導師導古典を学びたいすべての人に

礼記 / 雑記下

孔子曰:「凶年則乘駑馬。祀以下牲。」 恤由之喪,哀公使孺悲之孔子學士喪禮,士喪禮於是乎書。 子貢觀於蜡。孔子曰:「賜也樂乎?」對曰:「一國之人皆若狂,賜未知其樂也!」子曰:「百日之蜡,一日之澤,非爾所知也。張而不弛,文武弗能也;弛而不張,文武弗為也。一張一弛,文武之道也。」

新字:孔子曰:「凶年則乗駑馬。祀以下牲。」 恤由之喪,哀公使孺悲之孔子学士喪礼,士喪礼於是乎書。 子貢観於蜡。孔子曰:「賜也楽乎?」対曰:「一国之人皆若狂,賜未知其楽也!」子曰:「百日之蜡,一日之沢,非爾所知也。張而不弛,文武弗能也;弛而不張,文武弗為也。一張一弛,文武之道也。」

書き下し

孔子曰く、「凶年には則ち駑馬に乗り、祀るに下牲を以てす」と。 恤由(じゅつゆう)の喪に、哀公、孺悲(じゅひ)をして孔子に之きて士喪礼を学ばしむ。士喪礼是に於いて書せらる。 子貢、蜡(さ)を観る。孔子曰く、「賜や楽しきか」と。対えて曰く、「一国の人皆狂するが若し、賜未だその楽しきを知らざるなり」と。子曰く、「百日の蜡、一日の沢、爾(なんじ)の知る所に非ざるなり。張りて弛めざるは、文武も能わざるなり。弛めて張らざるは、文武も為さざるなり。一張一弛は、文武の道なり」と。

現代語訳

孔子はいった。「凶作の年には、上に立つ者は劣った馬に乗り、祭祀には格の低い牲を用いる」。 恤由(魯の士)の喪のとき、魯の哀公は孺悲を孔子のもとに遣わして士の喪礼を学ばせた。『士喪礼』はこのとき初めて書き記された。 子貢が蜡祭(さ、年末に万物の神々に感謝する祭)を見物した。孔子が「賜よ、楽しかったか」と尋ねると、子貢は答えた。「国じゅうの人がまるで狂ったように騒いでいました。わたくしにはその楽しさがわかりません」。孔子はいった。「百日の労苦に報いる蜡祭の、一日だけの恩沢であって、おまえにはわからないのだ。弓を張りっぱなしで緩めないことは、文王・武王にもできなかった。緩めっぱなしで張らないことは、文王・武王もしなかった。一度張っては一度緩める、それが文王・武王の道である」。

解説

三つの話を並べた段で、最もよく知られるのは「一張一弛」の出典となった子貢と孔子の問答である。年末の蜡祭で国中の人が狂ったように騒ぐのを見て、子貢はその楽しさがわからないと言う。孔子は、一年の労苦に報いる一日の恩沢であって、おまえにはわからないのだと答える。鄭玄は、民が百日の労苦を重ねたのに対し、一日酒を飲ませて楽しませるのは君の恩沢だと注し、張・弛を弓弩のたとえとして、張り続ければ力が絶え、緩め続ければ形を失うと説く。人を働かせ続ければ力が尽き、休ませ続ければ規律が崩れる。緊張と弛緩を交互に配することが、治める者の道だという。凶年には乗る馬と供える牲を落とすという孔子の言葉も、民の苦しみに上が合わせるという同じ配慮である。職場の打ち上げや年末の宴の意味を、この問答は教えてくれる。

この章句が説くこと

礼記雑記子貢蜡祭一張一弛

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る