礼記 / 深衣
具父母大父母,衣純以繢;具父母,衣純以青。如孤子,衣純以素。純袂、緣、純邊,廣各寸半。
新字:具父母大父母,衣純以繢;具父母,衣純以青。如孤子,衣純以素。純袂、縁、純辺,広各寸半。
書き下し
父母・大父母具(そな)われば、衣は純(じゅん)するに繢(かい)を以てす。父母具われば、衣は純するに青を以てす。如(も)し孤子ならば、衣は純するに素を以てす。袂に純し、縁(えん)し、辺に純すること、広さ各(おのおの)寸半。
現代語訳
父母と祖父母がともに健在であれば、深衣の縁取りには模様を描いた色鮮やかな布を用いる。父母がともに健在であれば、縁取りには青い布を用いる。もし父を亡くした孤子(こし)であれば、縁取りには白い布を用いる。袖口の縁取り、裾の縁取り、衣の端の縁取りは、幅をそれぞれ一寸半とする。
解説
深衣篇を締めくくる段で、衣の縁取りの色を、着る人の家族の状況によって変えることを定める。父母と祖父母がそろって健在なら華やかな模様の縁、父母が健在なら青、父を亡くしていれば白の縁とする。鄭玄は、三十歳以下で父を亡くした者を孤子とし、その縁を白にするのだと注している。縁取りという衣服のわずかな部分に、家族の喜びと喪失が静かに映されているのである。親が健在であることを慶びとして身に表し、親を失えば華やかさを控えるというのは、孝の心を日常の装いに織り込む工夫といえる。喪の期間が終わったあとも、親を亡くした悲しみが縁の色として残ることにも意味がある。家族の状況を身なりで示す習慣は今ではほとんど見られないが、親が元気でいることを当たり前と思わず、ありがたいことと受け止める心は、世代を超えて大切にされてよい。
この章句が説くこと
礼記深衣孝孤子衣服
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