礼記 / 玉藻
侍坐,則必退席;不退,則必引而去君之黨。登席不由前,為躐席。徒坐不盡席尺,讀書,食,則齊,豆去席尺。若賜之食而君客之,則命之祭,然後祭;先飯辯嘗羞,飲而俟。若有嘗羞者,則俟君之食,然後食,飯,飲而俟。君命之羞,羞近者,命之品嘗之,然後唯所欲。凡嘗遠食,必順近食。君未覆手,不敢飧;君既食,又飯飧,飯飧者,三飯也。君既徹,執飯與醬,乃出,授從者。凡侑食,不盡食;食於人不飽。唯水漿不祭,若祭為已偝卑。君若賜之爵,則越席再拜稽首受,登席祭之,飲卒爵而俟君卒爵,然後授虛爵。君子之飲酒也,受一爵而色灑如也,二爵而言言斯,禮已三爵而油油以退,退則坐取屨,隱辟而後屨,坐左納右,坐右納左。凡尊必上玄酒,唯君面尊,唯饗野人皆酒,大夫側尊用棜,士側尊用禁。
新字:侍坐,則必退席;不退,則必引而去君之党。登席不由前,為躐席。徒坐不尽席尺,読書,食,則斉,豆去席尺。若賜之食而君客之,則命之祭,然後祭;先飯弁嘗羞,飲而俟。若有嘗羞者,則俟君之食,然後食,飯,飲而俟。君命之羞,羞近者,命之品嘗之,然後唯所欲。凡嘗遠食,必順近食。君未覆手,不敢飧;君既食,又飯飧,飯飧者,三飯也。君既徹,執飯与醬,乃出,授従者。凡侑食,不尽食;食於人不飽。唯水漿不祭,若祭為已偝卑。君若賜之爵,則越席再拝稽首受,登席祭之,飲卒爵而俟君卒爵,然後授虚爵。君子之飲酒也,受一爵而色灑如也,二爵而言言斯,礼已三爵而油油以退,退則坐取屨,隠辟而後屨,坐左納右,坐右納左。凡尊必上玄酒,唯君面尊,唯饗野人皆酒,大夫側尊用棜,士側尊用禁。
書き下し
侍坐すれば、則ち必ず席を退く。退かざれば、則ち必ず引きて君の党を去る。席に登るに前由(よ)りせず、席を躐(ふ)むと為す。徒坐には席を尽くさざること尺、書を読み、食すれば、則ち斉(ひと)しくし、豆は席を去ること尺。若し之に食を賜いて君之を客とすれば、則ち之に祭を命じ、然る後に祭る。先ず飯して辯(あまね)く羞を嘗め、飲みて俟(ま)つ。若し羞を嘗むる者有れば、則ち君の食するを俟ちて、然る後に食し、飯して、飲みて俟つ。君之に羞を命ずれば、近き者を羞め、之に品嘗を命じ、然る後に唯欲する所のままにす。凡そ遠食を嘗むるには、必ず近食に順う。君未だ手を覆さざれば、敢えて飧(そん)せず。君既に食すれば、又飯飧す。飯飧する者は、三飯なり。君既に徹すれば、飯と醤とを執りて乃ち出で、従者に授く。凡そ侑食には、食を尽くさず。人に食するときは飽かず。唯水漿は祭らず、若し祭れば已(はなは)だ偝卑(はいひ)と為す。君若し之に爵を賜えば、則ち席を越えて再拝稽首して受け、席に登りて之を祭り、飲みて爵を卒(お)えて君の爵を卒うるを俟ち、然る後に虚爵を授く。君子の酒を飲むや、一爵を受けて色灑如(しゃじょ)たり、二爵にして言言斯(ぎんぎんし)たり、礼は三爵に已みて油油(ゆうゆう)として以て退く。退けば則ち坐して屨を取り、隠辟(いんぺき)して而る後に屨く。左に坐しては右を納れ、右に坐しては左を納る。凡そ尊は必ず玄酒を上にす。唯君のみ尊に面す。唯野人を饗するときは皆酒なり。大夫は側尊に棜(よ)を用い、士は側尊に禁を用う。
現代語訳
君のそばに侍って坐るときは、必ず自分の席を君から退けて離す。退けないときは、自分の席を引いて君の身内の者たちの席から離れる。席に上がるときは前からは上がらない。前から上がるのは席を踏み越えることになるからである。ただ坐るだけのときは、席の前端から一尺をあけて坐る。書を読むときや食事をするときは、席の前端にそろえて坐り、豆(とう、食物を盛る高坏)は席から一尺離して置く。君が食事を賜り、客として遇するなら、君が祭(食前に少し取り分けて供えること)を命じてから祭る。まず飯を食べて、並んだ料理を一通り味見し、飲み物を飲んで君を待つ。もし別に毒見役がいるなら、君が食べるのを待ってから食べ、飯を食べ、飲み物を飲んで待つ。君が料理を勧めれば、近くの料理から食べる。君がいろいろ味わうよう命じたら、その後は好きなものを食べてよい。遠くの料理を味わうときは、必ず近くの料理から順に取る。君が手を返して食事を終える合図をしないうちは、汁で飯をかき込むことをしない。君が食べ終えても、さらに飯を汁とともに食べる。そうして食べるのは三口である。君が膳を下げたら、自分の飯と醤(しょう、ひしお)を持って出て、従者に渡す。およそ食事の相伴をするときは、食べ尽くさない。人のもてなしを受けて食べるときは、腹いっぱいにはしない。水と漿(しょう、酸い飲み物)だけは祭らない。もし祭れば、へりくだりすぎになる。