礼記 / 少儀
燕侍食於君子,則先飯而後已;毋放飯,毋流歠;小飯而亟之;數噍毋為口容。客自徹,辭焉則止。客爵居左,其飲居右;介爵、酢爵、僎爵皆居右。羞濡魚者進尾;冬右腴,夏右鰭;祭膴。凡齊,執之以右,居之於左。贊幣自左,詔辭自右。酌尸之僕,如君之僕。其在車則左執轡右受爵,祭左右軌范乃飲。凡羞有俎者,則於俎內祭。君子不食圂腴。小子走而不趨,舉爵則坐祭立飲。凡洗必盥。牛羊之肺,離而不提心。凡羞有湇者,不以齊。為君子擇蔥薤,則絕其本末。羞首者,進喙祭耳。尊者以酌者之左為上尊。尊壺者面其鼻。飲酒者、禨者、醮者,有折俎不坐。未步爵,不嘗羞。牛與羊魚之腥,聶而切之為膾;麋鹿為菹,野豕為軒,皆聶而不切;麇為辟雞,兔為宛脾,皆聶而切之。切蔥若薤,實之醯以柔之。其有折俎者,取祭肺,反之,不坐;燔亦如之。尸則坐。
新字:燕侍食於君子,則先飯而後已;毋放飯,毋流歠;小飯而亟之;数噍毋為口容。客自徹,辞焉則止。客爵居左,其飲居右;介爵、酢爵、僎爵皆居右。羞濡魚者進尾;冬右腴,夏右鰭;祭膴。凡斉,執之以右,居之於左。賛幣自左,詔辞自右。酌尸之僕,如君之僕。其在車則左執轡右受爵,祭左右軌范乃飲。凡羞有俎者,則於俎内祭。君子不食圂腴。小子走而不趨,舉爵則坐祭立飲。凡洗必盥。牛羊之肺,離而不提心。凡羞有湇者,不以斉。為君子択蔥薤,則絶其本末。羞首者,進喙祭耳。尊者以酌者之左為上尊。尊壺者面其鼻。飲酒者、禨者、醮者,有折俎不坐。未歩爵,不嘗羞。牛与羊魚之腥,聶而切之為膾;麋鹿為菹,野豕為軒,皆聶而不切;麇為辟鶏,兔為宛脾,皆聶而切之。切蔥若薤,実之醯以柔之。其有折俎者,取祭肺,反之,不坐;燔亦如之。尸則坐。
書き下し
燕(くつろ)ぎて君子に侍食すれば、則ち先ず飯して後に已む。放飯すること毋く、流歠(りゅうせつ)すること毋く、小飯して之を亟(すみ)やかにし、数(しばしば)噍(か)みて口容を為すこと毋かれ。客自ら徹し、辞すれば焉ち止む。客の爵は左に居き、其の飲めるは右に居く。介爵・酢爵(さくしゃく)・僎爵(せんしゃく)は皆右に居く。濡魚を羞むる者は尾を進む。冬は腴(ゆ)を右にし、夏は鰭(き)を右にす。膴(ぶ)を祭る。凡そ斉(せい)は、之を執るに右を以てし、之を居くに左に於いてす。幣を賛くるは左よりし、辞を詔(つ)ぐるは右よりす。尸に酌むの僕は、君の僕の如くす。其の車に在るときは則ち左に轡を執り右に爵を受け、左右の軌范(きはん)を祭りて乃ち飲む。凡そ羞に俎有る者は、則ち俎の内に祭る。君子は圂腴(こんゆ)を食わず。小子は走りて趨らず。爵を挙ぐれば則ち坐して祭り立ちて飲む。凡そ洗には必ず盥(てあら)う。牛羊の肺は、離して心を提(た)たず。凡そ羞に湆(きゅう)有る者は、斉を以てせず。君子の為に葱薤(そうかい)を択べば、則ち其の本末を絶つ。首を羞むる者は、喙(かい)を進めて耳を祭る。尊は酌む者の左を以て上尊と為す。壺を尊(お)く者は其の鼻を面にす。飲酒する者・禨(き)する者・醮(しょう)する者は、折俎有れば坐せず。未だ爵を歩(めぐ)らさざれば、羞を嘗めず。牛と羊と魚との腥(せい)は、聶(しょう)して之を切りて膾(かい)と為す。麋鹿を菹(そ)と為し、野豕を軒(けん)と為し、皆聶して切らず。麇(きん)を辟雞(へきけい)と為し、兎を宛脾(えんぴ)と為し、皆聶して之を切る。葱若しくは薤を切りて、之を醯(けい)に実(み)てて以て之を柔らぐ。其の折俎有る者は、祭肺を取りて、之を反し、坐せず。燔(はん)も亦之の如くす。尸は則ち坐す。
現代語訳
