礼記 / 雑記下
卒哭而諱。王父母兄弟,世父叔父,姑姊妹。子與父同諱。母之諱,宮中諱。妻之諱,不舉諸其側;與從祖昆弟同名則諱。 以喪冠者,雖三年之喪,可也。既冠於次,入哭踴,三者三,乃出。
新字:卒哭而諱。王父母兄弟,世父叔父,姑姊妹。子与父同諱。母之諱,宮中諱。妻之諱,不舉諸其側;与従祖昆弟同名則諱。 以喪冠者,雖三年之喪,可也。既冠於次,入哭踴,三者三,乃出。
書き下し
卒哭して諱(い)む。王父母・兄弟・世父・叔父・姑・姉妹。子は父と諱を同じくす。母の諱は、宮中に諱む。妻の諱は、諸(これ)をその側に挙げず。従祖昆弟と名を同じくすれば則ち諱む。 喪を以て冠する者は、三年の喪と雖も、可なり。既に次(じ)に冠して、入りて哭踊すること、三たびする者三たび、乃ち出づ。
現代語訳
卒哭の祭が済んだら、死者の名を口にするのを避ける(諱む)。祖父母・兄弟・伯父・叔父・姑(おば)・姉妹の名である。子は父が諱む名を同じく諱む。母が自分の親族のために諱む名は、家の中では口にしない。妻が自分の親族のために諱む名は、妻のそばでは口にしない。自分が諱む名が又従兄弟の名と同じであれば、その名も諱む。 喪中に冠礼(成人の儀式)を迎えた者は、たとえ三年の喪であっても、喪服のままで冠礼を行ってよい。喪の住まいで冠を加えたのち、殯のある所へ入って哭と踊を三度ずつ三回繰り返してから、退出する。
解説
前半は諱(いみな)の定め、後半は喪中の冠礼の定めである。卒哭の後、祖父母や兄弟など近親の名を口にしないのは、死者が霊となって祀られる存在になったからである。興味深いのは、母が自分の親族のために諱む名を家の中では言わず、妻が諱む名を妻のそばでは言わないという規定で、鄭玄はこれを注し、孝子は名を聞けば心がはっとするものだから、人の諱む名を言わないのもまたその心への配慮だとする。後半では、喪中に冠礼の時期が来た者は、三年の喪であっても喪服のまま冠礼を行ってよいとする。鄭玄は、喪を始めたのが冠の月であれば喪服によって冠するのだと注している。人生の節目を喪のために無期限に延ばすことはしない。身近な人の亡き家族の名に触れるとき、その人の心の動きを想像する配慮は、今も大切である。
この章句が説くこと
礼記雑記諱冠礼配慮
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