礼記 / 祭統
既內自盡,又外求助;昏禮是也。故國君取夫人之辭曰:「請君之玉女,與寡人共有敝邑,事宗廟社稷。」此求助之本也。夫祭也者,必夫婦親之,所以備外內之官也。官備則具備。水草之菹、陸產之醢,小物備矣;三牲之俎、八簋之實,美物備矣;昆蟲之異、草木之實,陰陽之物備矣。凡天之所生、地之所長,苟可薦者,莫不咸在,示盡物也。外則盡物,內則盡志;此祭之心也。是故,天子親耕於南郊,以共齊盛;王后蠶於北郊,以共純服。諸侯耕於東郊,亦以共齊盛;夫人蠶於北郊,以共冕服。天子、諸侯非莫耕也,王后、夫人非莫蠶也。身致其誠信;誠信之謂盡,盡之謂敬,敬盡然後可以事神明。此祭之道也。
新字:既内自尽,又外求助;昏礼是也。故国君取夫人之辞曰:「請君之玉女,与寡人共有敝邑,事宗廟社稷。」此求助之本也。夫祭也者,必夫婦親之,所以備外内之官也。官備則具備。水草之菹、陸産之醢,小物備矣;三牲之俎、八簋之実,美物備矣;昆虫之異、草木之実,陰陽之物備矣。凡天之所生、地之所長,苟可薦者,莫不咸在,示尽物也。外則尽物,内則尽志;此祭之心也。是故,天子親耕於南郊,以共斉盛;王后蠶於北郊,以共純服。諸侯耕於東郊,亦以共斉盛;夫人蠶於北郊,以共冕服。天子、諸侯非莫耕也,王后、夫人非莫蠶也。身致其誠信;誠信之謂尽,尽之謂敬,敬尽然後可以事神明。此祭之道也。
書き下し
既に内に自ら尽くし、又た外に助けを求む。昏礼是れなり。故に国君夫人を取るの辞に曰く、「君の玉女を請い、寡人と共に敝邑(へいゆう)を有ち、宗廟社稷に事えん」と。此れ助けを求むるの本なり。夫れ祭なる者は、必ず夫婦これを親らす。外内の官を備うる所以なり。官備われば則ち具備わる。水草の菹(そ)、陸産の醢(かい)は、小物備われり。三牲の俎(そ)、八簋(はっき)の実は、美物備われり。昆虫の異、草木の実は、陰陽の物備われり。凡そ天の生ずる所、地の長ずる所、苟(いやし)くも薦むべき者は、咸(ことごと)く在らざるは莫し。物を尽くすを示すなり。外は則ち物を尽くし、内は則ち志を尽くす。此れ祭の心なり。是の故に、天子親ら南郊に耕し、以て斉盛(しせい)を共(きょう)し、王后北郊に蚕し、以て純服を共す。諸侯東郊に耕し、亦た以て斉盛を共し、夫人北郊に蚕し、以て冕服を共す。天子・諸侯耕す莫きに非ざるなり、王后・夫人蚕する莫きに非ざるなり。身その誠信を致すなり。誠信これを尽と謂い、尽これを敬と謂う。敬尽くして然る後に以て神明に事うべし。此れ祭の道なり。
現代語訳
内においては自ら心を尽くし、さらに外に助けを求める。それが婚礼である。だから国君が夫人を迎えるときの口上に、「あなたの玉のような娘御をいただき、わたくしとともにこの小国を保ち、宗廟と社稷に仕えたい」という。これが助けを求めることの根本である。そもそも祭りは、必ず夫婦が自ら行うものであり、それによって外(男)と内(女)の務めがそろうのである。務めがそろえば供え物もそろう。水草の漬物、陸の産物の塩辛で、細かな品がそろう。三牲(牛・羊・豕)を載せた俎、八つの簋(き、穀物を盛る器)の中身で、立派な品がそろう。虫の珍しいもの、草木の実で、陰と陽の品がそろう。およそ天が生み、地が育てたもので、いやしくも供えるに足るものは、すべてそこにある。物を尽くしたことを示すのである。外には物を尽くし、内には志を尽くす。これが祭りの心である。それゆえ天子は自ら南の郊外で耕して祭りの穀物を供え、王后は北の郊外で蚕を飼って祭服を供える。諸侯は東の郊外で耕してやはり祭りの穀物を供え、夫人は北の郊外で蚕を飼って冕服(べんぷく、祭りの礼服)を供える。天子や諸侯に代わって耕す者がいないわけではなく、王后や夫人に代わって蚕を飼う者がいないわけではない。自らの身で誠と信を尽くすためである。誠と信を「尽」といい、尽を「敬」という。敬が尽くされてはじめて神明に仕えることができる。これが祭りの道である。