くつろいだ場で君子と食事をともにするときは、先に食べ始めて毒見をし、君子より後に食べ終える。飯を大きくすくって口に入れず、汁を流し込むように飲まず、少しずつ口に運んで速やかに飲み込み、何度も噛んで口をもぐもぐさせるような顔をしない。客が自分で膳を下げようとして、主人が辞退すればやめる。客に勧めた爵は客の左に置き、客が飲み終えた爵は右に置く。介(かい、客の副)の爵、返杯の酢爵、介添えの僎(せん)の爵は、いずれも右に置く。煮た魚を進めるときは、尾を客の方に向ける。冬は腹の脂の多い部分を客の右に、夏は背びれの側を右に向けて置く。魚の腹の大きな切り身を祭る。およそ調味の和え物は、右手で取り、左側に置く。君に代わって幣を授けるときは君の左から、君のことばを伝えるときは右から行う。尸に酒を注ぐ御者は、君の御者と同じ礼をとる。車上にあるときは、左手で手綱を持ち、右手で爵を受け、車軸の左右の端と車の前の横木を祭ってから飲む。およそ俎(そ)に載せた料理を進めるときは、俎の内側で祭る。君子は穀物で飼った豚や犬の腹の脂身を食べない。年少の者は小走りでなく走る。爵を挙げるときは、坐って祭り、立って飲む。およそ杯を洗うときは、必ず手も洗う。牛や羊の肺を祭りに切り分けるときは、中央の部分を切り離さずに少しつなげておく。およそ汁のある料理には、調味の和え物を加えない。君子のために葱や韮を選り分けるときは、根元と葉先を切りそろえる。獣の頭を進めるときは、口先を客に向け、耳を祭る。酒尊を並べるときは、注ぐ者の左にあるものを上等の尊とする。壺を置くときは、その注ぎ口を客の方へ向ける。飲酒の礼、沐浴後の禨(き)の酒、冠礼の醮(しょう)の酒では、切り分けた肉を載せた折俎(せっそ)があれば坐らない。杯が一巡しないうちは、料理に手をつけない。牛・羊・魚の生肉は、薄く切ってから細かく刻んで膾(なます)にする。大鹿や鹿は菹(そ、塩漬け)にし、猪は軒(けん、大切りの肉)にし、いずれも薄く切るだけで刻まない。のろ鹿は辟雞(へきけい)とし、兎は宛脾(えんぴ)とし、いずれも薄く切ってから刻む。葱や韮を刻んで酢に漬け、肉を柔らかくする。折俎があるときは、祭りの肺を取って祭り、もとに戻して、坐らない。焼き肉のときも同じである。ただし尸だけは坐る。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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礼記・玉藻侍坐すれば、則ち必ず席を退く。退かざれば、則ち必ず引きて君の党を去る。席に登るに前由(よ)りせず、席を躐(ふ)むと為す。徒坐には席を尽くさざること尺、書を読み、食すれば、則ち斉(ひと)しくし、豆は席を去ること尺。若し之に食を賜いて君之を客とすれば、則ち之に祭を命じ、然る後に祭る。先ず飯して辯(あまね)く羞を嘗め、飲みて俟(ま)つ。若し羞を嘗むる者有れば、則ち君の食するを俟ちて、然る後に食し、飯して、飲みて俟つ。君之に羞を命ずれば、近き者を羞め、之に品嘗を命じ、然る後に唯欲する所のままにす。凡そ遠食を嘗むるには、必ず近食に順う。君未だ手を覆さざれば、敢えて飧(そん)せず。君既に食すれば、又飯飧す。飯飧する者は、三飯なり。君既に徹すれば、飯と醤とを執りて乃ち出で、従者に授く。凡そ侑食には、食を尽くさず。人に食するときは飽かず。唯水漿は祭らず、若し祭れば已(はなは)だ偝卑(はいひ)と為す。