らざれば則ち倹にし、禁無ければ則ち淫し、度無ければ則ち失し、欲を縦にすれば則ち敗る。飲食に量有り、衣服に節有り、宮室に度有り、畜聚に数有り、車器に限有るは、以て乱の源を防ぐなり。故に夫れ度量は明らかにせざる可からず、善言は聴かざる可からず」と。
現代語訳
孔子は言った。「並みの人の常として、余裕があれば贅沢に走り、不足すれば倹約に努め、禁じるものがなければ放埒になり、限度がなければ度を越し、欲望を野放しにすれば身を滅ぼす。飲食に一定の量を定め、衣服に節度を設け、住居に規模の限度を定め、財産の蓄えに数量の制限を設け、車馬や器物に限りを設けるのは、混乱の元を未然に防ぐためである。だから、物事の限度や基準は明らかにしておかなければならず、善い言葉には耳を傾けなければならないのだ」と。
解説
人は余裕があれば贅沢に流れ、欲望を制限するものがなければ際限なく放縦になるという、並みの人間の性質を率直に認めたうえで、孔子は飲食・衣服・住居・財産・車馬という具体的な生活の各領域に限度を設けることの必要性を説く。現代社会でも、収入や権限が増えるほど支出や欲望も際限なく膨張し、自らを律する枠組みがなければ身を持ち崩す例は後を絶たない。この章の教訓は、意志の強さだけに頼るのではなく、あらかじめ自分の生活や行動に具体的な限度・基準を設計しておくことこそが、欲望による自滅を防ぐ現実的な知恵だという点にある。
この章句が説くこと
節度限度の設計自制
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