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礼記 / 少儀

其以乘壺酒,束修,一犬賜人,若獻人,則陳酒執修以將命,亦曰乘壺酒,束修,一犬。其以鼎肉,則執以將命。其禽加於一雙,則執一雙以將命,委其餘。犬則執紲;守犬,田犬,則授擯者,既受,乃問犬名。牛則執紖,馬則執靮,皆右之。臣則左之。車則說綏,執以將命。甲若有以前之,則執以將命;無以前之,則袒櫜奉胄。器則執蓋。弓則以左手屈韣執拊。劍則啟櫝蓋襲之,加夫橈與劍焉。笏、書、修、苞苴、弓、茵、席、枕、几、熲、杖、琴、瑟、戈有刃者櫝、策、龠,其執之皆尚左手。刀卻刃授穎。削授拊。凡有刺刃者,以授人則辟刃。

新字:其以乗壺酒,束修,一犬賜人,若献人,則陳酒執修以将命,亦曰乗壺酒,束修,一犬。其以鼎肉,則執以将命。其禽加於一双,則執一双以将命,委其余。犬則執紲;守犬,田犬,則授擯者,既受,乃問犬名。牛則執紖,馬則執靮,皆右之。臣則左之。車則説綏,執以将命。甲若有以前之,則執以将命;無以前之,則袒櫜奉胄。器則執蓋。弓則以左手屈韣執拊。剣則啓櫝蓋襲之,加夫橈与剣焉。笏、書、修、苞苴、弓、茵、席、枕、几、熲、杖、琴、瑟、戈有刃者櫝、策、龠,其執之皆尚左手。刀却刃授穎。削授拊。凡有刺刃者,以授人則辟刃。

書き下し

其れ乗壺(じょうこ)の酒・束修(そくしゅう)・一犬を以て人に賜い、若しくは人に献ずれば、則ち酒を陳ね修を執りて以て命を将(おこな)い、亦「乗壺の酒・束修・一犬」と曰う。其れ鼎肉を以てすれば、則ち執りて以て命を将う。其の禽の一双に加うれば、則ち一双を執りて以て命を将い、其の余を委(お)く。犬は則ち紲(せつ)を執る。守犬・田犬は、則ち擯者に授け、既に受けて、乃ち犬の名を問う。牛は則ち紖(しん)を執り、馬は則ち靮(てき)を執り、皆之を右にす。臣は則ち之を左にす。車は則ち綏を説(と)き、執りて以て命を将う。甲は若し以て之に前(さき)だつもの有れば、則ち執りて以て命を将う。以て之に前だつもの無ければ、則ち櫜(こう)を袒(ひら)きて胄を奉ず。哭は則ち蓋を執る。弓は則ち左手を以て韣(とく)を屈して拊(ふ)を執る。剣は則ち櫝(とく)の蓋を啓(ひら)きて之を襲(かさ)ね、夫橈(ふじょう)と剣とを加う。笏・書・修・苞苴(ほうしょ)・弓・茵(いん)・席・枕・几・熲(けい)・杖・琴・瑟・戈の刃有る者は櫝し、策・籥(やく)、其の之を執るは皆左手を尚ぶ。刀は刃を卻(しりぞ)けて穎(えい)を授く。削(しょう)は拊を授く。凡そ刺刃有る者は、以て人に授くれば則ち刃を辟(さ)く。

現代語訳

四つの壺の酒と、束ねた干し肉と、犬一匹とを人に賜ったり献じたりするときは、酒を並べ、干し肉を手に持って口上を述べ、「四壺の酒・束修・犬一匹」と品目を告げる。鼎に入れた肉を贈るときは、それを手に持って口上を述べる。鳥を二羽より多く贈るときは、一対だけを手に持って口上を述べ、残りは地に置く。犬を贈るときは、引き綱を持つ。番犬や猟犬なら取り次ぎの擯者に綱を渡し、受け取ってもらってから、その犬の名を尋ねる。牛なら鼻綱を、馬なら手綱を持ち、いずれも右手で引く。捕虜を献じるときは左手で引く。車を贈るときは綏(すい、乗降用の綱)を外して手に持ち、口上を述べる。鎧を贈るとき、先に差し出すほかの品があればそれを持って口上を述べ、なければ鎧の袋を開いて兜を捧げ持つ。器を贈るときは、そのふたを持つ。弓を贈るときは、左手で弓袋を折り返し、弓の握りを持つ。剣を贈るときは、剣の箱のふたを開けて箱の下に重ね、剣の袋と剣とをその上に載せる。笏・書物・干し肉・包んだ贈り物・弓・敷き物・むしろ・枕・脇息・熲(けい、たいまつの類)・杖・琴・瑟・箱に納めた刃のある戈(ほこ)・筮竹・籥(やく、笛)は、いずれも左手を上にして持つ。刀を渡すときは刃を自分の方に引き、柄の輪のほうを相手に向けて渡す。小刀は柄を渡す。およそ刃や切っ先のあるものを人に渡すときは、刃先を相手に向けない。

解説

贈り物を差し出すときの持ち方と口上の作法を、品目ごとに細かく定めた段である。多くの品をすべて抱えるのではなく、その一部を手に持って口上を述べ、残りは並べておくという作法は、贈り物の中身を示しつつ、受け手の目の前で誇示しすぎないための形である。犬を贈るとき、受け取ってもらってから名を尋ねるという一節は、生き物を物としてではなく名を持つものとして引き継ぐ細やかな配慮を示す。最後の、刀は刃を自分に向けて柄を渡し、刃物は切っ先を人に向けないという定めは、今日でもはさみや包丁を渡すときの作法としてそのまま生きている。二千年以上前の礼の書に、台所や職場でいまも教えられる作法がほとんど同じ形で書かれていることは、相手の安全を思う心が時代を越えて変わらないことを物語っている。

この章句が説くこと

礼記少儀贈答刃物作法

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