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礼記 / 儒行

儒有衣冠中,動作慎。其大讓如慢,小讓如偽;大則如威,小則如愧。其難進而易退也。粥粥若無能也。其容貌有如此者。 儒有居處齊難,其坐起恭敬。言必先信,行必中正。道途不爭險易之利,冬夏不爭陰陽之和。愛其死以有待也,養其身以有為也。其備豫有如此者。

新字:儒有衣冠中,動作慎。其大譲如慢,小譲如偽;大則如威,小則如愧。其難進而易退也。粥粥若無能也。其容貌有如此者。 儒有居処斉難,其坐起恭敬。言必先信,行必中正。道途不争険易之利,冬夏不争陰陽之和。愛其死以有待也,養其身以有為也。其備予有如此者。

書き下し

儒に衣冠中(ちゅう)にして、動作慎しむ有り。其の大譲は慢なるが如く、小譲は偽るが如し。大なれば則ち威るるが如く、小なれば則ち愧(は)ずるが如し。其の進み難くして退き易きなり。粥粥(しゅくしゅく)として能無きが若きなり。其の容貌此くの如き者有り。 儒に居処斉難(さいなん)にして、其の坐起恭敬なる有り。言は必ず信を先にし、行いは必ず中正なり。道途は険易の利を争わず、冬夏は陰陽の和を争わず。其の死を愛して以て待つ有り、其の身を養いて以て為す有り。其の備予此くの如き者有り。

現代語訳

儒者は、衣服と冠がほどよく整い、立ち居振る舞いがつつしみ深い。大きなことを譲るときは、かえって傲慢に見えるほど淡々としており、小さなことを譲るときは、うわべだけに見えるほどさりげない。大きな事に当たっては畏れているかのようであり、小さな事に当たっては恥じ入っているかのようである。進み出るのは難しく、退くのはたやすい。へりくだって、何の能も無いかのように見える。儒者の容貌は、このようなものである。 儒者は、住まいでの暮らしが厳かで、座ったり立ったりの振る舞いがうやうやしく敬意に満ちている。言葉は必ず信義を第一とし、行いは必ずかたよらず正しい。道を行くときは、険しい道と平らな道の有利を人と争わず、冬と夏には、日向と日陰の快適な場所を人と争わない。自分の命を大切にするのは、なすべき時を待つためであり、自分の身を養うのは、なすべきことがあるからである。儒者の備えは、このようなものである。

解説

儒者の「容貌」と「備予」の二条を述べる段である。容貌の条では、儒者の外に表れる姿が描かれる。衣冠はほどよく、振る舞いはつつしみ深く、進むのは慎重で退くのはあっさりしている。大きな譲りをするときにかえって慢心しているように見えるというのは、恩着せがましさが無いからだと読める。何の能も無いかのようにへりくだるのは、才を誇らない謙虚さの表れである。備予の条では、日ごろの心構えが語られる。言葉は信義を先にし、行いは中正を守り、道のよしあしや暑さ寒さの快適さを人と争わない。命を惜しむのは臆病だからではなく、なすべき時のために取っておくのであり、体を養うのもなすべきことのためである。日々の小さな利を争わず、大事に備えて身を整えておく。目先の得に振り回されず、いざという時に力を出せるよう自分を保っておくことは、長い職業人生を送るうえでも欠かせない心得である。

この章句が説くこと

礼記儒行謙譲容貌備え

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