礼記 / 奔喪
所識者弔,先哭於家而後之墓,皆為之成踴,從主人北面而踴。凡喪,父在父為主,父沒,兄弟同居,各主其喪。親同,長者主之;不同,親者主之。 聞遠兄弟之喪,既除喪而後聞喪,免袒成踴。拜賓則尚左手。
新字:所識者弔,先哭於家而後之墓,皆為之成踴,従主人北面而踴。凡喪,父在父為主,父没,兄弟同居,各主其喪。親同,長者主之;不同,親者主之。 聞遠兄弟之喪,既除喪而後聞喪,免袒成踴。拝賓則尚左手。
書き下し
識る所の者弔わば、先ず家に哭して後に墓に之き、皆これが為に踊を成し、主人に従いて北面して踊す。凡そ喪は、父在れば父主と為る。父没すれば、兄弟同居するも、各おのその喪を主る。親同じければ、長者これを主る。同じからざれば、親しき者これを主る。 遠き兄弟の喪を聞き、既に喪を除きて後に喪を聞けば、免袒して踊を成す。賓を拝するには則ち左手を尚(たっと)ぶ。
現代語訳
奔喪した者の顔見知りが弔いに来たときは、まず家で哭き、その後で墓に行き、いずれの場所でもその者のために踊を行い、主人に従って北を向いて踊る。およそ喪においては、父が存命であれば父が喪主となる。父が亡くなっていれば、兄弟が同じ家に住んでいても、それぞれ自分の妻子の喪の喪主となる。死者との親しさが同じであれば年長者が喪主となり、親しさが違えば、より親しい者が喪主となる。 遠方にいる兄弟の喪を聞き、しかもすでに喪の期間が明けてから死を知った場合は、免を着けて袒し踊を行う。客を拝するときには、左手を上にする(吉礼の拝し方をとる)。
解説
弔問の受け方と、喪主を誰が務めるかを定めた段である。奔喪した者の知人が弔いに来れば、家と墓の両方で哭き、主人に従って北を向いて踊をする。続く喪主の定めは、家族の中の責任の所在を明らかにするものである。父が生きていれば、家の誰が亡くなっても父が喪主となる。父が亡くなった後は、兄弟が同じ家に住んでいても、それぞれ自分の妻子の喪を自分で主る。死者との親しさが同じなら年長者が、違うなら近い者が喪主となる。家長の有無と、死者との近さの二つで喪主が決まるのである。後半は、遠方の兄弟の死を喪の期間が過ぎてから知った場合で、免を着けて袒し踊をするが、客を拝するときには左手を上にするという。檀弓上篇には、孔子が姉の喪中のために右手を上にして拱き、門人がそれを知って左手を上に改めた話があり、喪では右、吉では左を上にした。ここでは喪の期間が過ぎているため、凶礼ではなく吉礼に近い拝し方をとるのである。今の葬儀でも、誰が喪主を務めるかは家族の間でしばしば迷いの種になる。親しさと家の中の立場で決めるという考え方は、その目安として今も役立つ。
この章句が説くこと
礼記奔喪喪主兄弟家
関連する章句
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礼記・奔喪奔喪する者殯に及ばざれば、先ず墓に之(ゆ)き、北面して坐し、哭して哀しみを尽くす。主人のこれを待つや、位に墓の左に即き、婦人は墓の右にて、踊を成し、哀しみを尽くし、括髪し、東して主人の位に即き、絰(てつ)し帯を絞(しぼ)り、哭して踊を成し、賓を拝し、位に反りて踊を成し、相者事畢(お)わるを告ぐ。遂に冠して帰り、門に入りて左し、北面して哭して哀しみを尽くし、括髪して袒し踊を成し、東して位に即き、賓を拝して踊を成す。賓出づれば、主人拝して送る。賓の後れて至る者有れば、則ちこれを拝して踊を成し、賓を送ること初めの如くす。衆主人・兄弟皆門を出で、門を出でて哭止み、相者次に就くを告ぐ。又哭に於いては、括髪して踊を成し、三哭に於いても、猶括髪して踊を成す。三日にして服を成し、五哭に於いて、相者事畢わるを告ぐ。母の為に父に異なる所以の者は、壹(ひと)たび括髪し、その余は免して以て事を終う。他は父に奔るの礼の如くす。
