礼記 / 深衣
制十有二幅以應十有二月,袂圜以應規,曲袷如矩以應方,負繩及踝以應直,下齊如權衡以應平。故規者,行舉手以為容;負繩抱方者,以直其政,方其義也。故《易》曰:「坤六二之動,直以方也。」下齊如權衡者,以安志而平心也。五法已施,故聖人服之。故規矩取其無私,繩取其直,權衡取其平,故先王貴之。故可以為文,可以為武,可以擯相,可以治軍旅,完且弗費,善衣之次也。
新字:制十有二幅以応十有二月,袂圜以応規,曲袷如矩以応方,負縄及踝以応直,下斉如権衡以応平。故規者,行舉手以為容;負縄抱方者,以直其政,方其義也。故《易》曰:「坤六二之動,直以方也。」下斉如権衡者,以安志而平心也。五法已施,故聖人服之。故規矩取其無私,縄取其直,権衡取其平,故先王貴之。故可以為文,可以為武,可以擯相,可以治軍旅,完且弗費,善衣之次也。
書き下し
制するに十有二幅にして以て十有二月に応じ、袂圜(えん)にして以て規に応じ、曲袷(きょくこう)は矩の如くにして以て方に応じ、負縄は踝(くるぶし)に及びて以て直に応じ、下斉(かせい)は権衡の如くにして以て平に応ず。故に規なる者は、行くに手を挙げて以て容と為す。負縄抱方なる者は、以て其の政を直くし、其の義を方にするなり。故に易に曰く、「坤の六二の動は、直にして以て方なり」と。下斉の権衡の如き者は、以て志を安んじて心を平らかにするなり。五法已に施す、故に聖人之を服す。故に規矩は其の私無きを取り、縄は其の直きを取り、権衡は其の平らかなるを取る。故に先王之を貴ぶ。故に以て文を為すべく、以て武を為すべく、以て擯相(ひんしょう)すべく、以て軍旅を治むべし。完くして且つ費えず、善衣の次なり。
現代語訳
深衣の裳は十二幅の布で仕立て、一年の十二か月にかなうようにする。袖は丸く仕立ててコンパスの円にかなうようにし、襟の打ち合わせは曲尺のように直角に曲げて方形にかなうようにし、背中の縫い目は踵(くるぶし)まで真っすぐ通して墨縄のまっすぐさにかなうようにし、裾は分銅とはかりの竿のように水平にそろえて平らかさにかなうようにする。そこで円い袖は、歩くときに手を挙げて礼にかなった姿をつくるためのものである。背の縫い目のまっすぐさと襟の方形は、政をまっすぐにし、義を正しく方正にすることを表す。だから『易』に「坤の卦の六二の爻の働きは、まっすぐで方正である」というのである。裾がはかりのように水平であるのは、志を落ち着かせ、心を平らかにするためである。この五つの法がすでに備わっているので、聖人はこれを着る。コンパスと曲尺はそのかたよりの無さを取り、墨縄はそのまっすぐさを取り、はかりはその平らかさを取る。だから先王はこれを貴んだ。それゆえ深衣は、文の場にも武の場にも着ることができ、賓客の取り次ぎ役を務めるときにも、軍隊を率いるときにも着ることができる。丈夫でしかも費用がかからず、朝廷や祭祀の正装に次ぐ良い衣である。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
-
礼記・深衣古者(いにしえ)深衣は蓋(けだ)し制度有り、以て規・矩・縄・権・衡に応ず。 短きも膚を見(あらわ)すこと毋(な)く、長きも土を被(おお)うこと毋し。衽(じん)を続け、辺を鉤(こう)し、要(こし)の縫いは下(すそ)に半ばす。袼(かく)の高下は、以て肘を運(めぐ)らすべく、袂(たもと)の長短は、之を反詘(はんくつ)して肘に及ぶ。帯は、下は髀(ひ)を厭(お)すこと毋く、上は脇を厭すこと毋く、骨無き者に当つ。
-
