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礼記 / 投壺

投壺之禮,主人奉矢,司射奉中,使人執壺。主人請曰:「某有枉矢哨壺,請以樂賓。」賓曰:「子有旨酒嘉餚,某既賜矣,又重以樂,敢辭。」主人曰:「枉矢哨壺,不足辭也,敢固以請。」賓曰:「某既賜矣,又重以樂,敢固辭。」主人曰:「枉矢哨壺,不足辭也,敢固以請。」賓曰:「某固辭不得命,敢不敬從。」賓再拜受,主人般還,曰:「辟。」主人阼階上拜送,賓般還,曰:「辟。」已拜,受矢,進即兩楹間,退反位,揖賓就筵。

新字:投壺之礼,主人奉矢,司射奉中,使人執壺。主人請曰:「某有枉矢哨壺,請以楽賓。」賓曰:「子有旨酒嘉餚,某既賜矣,又重以楽,敢辞。」主人曰:「枉矢哨壺,不足辞也,敢固以請。」賓曰:「某既賜矣,又重以楽,敢固辞。」主人曰:「枉矢哨壺,不足辞也,敢固以請。」賓曰:「某固辞不得命,敢不敬従。」賓再拝受,主人般還,曰:「辟。」主人阼階上拝送,賓般還,曰:「辟。」已拝,受矢,進即両楹間,退反位,揖賓就筵。

書き下し

投壺の礼、主人は矢を奉じ、司射は中(ちゅう)を奉じ、人をして壺を執らしむ。主人請いて曰く、「某(それがし)に枉矢(おうし)・哨壺(しょうこ)有り、請う以て賓を楽しましめん」と。賓曰く、「子に旨酒嘉餚(ししゅかこう)有り、某既に賜われり。又重ぬるに楽しみを以てするは、敢えて辞す」と。主人曰く、「枉矢哨壺、辞するに足らざるなり。敢えて固く以て請う」と。賓曰く、「某既に賜われり。又重ぬるに楽しみを以てするは、敢えて固く辞す」と。主人曰く、「枉矢哨壺、辞するに足らざるなり。敢えて固く以て請う」と。賓曰く、「某固く辞して命を得ず、敢えて敬して従わざらんや」と。賓再拝して受く。主人般還(はんせん)して曰く、「辟(さ)けん」と。主人阼階(そかい)の上にて拝送す。賓般還して曰く、「辟けん」と。已に拝して、矢を受け、進みて両楹(りょうえい)の間に即(つ)き、退きて位に反り、賓に揖して筵に就かしむ。

現代語訳

投壺(とうこ、壺に矢を投げ入れる遊戯)の礼では、主人が矢を捧げ持ち、司射(しや、競技の進行役)が中(ちゅう、点数の札を入れる獣の形の器)を捧げ持ち、人に壺を持たせる。主人が願い出ていう。「私のところに曲がった矢と口のゆがんだ壺がございます。これで客人に楽しんでいただきたいと存じます」。客はいう。「あなたからはすでにおいしいお酒とご馳走をいただきました。そのうえ楽しみまで重ねていただくのは、ご遠慮申し上げます」。主人はいう。「曲がった矢とゆがんだ壺にすぎませんので、ご遠慮には及びません。ぜひにとお願い申し上げます」。客はいう。「すでにおもてなしをいただいております。そのうえ楽しみまで重ねていただくのは、重ねてご遠慮申し上げます」。主人はいう。「曲がった矢とゆがんだ壺にすぎませんので、ご遠慮には及びません。ぜひにとお願い申し上げます」。客はいう。「重ねてご辞退いたしましたが、お許しをいただけません。謹んでお言葉に従わないわけにはまいりません」。客は二度拝礼して承諾する。主人は身をめぐらして脇へよけ、「おそれいります」という。主人は東の階段(阼階、そかい)の上で拝礼して客を送る。客も身をめぐらして脇へよけ、「おそれいります」という。拝礼が終わると、主人は矢を受け取り、進んで堂の二本の柱のあいだに行き、退いてもとの位置に戻り、客に会釈して席に着かせる。

解説

投壺篇は、宴席で主人と客が壺に矢を投げ入れて腕を競う「投壺」の礼を記した篇である。鄭玄の目録は、主人が客と宴飲して才芸を論じ合う礼と説明している。弓を射る射礼を宴席向けに簡略にしたもので、同じ名の篇は『大戴礼記』にもある。この段はその始まりで、主人が投壺を勧め、客が二度辞退し、三度目に受けるという問答が丁寧に記されている。主人は自分の矢を「曲がった矢」、壺を「口のゆがんだ壺」とへりくだり、客はすでに十分もてなされていると遠慮する。遊びを始めるにも、まず相手を立て、互いに譲り合う手順を踏むのである。拝礼を受けるたびに身をめぐらしてよけるのも、相手の敬意をまともに受けないというへりくだりの作法である。勝ち負けのある遊びだからこそ、始める前に互いの敬意を確かめておく。ゴルフや麻雀など、勝負を伴う付き合いが今もあるが、始めの挨拶と譲り合いが場の空気を決めるのは昔も今も変わらない。

この章句が説くこと

礼記投壺遊戯辞譲宴

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