君若し之に爵を賜えば、則ち席を越えて再拝稽首して受け、席に登りて之を祭り、飲みて爵を卒(お)えて君の爵を卒うるを俟ち、然る後に虚爵を授く。君子の酒を飲むや、一爵を受けて色灑如(しゃじょ)たり、二爵にして言言斯(ぎんぎんし)たり、礼は三爵に已みて油油(ゆうゆう)として以て退く。退けば則ち坐して屨を取り、隠辟(いんぺき)して而る後に屨く。左に坐しては右を納れ、右に坐しては左を納る。凡そ尊は必ず玄酒を上にす。唯君のみ尊に面す。唯野人を饗するときは皆酒なり。大夫は側尊に棜(よ)を用い、士は側尊に禁を用う。
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礼記・曲礼上凡そ食を進むるの礼は、殽(こう)を左にし胾(し)を右にし、食は人の左に居き、羹(あつもの)は人の右に居く。膾炙(かいしゃ)は外に処(お)き、醯醤(けいしょう)は内に処き、葱渫(そうせつ)は末に処き、酒漿は右に処く。脯脩(ほしゅう)を以て置く者は、朐(く)を左にし末を右にす。客若し降等なれば、食を執りて興(た)ちて辞し、主人興ちて客に辞し、然る後に客坐す。主人客を延(ひ)きて祭らしむ。食を祭るには、先に進むる所を祭る。殽の序、徧(あまね)くこれを祭る。三飯して、主人客を延きて胾を食らわしめ、然る後に殽を辯(あまね)くす。主人未だ辯くせざれば、客は口を虚しくせず。
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礼記・少儀衣服躬(み)に在りて、其の名を知らざるを罔(もう)と為す。其の未だ燭有らずして後に至る者には、則ち在る者を以て告ぐ。瞽を道(みちび)くも亦然り。凡そ飲酒に献主と為る者は、燭を執り燋(しょう)を抱き、客作(た)ちて辞し、然る後に以て人に授く。燭を執るものは譲らず、辞せず、歌わず。洗盥して食飲を執る者は気すること勿かれ。問うこと有れば、則ち咡(じ)を辟(さ)けて対(こた)う。人の為に祭るを致福と曰い、己の為に祭りて膳を君子に致すを膳と曰い、祔・練には告と曰う。凡そ膳の君子に告ぐるには、主人之を展(あらた)め、以て使者に阼階(そかい)の南に授け、南面して再拝稽首して送る。反命すれば、主人又再拝稽首す。其の礼は、大牢には則ち牛の左肩・臂臑(ひじゅ)を以てし、折りて九個。少牢には則ち羊の左肩を以てし七個。特豕には則ち豕の左肩を以てし五個。国家靡敝(びへい)すれば、則ち車は雕幾(ちょうき)せず、甲は組縢(そとう)せず、食器は刻鏤(こくる)せず、君子は糸屨(しく)を履まず、馬は常に秣(まぐさ)せず。
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礼記・曲礼上長者に侍食するに、主人親(みずか)ら饋(き)すれば、則ち拝して食らう。主人親ら饋せざれば、則ち拝せずして食らう。 共に食らうには飽かず、共に飯するには手を沢(こす)らず。 飯を摶(まる)むること毋かれ、飯を放(ほしいまま)にすること毋かれ、流歠(りゅうせつ)すること毋かれ、咤食(たしょく)すること毋かれ、骨を齧(か)むこと毋かれ、魚肉を反すこと毋かれ、狗(いぬ)に骨を投げ与うること毋かれ。固(もっぱ)ら獲(と)ること毋かれ、飯を揚ぐること毋かれ。黍(きび)を飯するには箸を以てすること毋かれ。羹を嚃(とう)すること毋かれ、羹を絮(ととの)うること毋かれ、歯を刺すこと毋かれ、醢(かい)を歠(すす)ること毋かれ。客羹を絮うれば、主人は亨(に)ること能わずと辞し、客醢を歠れば、主人は窶(まず)しきを以て辞す。濡肉は歯にて決(た)ち、乾肉は歯にて決たず。炙(しゃ)を嘬(さい)すること毋かれ。食を卒(お)われば、客自ら前み跪き、飯斉(はんせい)を徹して以て相者(しょうしゃ)に授け、主人興ちて客に辞し、然る後に客坐す。