礼記・玉藻朝には玄端、夕には深衣。深衣は三袪(さんきょ)、縫齊(ほうし)は要(よう)に倍し、衽(じん)は旁らに当たり、袂は以て肘を回らすべし。長中は継ぎて尺を掩(おお)う。袷(きょう)は二寸、袪は尺二寸、縁(ふち)の広さは寸半。帛を以て布を裹(つつ)むは、礼に非ざるなり。士は織を衣ず、君無き者は采を貳にせず。衣は正色、裳は間色。列采に非ざれば公門に入らず、絺綌(ちげき)を振(ひとえ)にしては公門に入らず、裘を表しては公門に入らず、裘を襲(おお)いては公門に入らず。纊(こう)を繭と為し、縕(うん)を袍と為し、襌(たん)を絅(けい)と為し、帛を褶(ちょう)と為す。朝服の縞を以てするや、季康子より始まるなり。孔子曰く、「朝服して朝し、朔を卒えて然る後に之を服す」と。曰く、「国家未だ道あらざれば、則ち其の服を充たさず」と。唯君のみ黼裘(ほきゅう)有りて以て誓省(せいせい)す。大裘は古に非ざるなり。君は狐白裘を衣、錦衣以て之を裼(せき)す。君の右は虎裘、厥(そ)の左は狼裘。士は狐白を衣ず。君子は狐青裘に豹褎(ひょうしゅう)、玄綃衣(げんしょうい)以て之を裼す。麑裘(げいきゅう)に青豻褎(せいかんしゅう)、絞衣以て之を裼す。羔裘に豹飾、緇衣以て之を裼す。狐裘は、黄衣以て之を裼す。錦衣狐裘は、諸侯の服なり。犬羊の裘は裼せず、文飾せざるなり、裼せず。裘の裼するや、美を見(あらわ)すなり。弔すれば則ち襲す、飾を尽くさざるなり。君在(いま)せば則ち裼す、飾を尽くすなり。服の襲するや、美を充(おお)うなり。是の故に尸は襲し、玉亀を執るものは襲す。事無ければ則ち裼す、敢えて充わざるなり。
-
礼記・礼器礼に文を以て貴しと為す者有り。天子は竜袞(りょうこん)、諸侯は黼(ほ)、大夫は黻(ふつ)、士は玄衣纁裳(げんいくんしょう)。天子の冕(べん)は、朱緑の藻(そう)、十有二旒(りゅう)、諸侯は九、上大夫は七、下大夫は五、士は三。此れ文を以て貴しと為すなり。 素を以て貴しと為す者有り。至敬は文無く、父党は容無く、大圭は琢(たく)せず、大羹(たいこう)は和せず、大路は素にして越席(かっせき)、犠尊(ぎそん)は疏布の鼏(べき)、樿杓(せんしゃく)。此れ素を以て貴しと為すなり。孔子曰く、「礼は、省みざるべからざるなり。礼は同じからず、豊かにせず、殺(そ)がず」と。此れの謂いなり。蓋し称を言うなり。
-
礼記・服問凡そ人に見(まみ)ゆるに絰を免(ぬ)ぐこと無し。君に朝すと雖も、絰を免ぐこと無し。唯だ公門に齊衰(しさい)を税(ぬ)ぐこと有り。伝に曰く、「君子は人の喪を奪わず、亦た喪を奪うべからざるなり」と。伝に曰く、「罪は多くして刑は五、喪は多くして服は五、上に附け下に附けて列するなり」と。
-
礼記・表記子曰く、仁の成り難きこと久し、惟だ君子のみこれを能くす。是の故に君子は其の能くする所の者を以て人を病(せ)めず、人の能くせざる所の者を以て人を愧(は)じしめず。是の故に聖人の行いを制するや、制するに己を以てせず、民をして勧勉愧恥する所有りて、以て其の言を行わしむ。礼以てこれを節し、信以てこれを結び、容貌以てこれを文(かざ)り、衣服以てこれを移し、朋友以てこれを極め、民の一有らんことを欲するなり。《小雅》に曰く、「人に愧じず、天を畏れず」と。是の故に君子は其の服を服すれば、則ち文るに君子の容を以てす。其の容有れば、則ち文るに君子の辞を以てす。其の辞を遂ぐれば、則ち実たすに君子の徳を以てす。是の故に君子は其の服を服して其の容無きを恥じ、其の容有りて其の辞無きを恥ず。其の辞有りて其の徳無きを恥じ、其の徳有りて其の行無きを恥ず。是の故に君子は衰絰(さいてつ)すれば則ち哀色有り、端冕(たんべん)すれば則ち敬色有り、甲冑すれば則ち辱むべからざるの色有り。《詩》に云う、「惟れ鵜(てい)梁に在り、其の翼を濡らさず。彼の記(き)の子、其の服に称(かな)わず」と。
-
礼記・深衣父母・大父母具(そな)われば、衣は純(じゅん)するに繢(かい)を以てす。父母具われば、衣は純するに青を以てす。如(も)し孤子ならば、衣は純するに素を以てす。袂に純し、縁(えん)し、辺に純すること、広さ各(おのおの)寸半。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る