礼記 / 玉藻
童子之節也,緇布衣錦緣,錦紳,并紐錦,束髮皆朱錦也。童子不裘不帛,不屨絇,無緦服。聽事不麻,無事則立主人之北,南面,見先生從人而入。侍食於先生異爵者,後祭先飯。客祭,主人辭曰:「不足祭也。」客飧,主人辭以疏。主人自置其醬,則客自徹之。一室之人,非賓客,一人徹。壹食之人,一人徹。凡燕食,婦人不徹。食棗桃李,弗致于核,瓜祭上環,食中棄所操。凡食果實者後君子,火孰者先君子。有慶,非君賜不賀。孔子食於季氏,不辭,不食肉而飧。
新字:童子之節也,緇布衣錦縁,錦紳,并紐錦,束髪皆朱錦也。童子不裘不帛,不屨絇,無緦服。聴事不麻,無事則立主人之北,南面,見先生従人而入。侍食於先生異爵者,後祭先飯。客祭,主人辞曰:「不足祭也。」客飧,主人辞以疏。主人自置其醬,則客自徹之。一室之人,非賓客,一人徹。壱食之人,一人徹。凡燕食,婦人不徹。食棗桃李,弗致于核,瓜祭上環,食中棄所操。凡食果実者後君子,火孰者先君子。有慶,非君賜不賀。孔子食於季氏,不辞,不食肉而飧。
書き下し
童子の節や、緇布衣(しふい)に錦の縁、錦の紳、并びに紐も錦、束髪は皆朱錦なり。童子は裘せず帛せず、屨に絇(く)せず、緦服(しふく)無し。事を聴くには麻せず、事無ければ則ち主人の北に立ちて面す。先生に見(まみ)ゆるには人に従いて入る。先生の爵を異にする者に侍食するには、後に祭り先に飯す。客祭れば、主人辞して曰く、「祭るに足らざるなり」と。客飧(そん)すれば、主人辞するに疏(そ)を以てす。主人自ら其の醤を置けば、則ち客自ら之を徹す。一室の人は、賓客に非ざれば、一人徹す。壹食(いっしょく)の人は、一人徹す。凡そ燕食には、婦人は徹せず。棗桃李を食するには、核に致さず。瓜は上環を祭り、中を食して操る所を棄つ。凡そ果実を食する者は君子に後れ、火孰(かじゅく)の者は君子に先んず。慶有りて、君の賜に非ざれば賀せず。孔子季氏に食す、辞せず、肉を食わずして飧す。
現代語訳
童子(元服前の子)の装いの定めは、黒い麻布の衣に錦の縁取り、錦の紳(帯の垂れ)、結び紐も錦で、髪を束ねる紐はみな朱の錦である。童子は裘(かわごろも)を着ず、絹の衣も着ず、履物に絇(く、つま先の飾り)をつけず、緦麻(しま、最も軽い喪服)の喪にも服さない。喪の家で用事を手伝うときも麻をつけない。用事のないときは主人の北側に立ち、南を向いて控える。先生に会うときは、大人のあとについて入る。先生や位の異なる人と食事をともにするときは、祭るのは後にし、食べるのは先にする。客が祭ろうとすれば、主人は辞退して「祭るほどの料理ではございません」と言う。客が飯を汁で食べれば、主人は粗末な料理であることを詫びる。主人が自分で客の醤(しょう、ひしお)を置いたなら、客は食後に自分でそれを下げる。同じ家の者どうしで、賓客でなければ、一人が代表して膳を下げる。一緒に食事をした者たちも、一人が代表して下げる。およそくつろいだ食事では、女性は膳を下げない。棗(なつめ)・桃・李(すもも)を食べるときは、種を人前に吐き出さない。瓜を食べるときは、上の輪切りを祭り、中を食べ、手に持っていた部分は捨てる。およそ果物を食べるときは君子より後にし、火を通した料理は君子より先に食べて毒見をする。祝い事があっても、君からの賜り物でなければ祝いを述べない。孔子が季氏(きし、魯の権臣)のもとで食事をしたとき、辞退のあいさつをせず、肉を食べずに飯を汁でかき込んで済ませた。
解説
この章句が説くこと
