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礼記 / 坊記

子云:「天無二日,土無二王,家無二主,尊無二上,示民有君臣之別也。《春秋》不稱楚越之王喪,禮君不稱天,大夫不稱君,恐民之惑也。《詩》云:『相彼盍旦,尚猶患之。』」

新字:子云:「天無二日,土無二王,家無二主,尊無二上,示民有君臣之別也。《春秋》不称楚越之王喪,礼君不称天,大夫不称君,恐民之惑也。《詩》云:『相彼盍旦,尚猶患之。』」

書き下し

子云う、「天に二日無く、土に二王無く、家に二主無く、尊に二上無きは、民に君臣の別有るを示すなり。《春秋》に楚越の王の喪を称せず、礼に君は天を称せず、大夫は君を称せざるは、民の惑わんことを恐るればなり。《詩》に云う、『彼の盍旦(こうたん)を相(み)るに、尚お猶おこれを患う』と」。

現代語訳

孔子は言った。「天に二つの太陽はなく、国土に二人の王はなく、家に二人の主はなく、尊い者の上に二つの最上位はない。これは民に君臣の区別があることを示すのである。『春秋』が楚や越の君主の死を王の喪として記さず、礼では諸侯の君は天を称さず、大夫は君を称さないのは、民が惑うことを恐れるからである。『詩経』に『あの盍旦(夜に鳴いて夜明けを求める鳥)を見よ、それでもなお人に疎まれる』とある」。

解説

君臣の尊卑をはっきりさせることで、民の惑いを防ぐ段である。「天に二日無く、土に二王無し」は、『孟子』万章上篇にも孔子の言葉として「天に二日無く、民に二王無し」と引かれる名高い句で、最上位が二つあれば人々は誰に従えばよいか迷うという道理を示す。『春秋』が楚や越の君主の死を王の喪として記さないのは、周王以外の者が名乗った王号を認めないためであり、諸侯が天を称さず、大夫が君を称さないのも同じ配慮である。鄭玄は結びの詩について、盍旦は夜に鳴いて夜明けを求める鳥で、昼夜を逆にしようとするから人に嫌われる、まして臣が君をしのいで上下を乱すのはなおさらだと注している。呼び名や肩書きを曖昧にしないことは、見かけ以上に秩序を支えている。指揮系統が二つある組織で現場が混乱するのも、「尊に二上無し」の道理そのものである。

この章句が説くこと

礼記坊記君臣名分秩序

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