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礼記 / 祭義

曾子曰:「夫孝,置之而塞乎天地,溥之而橫乎四海;施諸後世而無朝夕;推而放諸東海而準,推而放諸西海而準,推而放諸南海而準,推而放諸北海而準。《詩》云:『自西自東,自南自北,無思不服。』此之謂也。」

新字:曽子曰:「夫孝,置之而塞乎天地,溥之而横乎四海;施諸後世而無朝夕;推而放諸東海而準,推而放諸西海而準,推而放諸南海而準,推而放諸北海而準。《詩》云:『自西自東,自南自北,無思不服。』此之謂也。」

書き下し

曾子曰く、「夫れ孝は、これを置けば天地に塞(み)ち、これを溥(し)けば四海に横たわる。これを後世に施して朝夕無し。推してこれを東海に放(いた)せば準(のり)となり、推してこれを西海に放せば準となり、推してこれを南海に放せば準となり、推してこれを北海に放せば準となる。『詩』に云う、『西よりし東よりし、南よりし北よりし、思いて服せざる無し』と。此れをこれ謂うなり」と。

現代語訳

曾子は言った。「そもそも孝というものは、立てれば天地の間に満ちわたり、広げれば四方の海の果てまで横たわる。後の世に施しても、朝に始まり夕に終わるというような限りはない。押し広げて東の海の果てまで及ぼしても人の守るべき規範となり、西の海の果てまで及ぼしても規範となり、南の海の果てまで及ぼしても規範となり、北の海の果てまで及ぼしても規範となる。『詩経』に『西から東から、南から北から、心から服さない者はない』とある。これはこのことをいうのである」。

解説

曾子が孝の普遍性を、空間と時間の両面から讃えた段である。孝は天地に満ち、四海に広がり、後世に施して尽きることがない。東西南北どの海の果てに押し及ぼしても、人の守るべき規範として通用するという。前段で孝をあらゆる徳の根本と説いたのを受けて、ここではその広がりの大きさを言い切っている。引かれた詩は『詩経』大雅の文王有声の一節で、周の武王の徳に四方の人々がことごとく心服したことをうたったものである。曾子はこれを、孝の徳があまねく人を服させることに重ねている。孝経が孝を「天の経、地の義、民の行」とし、天地を貫く道としたのと、同じ系譜の思想である。孝が地域や時代を越えて通用するというのは、誇張に聞こえるかもしれない。しかし、自分を育ててくれた人を大切に思う心は、どの文化にもある。形は違っても、その根にある感謝の心は国境を越えて通じ合うと考えれば、この段の言葉は今も素直に受け取れる。

この章句が説くこと

礼記曽子孝普遍詩経

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