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礼記・奔喪奔喪(ほんそう)の礼。始めて親の喪を聞けば、哭(こく)を以て使者に答え、哀しみを尽くす。故を問い、又哭して哀しみを尽くす。 遂に行く。日に百里を行き、夜を以て行かず。唯だ父母の喪のみ、星を見て行き、星を見て舎(やど)る。若し未だ行くことを得ざれば、則ち服を成して後に行く。国を過ぎて竟(さかい)に至れば、哭して哀しみを尽くして止む。哭するに市朝を辟(さ)く。その国の竟を望みて哭す。家に至れば、門に入りて左し、西階より升(のぼ)り、殯(ひん)の東にて西面して坐し、哭して哀しみを尽くし、括髪(かっぱつ)して袒(たん)し、堂を降りて東して位に即(つ)き、西郷(せいきょう)して哭し、踊(よう)を成し、序(じょ)の東に襲(しゅう)して絰(てつ)し、絞帯(こうたい)す。位に反り、賓を拝して踊を成し、賓を送りて位に反る。賓の後れて至る者有れば、則ちこれを拝し、踊を成して賓を送ること皆初めの如くす。衆主人・兄弟皆門を出で、門を出でて哭止み、門を闔(と)じ、相者(しょうしゃ)次(じ)に就くを告ぐ。又哭に於いては、括髪して袒し踊を成す。三哭に於いても、猶括髪して袒し踊を成す。三日にして服を成し、賓を拝し賓を送ること皆初めの如くす。
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礼記・奔喪奔喪する者主人に非ざれば、則ち主人これが為に賓を拝し賓を送る。奔喪する者齊衰(しさい)より以下は、門に入りて左し、中庭にて北面して哭して哀しみを尽くし、序の東に免麻(ぶんま)して、位に即きて袒し、主人と哭して踊を成す。又哭・三哭に於いては皆免袒す。賓有れば、則ち主人賓を拝し賓を送る。丈夫・婦人のこれを待つや、皆朝夕の哭の如くし、位変わること無し。
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礼記・奔喪喪を聞きて奔喪することを得ざれば、哭して哀しみを尽くす。故を問い、又哭して哀しみを尽くす。乃ち位を為(つく)り、括髪して袒し踊を成し、襲して絰し帯を絞りて位に即き、賓を拝し位に反りて踊を成す。賓出づれば、主人門外に拝送し、位に反る。若し賓の後れて至る者有れば、これを拝して踊を成し、賓を送ること初めの如くす。又哭に於いては、括髪して袒し踊を成し、三哭に於いても、猶括髪して袒し踊を成す。三日にして服を成し、五哭に於いて、賓を拝し賓を送ること初めの如くす。
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礼記・奔喪凡そ位を為(つく)るに、親の喪に非ずして、齊衰より以下は、皆位に即きて哭して哀しみを尽くし、東して免絰(ぶんてつ)し、位に即きて、袒し、踊を成し、襲し、賓を拝して位に反り、哭して踊を成し、賓を送りて位に反り、相者次に就くを告ぐ。三日に五哭して卒(お)われば、主人出でて賓を送り、為主人・兄弟皆門を出で、哭止み、相者事畢わるを告ぐ。服を成して賓を拝す。若し位を為る所の家遠ければ、則ち服を成して往く。
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礼記・奔喪母の喪に奔(はし)るには、西面して哭して哀しみを尽くし、括髪して袒し、堂を降りて東して位に即き、西郷して哭し、踊を成し、序の東に襲して免絰(ぶんてつ)し、賓を拝し賓を送ること、皆父に奔るの礼の如くす。又哭に於いては括髪せず。 婦人の喪に奔るは、東階より升り、殯の東にて西面して坐し、哭して哀しみを尽くし、東して髽(さ)し、位に即き、主人と拾踴(しゅうよう)す。
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