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礼記 / 儒行

溫良者,仁之本也;敬慎者,仁之地也;寬裕者,仁之作也;孫接者,仁之能也;禮節者,仁之貌也;言談者,仁之文也;歌樂者,仁之和也;分散者,仁之施也。儒皆兼此而有之,猶且不敢言仁也。其尊讓有如此者。

新字:温良者,仁之本也;敬慎者,仁之地也;寛裕者,仁之作也;孫接者,仁之能也;礼節者,仁之貌也;言談者,仁之文也;歌楽者,仁之和也;分散者,仁之施也。儒皆兼此而有之,猶且不敢言仁也。其尊譲有如此者。

書き下し

温良なる者は、仁の本なり。敬慎なる者は、仁の地なり。寛裕なる者は、仁の作なり。孫接(そんせつ)なる者は、仁の能なり。礼節なる者は、仁の貌(かたち)なり。言談なる者は、仁の文なり。歌楽なる者は、仁の和なり。分散なる者は、仁の施しなり。儒は皆此れを兼ねて之を有すれども、猶お且つ敢えて仁を言わざるなり。其の尊譲此くの如き者有り。

現代語訳

穏やかで善良であることは、仁の根本である。うやまい慎むことは、仁の拠って立つ地盤である。寛大でゆとりがあることは、仁の働きである。へりくだって人に接することは、仁の能力である。礼にかなった節度は、仁の外に表れた姿である。語り合う言葉は、仁の飾りである。歌と音楽は、仁の和らぎである。財を分け与えることは、仁の施しである。儒者はこれらをみな兼ね備えているが、それでもなお自ら仁者であるとは口にしない。儒者が人を尊び自らを譲るありさまは、このようなものである。

解説

儒行篇の論の頂点ともいえる段で、それまで述べてきた儒者の行いを、仁の諸相として一つにまとめる。温良は仁の根本、敬慎はその地盤、寛裕はその働き、へりくだった接し方はその能力、礼節はその姿、言葉はその飾り、歌楽はその和らぎ、分け与えることはその施しであるという。仁という一つの徳が、性格、態度、言葉、芸術、財の使い方にまで広がって表れることが、八つの句の対で示されている。そして、儒者はこれらをみな備えていながら、なお自ら仁を名乗らないと結ぶ。『論語』述而篇で孔子が「聖と仁とのごときは、則ち吾豈に敢えてせんや」と、自分を聖人や仁者とは称さなかったことと通じる謙譲である。仁は到達して誇るものではなく、生涯かけて近づき続けるものだという考えがここにある。立派な行いをしている人ほど、それを自ら語らない。自分の美点を宣伝することが求められがちな時代にこそ、この控えめさの重みを考えたい。

この章句が説くこと

礼記儒行仁謙譲温良

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