礼記 / 楽記
天高地下,萬物散殊,而禮制行矣。流而不息,合同而化,而樂興焉。春作夏長,仁也;秋斂冬藏,義也。仁近於樂,義近於禮。樂者敦和,率神而從天;禮者別宜,居鬼而從地。故聖人作樂以應天,制禮以配地。禮樂明備,天地官矣。
新字:天高地下,万物散殊,而礼制行矣。流而不息,合同而化,而楽興焉。春作夏長,仁也;秋斂冬蔵,義也。仁近於楽,義近於礼。楽者敦和,率神而従天;礼者別宜,居鬼而従地。故聖人作楽以応天,制礼以配地。礼楽明備,天地官矣。
書き下し
天は高く地は下(ひく)く、万物散殊して、礼制行わる。流れて息(や)まず、合同して化して、楽興る。春作(おこ)り夏長ずるは、仁なり。秋斂(おさ)め冬蔵するは、義なり。仁は楽に近く、義は礼に近し。楽なる者は和を敦くし、神に率(したが)いて天に従う。礼なる者は宜を別ち、鬼に居りて地に従う。故に聖人は楽を作りて以て天に応じ、礼を制して以て地に配す。礼楽明らかに備わりて、天地官(つかさど)る。
現代語訳
天は高く地は低く、万物はそれぞれ散らばって異なる姿をとり、そこに礼の制度が行われる。万物は流れて止まず、一つに合わさって生まれ育ち、そこに楽が興る。春に芽生え夏に育つのは仁である。秋に取り入れ冬にしまい込むのは義である。仁は楽に近く、義は礼に近い。楽は調和を厚くし、神にしたがって天に順う。礼はそれぞれにふさわしい区別を立て、鬼(き、祖霊)のあり方にのっとって地に順う。だから聖人は楽を作って天に応じ、礼を定めて地に配した。礼楽が明らかに備われば、天地はそれぞれの務めを果たす。
解説
礼楽を天地と四季の運行に重ね合わせた段である。天地が高低に分かれ万物が散らばって異なることに礼の区別を見、万物が流れ合わさって生まれ育つことに楽の調和を見る。鄭玄は前者を「礼は異を為す」、後者を「楽は同を為す」と注し、さらに、楽は陽にのっとって生じさせ、礼は陰にのっとって成し遂げるものだと説明する。春夏の生長を仁、秋冬の収蔵を義とし、仁は楽に、義は礼に近いとする配当も、この陰陽の見方による。「神に率いて天に従う」「鬼に居りて地に従う」について鄭玄は、率を循う意とし、ここでの鬼神を先聖先賢のことと読んでいる。礼楽が備われば天地がそれぞれの務めを果たすという結びは大きな話だが、根にあるのは、区別と調和の両方がそろって初めて物事が育つという素朴な感覚である。育てることと、収めて締めくくることは、仕事や家庭の営みにも同じように必要である。
この章句が説くこと
礼記楽記仁義天地
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