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礼記・少儀尊長の己に於いて等を逾(こ)ゆれば、敢えて其の年を問わず。燕見には命を将(おこな)わず。道に遇えば、見らるれば則ち面し、之(ゆ)く所を請わず。喪には事を俟ちて特(ひと)り弔せず。侍坐して使われざれば、琴瑟を執らず、地に画かず、手に容無く、翣(そう)せざるなり。寝ぬれば則ち坐して命を将う。射に侍すれば則ち矢を約し、投に侍すれば則ち矢を擁す。勝てば則ち洗いて以て請う。客も亦之の如くす。角せず、馬を擢(ぬ)かず。君の乗車を執れば則ち坐す。僕者は右に剣を帯び、良綏(りょうすい)を負い、之を面に申(の)べ、諸(これ)を幦(べき)に拖(ひ)き、散綏を以て升り、轡を執りて然る後に歩む。見えんことを請いて退かんことを請わず。朝廷には退と曰い、燕遊には帰と曰い、師役には罷と曰う。君子に侍坐するに、君子欠伸し、笏を運(めぐ)らし、剣首を沢(な)で、屨を還(めぐ)らし、日の蚤莫(そうぼ)を問えば、退かんことを請うと雖も可なり。君に事うる者は量りて而る後に入り、入りて而る後に量らず。凡そ人に乞仮し、人の為に事に従う者も亦然り。然り、故に上は怨み無く、下は罪に遠ざかるなり。密を窺わず、旁狎(ぼうこう)せず、旧故を道(い)わず、色を戯れず。人の臣下たる者は、諫むる有りて訕(そし)ること無く、亡(さ)ること有りて疾(にく)むこと無く、頌して諂うこと無く、諫めて驕ること無し。怠れば則ち張りて之を相(たす)け、廃すれば則ち掃いて之を更(あらた)む。之を社稷の役と謂う。
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礼記・少儀其れ乗壺(じょうこ)の酒・束修(そくしゅう)・一犬を以て人に賜い、若しくは人に献ずれば、則ち酒を陳ね修を執りて以て命を将(おこな)い、亦「乗壺の酒・束修・一犬」と曰う。其れ鼎肉を以てすれば、則ち執りて以て命を将う。其の禽の一双に加うれば、則ち一双を執りて以て命を将い、其の余を委(お)く。犬は則ち紲(せつ)を執る。守犬・田犬は、則ち擯者に授け、既に受けて、乃ち犬の名を問う。牛は則ち紖(しん)を執り、馬は則ち靮(てき)を執り、皆之を右にす。臣は則ち之を左にす。車は則ち綏を説(と)き、執りて以て命を将う。甲は若し以て之に前(さき)だつもの有れば、則ち執りて以て命を将う。以て之に前だつもの無ければ、則ち櫜(こう)を袒(ひら)きて胄を奉ず。哭は則ち蓋を執る。弓は則ち左手を以て韣(とく)を屈して拊(ふ)を執る。剣は則ち櫝(とく)の蓋を啓(ひら)きて之を襲(かさ)ね、夫橈(ふじょう)と剣とを加う。笏・書・修・苞苴(ほうしょ)・弓・茵(いん)・席・枕・几・熲(けい)・杖・琴・瑟・戈の刃有る者は櫝し、策・籥(やく)、其の之を執るは皆左手を尚ぶ。刀は刃を卻(しりぞ)けて穎(えい)を授く。削(しょう)は拊を授く。凡そ刺刃有る者は、以て人に授くれば則ち刃を辟(さ)く。
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