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礼記 / 投壺

命酌曰:「請行觴。」酌曰:「諾。」當飲者皆跪奉觴,曰:「賜灌。」勝者跪曰:「敬養。」 正爵既行,請立馬。馬各直其筭。一馬從二馬,以慶。慶禮曰:「三馬既備,請慶多馬。」賓主皆曰:「諾。」正爵既行,請徹馬。

新字:命酌曰:「請行觴。」酌曰:「諾。」当飲者皆跪奉觴,曰:「賜灌。」勝者跪曰:「敬養。」 正爵既行,請立馬。馬各直其筭。一馬従二馬,以慶。慶礼曰:「三馬既備,請慶多馬。」賓主皆曰:「諾。」正爵既行,請徹馬。

書き下し

酌(く)むことを命じて曰く、「請う觴(しょう)を行(や)らん」と。酌む者曰く、「諾」と。当に飲むべき者皆跪きて觴を奉じて曰く、「灌(かん)を賜う」と。勝者跪きて曰く、「敬して養う」と。 正爵既に行わるれば、馬を立てんことを請う。馬は各其の筭に直(あ)つ。一馬は二馬に従い、以て慶す。慶の礼に曰く、「三馬既に備わる。請う多馬を慶せん」と。賓主皆曰く、「諾」と。正爵既に行わるれば、馬を徹せんことを請う。

現代語訳

司射は酒を注ぐ者に命じていう。「杯を回させてください」。酒を注ぐ者は「承知しました」と答える。罰の酒を飲むべき者はみなひざまずいて杯を捧げ持ち、「お酒を賜ります」という。勝った者もひざまずいて、「謹んでおすすめいたします」という。 罰の杯がひととおりめぐったら、馬(勝ちのしるし)を立てることを願い出る。馬はそれぞれ勝った側の算木の前に立てる。一つの馬を得た側は二つの馬を得た側に自分の馬を譲り、それによって祝う。祝いの礼ではこういう。「三つの馬がそろいました。多くの馬を得た側を祝わせてください」。客も主人も「承知しました」と答える。祝いの杯がひととおりめぐったら、馬を片づけることを願い出る。

解説

勝負が決したあとの罰杯と祝いの作法を述べる段である。負けた者は罰として酒を飲むが、その言葉は「灌を賜う」、すなわちお酒をいただきますというへりくだった言い方であり、勝った者も「敬して養う」、謹んでおすすめするとひざまずいて応じる。鄭玄は「賜灌」を、負けを認めて相手を敬う言葉だと注している。罰を与える側も受ける側も互いに敬意を表す形をとることで、勝敗が恥や驕りに変わらないようにしているのである。三回の勝負で得た馬を集めて三つそろえば、多く得た側を祝い、そのあと馬を片づけて終わる。負けた側が自分の馬を勝った側に移して祝うのは、勝者をたたえる心を形にしたものといえる。勝ってもおごらず、負けても卑屈にならず、最後は皆で祝って区切りをつける。スポーツの試合後の握手や、社内コンペの表彰にも通じる、勝負と和やかさを両立させる知恵である。

この章句が説くこと

礼記投壺罰杯慶謙譲

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