礼記 / 雑記下
姑姊妹,其夫死,而夫黨無兄弟,使夫之族人主喪。妻之黨,雖親弗主。夫若無族矣,則前後家,東西家;無有,則里尹主之。或曰:主之,而附於夫之黨。 麻者不紳,執玉不麻。麻不加於采。
新字:姑姊妹,其夫死,而夫党無兄弟,使夫之族人主喪。妻之党,雖親弗主。夫若無族矣,則前後家,東西家;無有,則里尹主之。或曰:主之,而附於夫之党。 麻者不紳,執玉不麻。麻不加於采。
書き下し
姑・姉妹、その夫死して、夫の党に兄弟無ければ、夫の族人をして喪を主らしむ。妻の党は、親しと雖も主らず。夫若し族無ければ、則ち前後の家、東西の家。有ること無ければ、則ち里尹これを主る。或いは曰く、これを主りて、夫の党に附す、と。 麻する者は紳(しん)せず、玉を執るものは麻せず。麻は采に加えず。
現代語訳
姑(おば)や姉妹が嫁ぎ先で夫を亡くし、夫の一族に兄弟がいない場合は、夫の一族の者に喪主をさせる。妻の実家の者は、いくら近い親族でも喪主はしない。夫に一族がまったくいなければ、前後や東西の隣家の者が喪主を務める。それもいなければ、里尹(りいん、村の長)が喪主を務める。一説には、妻の実家の者が喪主を務めても、祔祭は夫の一族の祖先に対して行う、ともいう。 麻の絰を腰に着けている者は、紳(しん、礼装の大帯)を締めない。玉を捧げて礼を行う者は、麻の喪服を着けない。麻の絰は、色のある吉の衣には加えない。
解説
夫を亡くした女性の喪を誰が主るかと、喪と吉礼の装いを混ぜない定めである。嫁いだ女性の夫が亡くなって夫の兄弟がいなければ、夫の一族の者が喪主となり、妻の実家の者はいくら親しくても主らない。夫の一族がなければ隣家、それもなければ里尹が主る。鄭玄は、喪に主がいないということはない、と注している。嫁いだ家に属するという当時の家の考え方がうかがえると同時に、身寄りのない死者であっても必ず誰かが喪を主り、地域が最後の担い手となる仕組みを定めている点が注目される。身寄りのない人の弔いを誰が担うかは、今の社会でも切実な問題である。家族がいなければ隣人が、それもなければ地域の役人がという順序は、弔いを社会の務めと見る考え方である。
この章句が説くこと
礼記雑記喪主地域吉凶
関連する章句
-
礼記・雑記上三年の練冠有りて、則ち大功の麻を以てこれに易う。唯だ杖・屨は易えず。父母の喪有りて、尚お功衰(こうさい)なるに、兄弟の殤に附すれば則ち練冠す。殤に附するには、陽童某甫と称し、名いわず、神なればなり。凡そ異居して、始めて兄弟の喪を聞けば、唯だ哭を以て対うるも、可なり。その始めの麻は、散帯絰(さんたいてつ)す。未だ麻を服せずして奔喪し、主人の未だ絰を成さざるに及べば、疏き者は、主人と皆これを成し、親しき者は、その麻帯絰の日数を終う。主妾の喪には、則ち自ら祔し、練祥に至りては、皆その子をしてこれを主らしむ。その殯・祭は、正室に於いてせず。君は僕妾を撫せず。女君死すれば、則ち妾は女君の党の為に服す。女君を摂すれば、則ち先の女君の党の為に服さず。
-
礼記・雑記上凡そ婦人は、その夫の爵位に従う。小斂・大斂・啓には、皆辯(あまね)く拝す。朝夕に哭するには、帷(い)せず。柩無き者は帷せず。君若し載して後にこれを吊すれば、則ち主人は東面して拝し、門の右に北面して踊し、出でて待ち、反りて後に奠す。子羔(しこう)の襲(しゅう)するや、繭衣裳と稅衣(たんい)・纁袡(くんぜん)と一と為し、素端一、皮弁一、爵弁一、玄冕一。曾子曰く、「婦服を襲せず」と。君の為に使いして死するは、公館には復し、私館には復せず。公館とは、公宮と公の為(つく)る所となり。私館とは、卿大夫より以下の家なり。公は七踊、大夫は五踊、婦人は間に居り、士は三踊、婦人は皆間に居る。公の襲は、卷衣(こんい)一、玄端一、朝服一、素積一、纁裳一、爵弁二、玄冕一、褒衣一。朱緑の帯、申ねて大帯を上に加う。小斂の環絰(かんてつ)は、公・大夫・士一なり。公、大斂を視るには、公升りて、商祝席を鋪き、乃ち斂す。魯人の贈や、三玄二纁、広さ尺、長さ幅を終う。
-
礼記・喪服小記婦は祖姑に祔す。祖姑に三人有れば、則ち親しき者に祔す。其の妻大夫たりて卒し、而る後に其の夫大夫たらずして、其の妻に祔すれば則ち牲を易えず。妻卒して後に夫大夫と為りて、其の妻に祔すれば、則ち大夫の牲を以てす。父の後たる者は、出母の為に服無し。服無しとは、喪する者は祭らざるが故なり。婦人の主と為らずして杖つく者は、姑在せば夫の為に杖つき、母は長子の為に削杖す。女子子(じょしし)室に在りて父母の為にするに、其の喪を主る者杖つかざれば、則ち子一人杖つく。
-
礼記・奔喪識る所の者弔わば、先ず家に哭して後に墓に之き、皆これが為に踊を成し、主人に従いて北面して踊す。凡そ喪は、父在れば父主と為る。父没すれば、兄弟同居するも、各おのその喪を主る。親同じければ、長者これを主る。同じからざれば、親しき者これを主る。 遠き兄弟の喪を聞き、既に喪を除きて後に喪を聞けば、免袒して踊を成す。賓を拝するには則ち左手を尚(たっと)ぶ。
-
礼記・雑記下妻は叔父母に視(なぞら)え、姑・姉妹は兄弟に視え、長・中・下の殤は成人に視う。 親の喪は外より除き、兄弟の喪は内より除く。 君の母と妻とに視えては、これを兄弟に比す。顔色に発する者は、亦た飲食せざるなり。 喪を免(まぬか)るるの外、道路を行きて、似たるを見ては目瞿(く)し、名を聞きては心瞿す。死を吊し疾を問うに、顔色戚容必ず以て人に異なる有るなり。此くの如くにして後に以て三年の喪に服すべし。その余は則ち直道にしてこれを行う、是なり。
-
礼記・奔喪服無くして位を為る者は、唯だ嫂叔(そうしゅく)及び婦人の降りて服無き者のみ麻す。 凡そ奔喪するに、大夫の至る有れば、袒してこれを拝し、踊を成して後に襲す。士に於いては、襲して後にこれを拝す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る