礼記 / 坊記
子云:「君不與同姓同車,與異姓同車不同服,示民不嫌也。以此坊民,民猶得同姓以弑其君。」 子云:「君子辭貴不辭賤,辭富不辭貧,則亂益亡。故君子與其使食浮於人也,寧使人浮於食。」
新字:子云:「君不与同姓同車,与異姓同車不同服,示民不嫌也。以此坊民,民猶得同姓以弑其君。」 子云:「君子辞貴不辞賤,辞富不辞貧,則乱益亡。故君子与其使食浮於人也,寧使人浮於食。」
書き下し
子云う、「君は同姓と車を同じくせず、異姓と車を同じくするも服を同じくせざるは、民に嫌わざるを示すなり。此を以て民を坊ぐも、民猶お同姓を得て以て其の君を弑す」と。 子云う、「君子貴きを辞して賤しきを辞せず、富を辞して貧を辞せざれば、則ち乱益々亡し。故に君子は其の食をして人に浮かしめんよりは、寧ろ人をして食に浮かしめよ」と。
現代語訳
孔子は言った。「君主が同姓の者と同じ車に乗らず、異姓の者と同じ車に乗るときも同じ服を着ないのは、民に君と紛らわしいことをしないと示すためである。こうして民を防いでも、民の中にはなお同姓の者を担いで自分の君主を殺す者がいる」。 孔子は言った。「君子が高い地位を辞退しても低い地位は辞退せず、富を辞退しても貧しさは辞退しなければ、乱はいよいよなくなる。それゆえ君子は、自分の受ける禄(食)がその人の値打ちを上回るよりは、むしろ人の値打ちが受ける禄を上回るようにするのである」。
解説
前半は、君主が同姓の者と車を共にしないという定めを説く。鄭玄は、ここでいう同姓とは先王・先公の子孫で位を継ぐ可能性のある者を指すと注する。継承の資格がある者が君主と並んで同じ車に乗れば、民にはどちらが君か紛らわしく映り、簒奪の口実を与えかねないからである。異姓の者と同乗するときに服を変えるのも同じ配慮である。それでもなお同姓を擁して君を弑する者がいたと結ぶのは、本篇の定型である。後半は、高い地位や富を辞して、低い地位や貧しさは辞さない君子の姿勢を説き、「食をして人に浮かしめんよりは、寧ろ人をして食に浮かしめよ」、すなわち報酬が実力を上回るより、実力が報酬を上回るほうがよいとする。『論語』憲問篇の「君子は其の言の其の行いに過ぐるを恥ず」とも通じる、名と実を釣り合わせる考え方である。肩書きや報酬に見合う以上の働きを心がけることは、今も信頼を得る確かな道である。
この章句が説くこと
礼記坊記名実謙譲報酬
関連する章句
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礼記・表記子曰く、先王は諡(おくりな)して以て名を尊くし、節するに一恵を以てするは、名の行に浮かぶを恥ずればなり。是の故に君子は自ら其の事を大とせず、自ら其の功を尚ばず、以て情に処(お)らんことを求む。過行は率(したが)わず、以て厚に処らんことを求む。人の善を彰らかにして人の功を美とし、以て賢に下らんことを求む。是の故に君子は自ら卑しと雖も、民これを敬尊す。
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呂氏春秋・審分⑤故に其の實を按じて其の名を審らかにして、以て其の情を求め、其の言を聽きて其の類を察し、放悖せしむる無し。夫れ名は其の實に當らざること多くして、事は其の用に當らざる者多し。故に人主は以て名分を審らかにせざる可からざるなり。名分を審らかにせざるは、是れ壅を惡みて愈々塞がるなり。壅塞の任は、臣下に在らず、人主に在り。堯・舜の臣、獨り義ならず、湯・禹の臣、獨り忠ならず、其の數を得ればなり。桀・紂の臣、獨り鄙ならず、幽・厲の臣、獨り辟ならず、其の理を失えばなり。
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説苑・雜言淳于髡、孟子に謂いて曰く、「名実を先んずる者は、人の為にする者なり。名実を後にする者は、自ら為にする者なり。夫子は三卿の中に在りて、名実未だ上下に加わらずして之を去る、仁者固より此くの如きか」と。孟子曰く、「下位に居りて、賢を以て不肖に事えざる者は、伯夷なり。五たび湯に就き、五たび桀に就く者は、伊尹なり。汙君を悪まず、小官を辞せざる者は、柳下惠なり。三子は道を同じくせざれども、其の趣くところは一なり。一とは何ぞや。曰く仁なり。君子も亦仁のみ、何ぞ必ずしも同じからん」と。曰く、「魯の穆公の時、公儀子政を為し、子思・子庚臣為り、魯の削らるるや滋々甚だし。是くの若きは、賢者の国に益無きなり」と。曰く、「虞は百里奚を用いずして亡び、秦の穆公は之を用いて霸たり。故に賢を用いざれば則ち亡ぶ、削らるる何ぞ得べけんや」と。曰く、「昔者、王豹淇に処りて、河西謳を善くす。綿駒高唐に処りて、齊右歌を善くす。華舟・杞梁の妻、善く其の夫を哭して国俗を変ず。諸を内に有すれば必ず外に形る。其の事を為して其の功無きは、髡未だ睹ざるなり。是の故に賢者無きなり、有らば則ち髡必ず之を識らん」と。曰く、「孔子魯の司寇と為りて用いられず、祭に従いて膰肉至らず、冕を脱がずして行く。其の不善なる者は以て肉の為なりと為し、其の善なる者は以て礼の為なりと為す。乃ち孔子は微罪を以て行かんと欲し、苟くも去るを為さんと欲せざるなり。故に君子の為す所は、衆人固より識る能わざるなり」と。
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論語・雍也篇子曰く、觚、觚ならず。觚ならんや、觚ならんや。
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『呻吟語』外篇・品藻・名實は形影の如し名實は形影の如し。實無きの名は、造物の忌む所にして、矯偽なる者は之を貪り、暗修なる者は之を避く。
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