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礼記 / 楽記

是故先王本之情性,稽之度數,制之禮義。合生氣之和,道五常之行,使之陽而不散,陰而不密,剛氣不怒,柔氣不懾,四暢交於中而發作於外,皆安其位而不相奪也。然後立之學等,廣其節奏,省其文采,以繩德厚。律小大之稱,比終始之序,以象事行。使親疏、貴賤、長幼、男女之理,皆形見於樂。故曰:「樂觀其深矣。」

新字:是故先王本之情性,稽之度数,制之礼義。合生気之和,道五常之行,使之陽而不散,陰而不密,剛気不怒,柔気不懾,四暢交於中而発作於外,皆安其位而不相奪也。然後立之学等,広其節奏,省其文采,以縄徳厚。律小大之称,比終始之序,以象事行。使親疏、貴賤、長幼、男女之理,皆形見於楽。故曰:「楽観其深矣。」

書き下し

是の故に先王は之を情性に本づけ、之を度数に稽(かんが)え、之を礼義に制す。生気の和を合わせ、五常の行を道(みちび)き、之をして陽にして散ぜず、陰にして密ならず、剛気は怒らず、柔気は懾(おそ)れざらしめ、四暢中に交わりて外に発作し、皆其の位に安んじて相奪わざるなり。然る後に之が学等を立て、其の節奏を広め、其の文采を省(つまび)らかにし、以て徳厚を縄(はか)る。小大の称を律し、終始の序を比して、以て事行に象る。親疎・貴賤・長幼・男女の理をして、皆楽に形見(あらわ)れしむ。故に曰く、「楽は其の深きを観る」と。

現代語訳

それゆえ先王は、楽を人の情と性に基づかせ、音律の度数に照らして考え、礼義によって定めた。天地の生気の調和に合わせ、五常(ごじょう、木火土金水の五行)の運行に導き、陽の気は散りすぎず、陰の気は閉じこもりすぎず、剛い気は怒りに走らず、柔らかな気は恐れにすくまないようにした。陰・陽・剛・柔の四つが心のうちで交わって外に現れ出るとき、みなその位置に落ち着いて互いに侵し合わない。そうしたうえで、才に応じた学びの段階を立て、節奏を広く習わせ、文采(あや)を詳しく吟味して、徳の厚さを測った。音の高低の釣り合いを律し、始まりから終わりまでの順序を並べて、世の事業や行いにかたどった。親しい者と疎い者、貴い者と賤しい者、年長者と年少者、男と女の道理を、すべて楽の中に現した。だから「楽はその奥深さを観るものだ」というのである。

解説

先王が楽を制作した原理と、楽が人間関係の道理を映すことを述べた段である。鄭玄は「生気」を陰陽の気、「五常」を五行と注し、「密」は閉じること、「懾」は恐れすくむことと読む。陽は散りすぎず陰は閉じすぎず、剛は怒らず柔は恐れない。人の気質のどれか一つが突出せず、それぞれの位置に落ち着くように音楽を整えるという発想である。後半の「学等を立つ」について鄭玄は、才の差に応じて学ばせることとし、『周礼』大司楽が楽語と楽舞で国子を教えたことを引く。音の高低や始終の順序は、宮を君、商を臣とするように、事や行いにかたどられる。結びの「楽は其の深きを観る」について鄭玄は、同じ楽をともに聴けば、皆が和して敬い、和して順い、和して親しむのだと説明する。同じ歌をともに歌う行事が、学校や職場で人のつながりをつくってきたことを思えば、この見方は遠い昔の話ではない。

この章句が説くこと

礼記楽記陰陽学等和

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