論語 / 公冶長篇
子貢曰:『賜也何如。』子曰:『女器也。』『何器也。』『瑚璉也。』
書き下し
子貢曰く、『賜は何如。』子曰く、『女(なんじ)は器なり。』『何の器ぞ。』『瑚璉(これん)なり。』
現代語訳
子貢が『私はどのような人間でしょうか』と尋ねると、孔子は『お前は器だ』と答えた。『何の器ですか』と重ねて尋ねると、『瑚璉(神聖な祭器)だ』と答えた。
解説
弟子の子貢が「私はどのような人間でしょうか」と尋ねると、孔子は「お前は器だ」と答えました。「何の器ですか」と重ねて尋ねると、「瑚璉、つまり祭りの場で使われる立派な器だ」と答えます。器とは、それぞれに向いた役目や使いどころがあるという意味です。瑚璉は美しく貴重な器ですが、それでもまだ一つの決まった使い道に限られた器にすぎない、という孔子の評価も含んでいると読めます。人にはそれぞれ得意なことと、向いていないことがあります。自分がどんな器なのかを素直に受け止め、その持ち味が一番活きる場所で力を発揮することこそ、人としての生き方を豊かにします。
この章句が説くこと
子貢瑚璉適材適所
関連する章句
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史記 仲尼弟子列伝端木賜、衛人、字は子貢。孔子より少きこと三十一歳。子貢は利口巧辞なり、孔子常に其の弁を黜く。問ひて曰く、「汝と回と孰れか愈れる」と。対へて曰く、「賜や何ぞ敢て回を望まん。回や一を聞きて以て十を知り、賜や一を聞きて以て二を知る」と。子貢既に業を受け、問ひて曰く、「賜は何人ぞや」と。孔子曰く、「汝は器なり」と。曰く、「何の器ぞや」と。曰く、「瑚璉なり」と。子貢問ひて曰く、「富みて驕る無く、貧しくして諂ふ無きは、何如」と。孔子曰く、「可なり、貧しくして道を楽しみ、富みて礼を好むには如かず」と。
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孔子家語・致思魯国の法、人の臣妾を諸侯に贖う者は、皆金を府より取る。子貢之を贖い、辞して金を取らず。 孔子之を聞きて曰わく、「賜之を失えり。夫れ聖人の事を挙ぐるや、以て風を移し俗を易う可く、教導以て百姓に施す可し、独り身に適するの行いのみに非ざるなり。今魯国富む者は寡くして貧しき者は衆し、人を贖いて金を受くれば則ち不廉と為さば、則ち何を以て相い贖わんや。今より以後、魯人復た人を諸侯に贖わじ。」
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孔子家語・致思子貢民を治むるを孔子に問う。子曰わく、「懍懍焉として腐索の馬を扞するが若し。」 子貢曰わく、「何ぞ其れ畏るるや。」 孔子曰わく、「夫れ通達禦する皆人なり。道を以て之を導けば、則ち吾が畜なり。道を以て之を導かざれば、則ち吾が讎なり。之を如何ぞ其れ畏るる無からんや。」
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孔子家語・致思子貢孔子に問いて曰わく、「死者は知有りや、将た知無きや。」 子曰わく、「吾死の知有るを言わんと欲すれば、将た孝子順孫の生を妨げて以て死を送らんことを恐る。吾死の知無きを言わんと欲すれば、将た不孝の子其の親を棄てて葬らざらんことを恐る。賜死者の知有ると知無きとを知らんと欲すること莫かれ。今の急に非ず、後自ら之を知らん。」
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荀子・大略篇子貢(しこう)孔子に問ひて曰く、「賜(し)は学に倦(う)めり、願はくは君に事(つか)ふるに息(いこ)はん」と。孔子曰く、「詩に云ふ、『温恭朝夕、事を執りて恪(かく)有り』と。君に事ふるは難し、君に事ふる焉(いづ)くんぞ息ふべけんや」と。「然らば則ち、賜は親に事ふるに息はんことを願ふ」。孔子曰く、「詩に云ふ、『孝子匱(つ)きず、永く爾(なんぢ)の類に錫(たま)ふ』と。親に事ふるは難し、親に事ふる焉くんぞ息ふべけんや」と。「然らば則ち賜は妻子に息はんことを願ふ」。孔子曰く、「詩に云ふ、『寡妻(かさい)に刑(のっと)り、兄弟に至り、以て家邦を御(をさ)む』と。妻子は難し、妻子焉くんぞ息ふべけんや」と。「然らば則ち賜は朋友に息はんことを願ふ」。孔子曰く、「詩に云ふ、『朋友攸(こ)れ攝(たす)く、攝くるに威儀を以てす』と。朋友は難し、朋友焉くんぞ息ふべけんや」と。「然らば則ち賜は耕すに息はんことを願ふ」。孔子曰く、「詩に云ふ、『昼は爾于(ここ)に茅(かや)かり、宵は爾于に綯(なは)を索(な)ふ。亟やかに其れ屋に乗り、其れ始めて百穀を播(ま)く』と。耕すは難し、耕す焉くんぞ息ふべけんや」と。「然らば則ち賜に息ふ者無きか」。孔子曰く、「其の壙(こう)を望めば、皋(こう)如たり、顛(てん)如たり、鬲(かく)如たり。此れ則ち息ふ所を知らん」と。子貢曰く、「大なるかな、死や。君子は焉(ここ)に息ひ、小人は焉に休す」と。
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孔子家語・三恕子貢孔子に問いて曰わく、「子父の命に従うを孝とし、臣君の命に従うを貞とするか。奚ぞ疑わん。」孔子曰わく、「鄙しいかな賜、汝識らざるなり。昔者明王万乘の国、争臣七人有れば、則ち主過挙無し。千乘の国、争臣五人有れば、則ち社稷危からざるなり。百乘の家、争臣三人有れば、則ち禄位替わらず。父に争子有れば、無礼に陥らず。士に争友有れば、不義を行わず。故に子父の命に従うは、奚ぞ詎ぞ孝と為さん。臣君の命に従うは、奚ぞ詎ぞ貞と為さん。夫れ能く其の従う所を審らかにするを、之を孝と謂い、之を貞と謂うなり。」