解説
この章句が説くこと
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礼記・祭統是の故に、期に先だつこと旬有一日、宮宰夫人を宿(しゅく)し、夫人も亦た散斉七日、致斉三日す。君は外に致斉し、夫人は内に致斉し、然る後に大廟(たいびょう)に会す。君は純冕(じゅんべん)して阼(そ)に立ち、夫人は副褘(ふくき)して東房に立つ。君は圭瓚(けいさん)を執りて尸(し)に祼(かん)し、大宗は璋瓚(しょうさん)を執りて亜祼す。牲を迎うるに及びては、君は紖(しん)を執り、卿大夫従い、士は芻(すう)を執る。宗婦は盎(おう)を執りて夫人に従い、涚水(ぜいすい)を薦む。君は鸞刀(らんとう)を執りて嚌(せい)を羞(すす)め、夫人は豆を薦む。此れをこれ夫婦これを親らすと謂う。
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礼記・郊特牲天地合して後に万物興る。夫れ昏礼は、万世の始めなり。異姓に取るは、遠きに附きて別を厚くする所以なり。幣は必ず誠にし、辞は腆(てん)ならざる無し。これに告ぐるに直信を以てす。信は、人に事うるなり。信は、婦の徳なり。壱(ひと)たびこれと斉(ひと)しくすれば、終身改めず。故に夫死して嫁がず。男子親迎し、男、女に先んずるは、剛柔の義なり。天、地に先んじ、君、臣に先んず、其の義一なり。摯(し)を執りて以て相見ゆるは、敬して別を章(あきら)かにするなり。男女別有りて、然る後に父子親しみ、父子親しみて然る後に義生じ、義生じて然る後に礼作(おこ)り、礼作りて然る後に万物安んず。別無く義無きは、禽獣の道なり。婿親ら御して綏(すい)を授くるは、これを親しむなり。これを親しむとは、これを親しましむるなり。敬してこれを親しむは、先王の天下を得る所以なり。大門を出でて先んずるは、男は女を帥(ひき)い、女は男に従う、夫婦の義これ由り始まるなり。婦人は、人に従う者なり。幼にしては父兄に従い、嫁しては夫に従い、夫死しては子に従う。夫なる者は、夫(ふ)なり。夫なる者は、知を以て人を帥いる者なり。玄冕して斎戒するは、鬼神陰陽なればなり。将に以て社稷の主と為り、先祖の後と為らんとす、而して以て敬を致さざるべけんや。牢を共にして食らうは、尊卑を同じうするなり。故に婦人は爵無く、夫の爵に従い、坐するには夫の歯(よわい)を以てす。器に陶匏を用うるは、礼を尚びて然るなり。三王、牢を作るに陶匏を用う。厥(そ)の明(あ)くる、婦、盥(かん)して饋(き)す。舅姑、食を卒うれば、婦、余りを餕(しゅん)す、これを私するなり。舅姑は西階より降り、婦は阼階より降る、これに室を授くるなり。昏礼に楽を用いざるは、幽陰の義なり。楽は陽気なり。昏礼に賀せざるは、人の序なればなり。