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礼記・玉藻侍坐すれば、則ち必ず席を退く。退かざれば、則ち必ず引きて君の党を去る。席に登るに前由(よ)りせず、席を躐(ふ)むと為す。徒坐には席を尽くさざること尺、書を読み、食すれば、則ち斉(ひと)しくし、豆は席を去ること尺。若し之に食を賜いて君之を客とすれば、則ち之に祭を命じ、然る後に祭る。先ず飯して辯(あまね)く羞を嘗め、飲みて俟(ま)つ。若し羞を嘗むる者有れば、則ち君の食するを俟ちて、然る後に食し、飯して、飲みて俟つ。君之に羞を命ずれば、近き者を羞め、之に品嘗を命じ、然る後に唯欲する所のままにす。凡そ遠食を嘗むるには、必ず近食に順う。君未だ手を覆さざれば、敢えて飧(そん)せず。君既に食すれば、又飯飧す。飯飧する者は、三飯なり。君既に徹すれば、飯と醤とを執りて乃ち出で、従者に授く。凡そ侑食には、食を尽くさず。人に食するときは飽かず。唯水漿は祭らず、若し祭れば已(はなは)だ偝卑(はいひ)と為す。君若し之に爵を賜えば、則ち席を越えて再拝稽首して受け、席に登りて之を祭り、飲みて爵を卒(お)えて君の爵を卒うるを俟ち、然る後に虚爵を授く。君子の酒を飲むや、一爵を受けて色灑如(しゃじょ)たり、二爵にして言言斯(ぎんぎんし)たり、礼は三爵に已みて油油(ゆうゆう)として以て退く。退けば則ち坐して屨を取り、隠辟(いんぺき)して而る後に屨く。左に坐しては右を納れ、右に坐しては左を納る。凡そ尊は必ず玄酒を上にす。唯君のみ尊に面す。唯野人を饗するときは皆酒なり。大夫は側尊に棜(よ)を用い、士は側尊に禁を用う。
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礼記・玉藻凡そ君に侍するには、紳は垂れ、足は斉(し)を履むが如く、頤(い)は溜(した)たり垂れ拱(きょう)し、視ることは下にして聴くことは上にし、帯を視て以て袷(きょう)に及び、聴くことは郷(むか)いて左に任ず。凡そ君の召すに三節を以てす。二節には以て走り、一節には以て趨(はし)る。官に在りては屨(くつ)を俟たず、外に在りては車を俟たず。士は大夫に於いて、敢えて拝迎せずして拝送す。士は尊者に於いて、先ず拝して進みて面し、之に答拝すれば則ち走る。士は君の所に於いて言うに、大夫の没すれば、則ち謚(おくりな)若しくは字(あざな)を称し、士を名いう。大夫と言うには、士を名いい大夫を字いう。大夫の所に於いては、公諱(こうき)有りて私諱無し。凡そ祭には諱まず、廟中には諱まず、教学して文に臨みては諱まず。古の君子は必ず玉を佩ぶ。右は徴角(ちかく)、左は宮羽(きゅうう)。趨るには《采斉》(さいし)を以てし、行くには《肆夏》(しか)を以てし、周還(しゅうせん)は規に中(あた)り、折還(せつせん)は矩に中る。進めば則ち之を揖し、退けば則ち之を揚げ、然る後に玉鏘鳴(そうめい)するなり。故に君子車に在れば、則ち鸞和(らんか)の声を聞き、行けば則ち佩玉を鳴らす。是を以て非辟(ひへき)の心、自りて入ること無きなり。
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礼記・玉藻朝には玄端、夕には深衣。深衣は三袪(さんきょ)、縫齊(ほうし)は要(よう)に倍し、衽(じん)は旁らに当たり、袂は以て肘を回らすべし。長中は継ぎて尺を掩(おお)う。袷(きょう)は二寸、袪は尺二寸、縁(ふち)の広さは寸半。帛を以て布を裹(つつ)むは、礼に非ざるなり。士は織を衣ず、君無き者は采を貳にせず。衣は正色、裳は間色。列采に非ざれば公門に入らず、絺綌(ちげき)を振(ひとえ)にしては公門に入らず、裘を表しては公門に入らず、裘を襲(おお)いては公門に入らず。纊(こう)を繭と為し、縕(うん)を袍と為し、襌(たん)を絅(けい)と為し、帛を褶(ちょう)と為す。朝服の縞を以てするや、季康子より始まるなり。孔子曰く、「朝服して朝し、朔を卒えて然る後に之を服す」と。曰く、「国家未だ道あらざれば、則ち其の服を充たさず」と。唯君のみ黼裘(ほきゅう)有りて以て誓省(せいせい)す。大裘は古に非ざるなり。君は狐白裘を衣、錦衣以て之を裼(せき)す。君の右は虎裘、厥(そ)の左は狼裘。士は狐白を衣ず。君子は狐青裘に豹褎(ひょうしゅう)、玄綃衣(げんしょうい)以て之を裼す。麑裘(げいきゅう)に青豻褎(せいかんしゅう)、絞衣以て之を裼す。羔裘に豹飾、緇衣以て之を裼す。狐裘は、黄衣以て之を裼す。錦衣狐裘は、諸侯の服なり。犬羊の裘は裼せず、文飾せざるなり、裼せず。裘の裼するや、美を見(あらわ)すなり。弔すれば則ち襲す、飾を尽くさざるなり。君在(いま)せば則ち裼す、飾を尽くすなり。服の襲するや、美を充(おお)うなり。是の故に尸は襲し、玉亀を執るものは襲す。事無ければ則ち裼す、敢えて充わざるなり。
