礼記 / 祭義
居鄉以齒,而老窮不遺,強不犯弱,眾不暴寡,而弟達乎州巷矣。 古之道,五十不為甸徒,頒禽隆諸長者,而弟達乎獀狩矣。 軍旅什伍,同爵則尚齒,而弟達乎軍旅矣。
新字:居郷以歯,而老窮不遺,強不犯弱,衆不暴寡,而弟達乎州巷矣。 古之道,五十不為甸徒,頒禽隆諸長者,而弟達乎獀狩矣。 軍旅什伍,同爵則尚歯,而弟達乎軍旅矣。
書き下し
郷に居るに歯を以てして、老窮遺てられず、強は弱を犯さず、衆は寡を暴せず、而して弟州巷(しゅうこう)に達す。 古の道は、五十にして甸徒(でんと)と為らず、禽を頒(わか)つに長者に隆(あつ)くして、而して弟獀狩(そうしゅ)に達す。 軍旅の什伍には、爵を同じくすれば則ち歯を尚びて、而して弟軍旅に達す。
現代語訳
郷里では年齢の順によって序列を定めるので、老いて身寄りのない者も見捨てられず、強い者は弱い者を侵さず、多数は少数に乱暴を働かない。こうして悌が村里にまで行き渡る。 古の道では、五十歳になれば狩りの勢子(甸徒)として駆り出されることはなく、獲物を分けるときには年長者に多く配った。こうして悌が狩猟の場にまで行き渡る。 軍隊の十人組・五人組の中でも、爵位が同じであれば年長者を上とする。こうして悌が軍隊にまで行き渡る。
解説
前段に続いて、年長者を敬う心が郷里・狩猟・軍隊にまで行き渡る様子を述べる段である。郷里では年齢によって序列を定めることで、老いて身寄りのない者が見捨てられず、強い者が弱い者を侵さず、多数が少数に乱暴しないとされる。年齢という誰にでも訪れる基準で序列を立てることが、力や数による支配を和らげるというのである。狩りでは五十を過ぎた者を勢子に出さず、獲物は年長者に多く分ける。軍隊でさえ、爵位が同じなら年長者を立てる。力と規律が最も重んじられる場でも、年齢への敬いが忘れられない。前段の朝廷と道路に加えて、ここで郷里・狩猟・軍隊が挙げられ、社会のあらゆる場面に悌が通っていることが示される。論語学而篇の「弟子、入りては則ち孝、出でては則ち弟」の「出でては弟」を、社会の隅々にまで押し広げたものとも読める。地域社会のつながりが薄れた今、高齢者が見捨てられない仕組みをどう作るかは、そのまま現代の課題である。
この章句が説くこと
礼記祭義敬老悌郷里
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