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礼記・祭統凡そ人を治むるの道は、礼より急なるは莫し。礼に五経有り、祭より重きは莫し。夫れ祭は、物の外より至る者に非ざるなり、中より出でて心に生ずるなり。心怵(じゅつ)して、これを奉ずるに礼を以てす。是の故に、唯だ賢者のみ能く祭の義を尽くす。 賢者の祭るや、必ずその福を受く。世の所謂福に非ざるなり。福とは、備なり。備とは、百順の名なり。順わざる所無き者、これを備と謂う。内は己に尽くし、外は道に順うを言うなり。忠臣は以てその君に事え、孝子は以てその親に事う。その本は一なり。上は則ち鬼神に順い、外は則ち君長に順い、内は則ち以て親に孝なり。此くの如き、これを備と謂う。唯だ賢者のみ能く備え、能く備えて然る後に能く祭る。是の故に、賢者の祭るや、その誠信とその忠敬とを致し、これを奉ずるに物を以てし、これを道(みちび)くに礼を以てし、これを安んずるに楽を以てし、これを参(まじ)うるに時を以てす。明らかにこれを薦むるのみ。その為を求めず。此れ孝子の心なり。
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礼記・祭統君は巻冕(けんべん)して阼に立ち、夫人は副褘(ふくき)して東房に立つ。夫人、豆を薦むるには校(こう)を執り、醴(れい)を執る者これを授くるには鐙(とう)を執る。尸、夫人に酢(さく)するには柄を執り、夫人、尸に授くるには足を執る。夫婦相授受するに、襲処(しゅうしょ)せず、酢には必ず爵を易う。夫婦の別を明らかにするなり。 凡そ俎(そ)を為る者は、骨を以て主と為す。骨に貴賤有り。殷人は髀(ひ)を貴び、周人は肩を貴ぶ。凡そ前は後よりも貴し。俎は、祭の必ず恵有るを明らかにする所以なり。是の故に、貴き者は貴き骨を取り、賤しき者は賤しき骨を取る。貴き者も重ねず、賤しき者も虚しからず。均しきを示すなり。恵均しければ則ち政行われ、政行わるれば則ち事成り、事成れば則ち功立つ。功の立つ所以の者は、知らざるべからざるなり。俎は、恵の必ず均しきを明らかにする所以なり。政を為すを善くする者は此くの如し。故に曰く、政事の均しきを見すと。
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礼記・祭統故に曰く、禘嘗の義大なり。国を治むるの本なり。知らざるべからざるなり。その義を明らかにする者は、君なり。その事を能くする者は、臣なり。その義を明らかにせざれば、君人全からず。その事を能くせざれば、臣為ること全からず。夫れ義は、志を済(な)す所以なり。諸徳の発なり。是の故に、その徳盛んなる者は、その志厚し。その志厚き者は、その義章(あきら)かなり。その義章かなる者は、その祭るや敬す。祭敬なれば、則ち竟内の子孫敢えて敬せざる莫し。是の故に、君子の祭るや、必ず身親らこれに蒞(のぞ)む。故有れば人をしてせしむるも可なり。人をしてせしむと雖も、君その義を失わざるは、君その義を明らかにするが故なり。その徳薄き者は、その志軽く、その義に疑う。而して祭を求めて、これをして必ず敬せしめんとするや、得べからざるのみ。祭りて敬せずんば、何を以てか民の父母と為らんや。
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礼記・祭統筵(えん)を鋪(し)き同几(どうき)を設くるは、神に依らしめんが為なり。室に詔祝(しょうしゅく)して、祊(ほう)に出づ。此れ神明に交わるの道なり。 君、牲を迎えて尸を迎えざるは、嫌を別つなり。尸、廟門の外に在れば則ち臣に疑われ、廟中に在れば則ち君に全し。君、廟門の外に在れば則ち君に疑われ、廟門に入れば則ち臣に全く、子に全し。是の故に、出でざるは、君臣の義を明らかにするなり。
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