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礼記・玉藻君は故無くして牛を殺さず、大夫は故無くして羊を殺さず、士は故無くして犬豕(けんし)を殺さず。君子は庖廚(ほうちゅう)を遠ざく。凡そ血気有るの類は、身ずから践(ふ)まざるなり。八月に至りて雨ふらざれば、君は挙(きょ)せず。年順成せざれば、君は布を衣て本(ほん)を搢(さしはさ)み、関梁は租せず、山沢は列して賦せず、土功は興さず、大夫は車馬を造ることを得ず。卜人は亀を定め、史は墨を定め、君は体を定む。君は羔幦(こうべき)虎犆(こしょく)。大夫は斉車(さいしゃ)に鹿幦豹犆、朝車。士は斉車に鹿幦豹犆。君子の居るや恒に戸に当たり、寝ぬるや恒に東首す。若し疾風迅雷甚雨有らば、則ち必ず変じ、夜と雖も必ず興(お)き、衣服冠して坐す。日に五たび盥(てあら)い、沐には稷(しょく)、靧(かい)には粱(りょう)、櫛には樿櫛(せんしつ)を用い、髪晞(かわ)けば象櫛を用い、禨(き)を進め羞を進め、工乃ち升りて歌う。浴には二巾を用い、上は絺(ち)下は綌(げき)、杅(う)を出でて蒯席(かいせき)を履み、湯を連用し、蒲席を履み、布を衣て身を晞かし、乃ち屨(くつ)して飲を進む。将に公所に適(ゆ)かんとすれば、宿(しゅく)して斉戒し、外寝に居り、沐浴す。史は象笏(ぞうこつ)を進め、思対命を書す。既に服して、容を習い玉声を観、乃ち出で、私朝に揖す。煇如(きじょ)たり、車に登れば則ち光有り。天子は珽(てい)を搢み、天下に方正なればなり。諸侯は荼(じょ)、前は詘(くっ)し後は直なり、天子に譲ればなり。大夫は前詘後詘、譲らざる所無ければなり。
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礼記・玉藻父命じて呼べば、唯(い)して諾せず。手に業を執れば則ち之を投じ、食口に在れば則ち之を吐き、走りて趨(はし)らず。親老いたれば、出でて方を易えず、復るに時を過ごさず。親癠(や)めば色容盛んならず。此れ孝子の疏節なり。父歿して父の書を読むこと能わざるは、手沢存すればのみ。母歿して杯圏(はいけん)に飲むこと能わざるは、口沢の気存すればのみ。
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礼記・玉藻天子は玉藻(ぎょくそう)、十有二旒(りゅう)、前後邃延(すいえん)にして、龍巻(りょうこん)して以て祭る。玄端(げんたん)して日を東門の外に朝し、朔を南門の外に聴く。閏月には則ち門の左扉を闔(と)じ、其の中に立つ。皮弁(ひべん)して以て日に朝を視、遂に以て食し、日中にして餕(しゅん)し、奏して食す。日に少牢(しょうろう)、朔月には大牢。五飲は、上水、漿(しょう)、酒、醴(れい)、酏(い)。食を卒(お)えて、玄端して居る。動けば則ち左史これを書し、言えば則ち右史これを書し、御瞽(ぎょこ)は声の上下を幾(うかが)う。年順成せざれば、則ち天子は素服し、素車に乗り、食するに楽無し。諸侯は玄端して以て祭り、裨冕(ひべん)して以て朝し、皮弁して以て朔を大廟に聴き、朝服して以て日に朝を内朝に視る。朝は、色を辨じて始めて入る。君は日出でてこれを視、退きて路寝に適(ゆ)きて政を聴き、人をして大夫を視しむ。大夫退き、然る後に小寝に適きて寝(い)ね、服を釈(と)く。又朝服して以て食す。特牲三俎にして肺を祭る。夕には深衣して、牢肉を祭る。朔月には少牢、五俎四簋(き)。子卯(しぼう)には稷食(しょくし)菜羹。夫人は君と庖(ほう)を同じくす。
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