君が酒の爵(しゃく、杯)を賜れば、席を下りて再拝稽首(さいはいけいしゅ、二度拝して頭を地につける礼)して受け、席に上がって祭り、飲み干したら君が飲み終えるのを待ち、それから空の爵を返す。君子が酒を飲むときは、一杯目を受けると顔色が改まってつつしみ深くなり、二杯目でことばが和やかにうちとけ、三杯で礼を終え、ゆったりと満ち足りた様子で退く。退くときは坐って履物を取り、脇へ下がってから履く。左足を前に跪いて右の履物をはき、右足を前に跪いて左の履物をはく。およそ酒尊(そん、酒器)を並べるときは、必ず玄酒(げんしゅ、水)を上位に置く。君だけが酒尊に正面から向かう。野の人をもてなすときだけは、玄酒を置かずすべて酒にする。大夫は酒尊を脇に置いて棜(よ、脚のない台)に載せ、士は脇に置いて禁(きん、台)に載せる。
解説
この章句が説くこと
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礼記・少儀燕(くつろ)ぎて君子に侍食すれば、則ち先ず飯して後に已む。放飯すること毋く、流歠(りゅうせつ)すること毋く、小飯して之を亟(すみ)やかにし、数(しばしば)噍(か)みて口容を為すこと毋かれ。客自ら徹し、辞すれば焉ち止む。客の爵は左に居き、其の飲めるは右に居く。介爵・酢爵(さくしゃく)・僎爵(せんしゃく)は皆右に居く。濡魚を羞むる者は尾を進む。冬は腴(ゆ)を右にし、夏は鰭(き)を右にす。膴(ぶ)を祭る。凡そ斉(せい)は、之を執るに右を以てし、之を居くに左に於いてす。幣を賛くるは左よりし、辞を詔(つ)ぐるは右よりす。尸に酌むの僕は、君の僕の如くす。其の車に在るときは則ち左に轡を執り右に爵を受け、左右の軌范(きはん)を祭りて乃ち飲む。凡そ羞に俎有る者は、則ち俎の内に祭る。君子は圂腴(こんゆ)を食わず。小子は走りて趨らず。爵を挙ぐれば則ち坐して祭り立ちて飲む。凡そ洗には必ず盥(てあら)う。牛羊の肺は、離して心を提(た)たず。凡そ羞に湆(きゅう)有る者は、斉を以てせず。君子の為に葱薤(そうかい)を択べば、則ち其の本末を絶つ。首を羞むる者は、喙(かい)を進めて耳を祭る。尊は酌む者の左を以て上尊と為す。壺を尊(お)く者は其の鼻を面にす。飲酒する者・禨(き)する者・醮(しょう)する者は、折俎有れば坐せず。未だ爵を歩(めぐ)らさざれば、羞を嘗めず。牛と羊と魚との腥(せい)は、聶(しょう)して之を切りて膾(かい)と為す。麋鹿を菹(そ)と為し、野豕を軒(けん)と為し、皆聶して切らず。麇(きん)を辟雞(へきけい)と為し、兎を宛脾(えんぴ)と為し、皆聶して之を切る。葱若しくは薤を切りて、之を醯(けい)に実(み)てて以て之を柔らぐ。其の折俎有る者は、祭肺を取りて、之を反し、坐せず。燔(はん)も亦之の如くす。尸は則ち坐す。
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礼記・玉藻凡そ君に侍するには、紳は垂れ、足は斉(し)を履むが如く、頤(い)は溜(した)たり垂れ拱(きょう)し、視ることは下にして聴くことは上にし、帯を視て以て袷(きょう)に及び、聴くことは郷(むか)いて左に任ず。凡そ君の召すに三節を以てす。二節には以て走り、一節には以て趨(はし)る。官に在りては屨(くつ)を俟たず、外に在りては車を俟たず。士は大夫に於いて、敢えて拝迎せずして拝送す。士は尊者に於いて、先ず拝して進みて面し、之に答拝すれば則ち走る。士は君の所に於いて言うに、大夫の没すれば、則ち謚(おくりな)若しくは字(あざな)を称し、士を名いう。大夫と言うには、士を名いい大夫を字いう。大夫の所に於いては、公諱(こうき)有りて私諱無し。凡そ祭には諱まず、廟中には諱まず、教学して文に臨みては諱まず。古の君子は必ず玉を佩ぶ。右は徴角(ちかく)、左は宮羽(きゅうう)。趨るには《采斉》(さいし)を以てし、行くには《肆夏》(しか)を以てし、周還(しゅうせん)は規に中(あた)り、折還(せつせん)は矩に中る。進めば則ち之を揖し、退けば則ち之を揚げ、然る後に玉鏘鳴(そうめい)するなり。故に君子車に在れば、則ち鸞和(らんか)の声を聞き、行けば則ち佩玉を鳴らす。是を以て非辟(ひへき)の心、自りて入ること無きなり。
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礼記・曲礼上長者に侍食するに、主人親(みずか)ら饋(き)すれば、則ち拝して食らう。主人親ら饋せざれば、則ち拝せずして食らう。 共に食らうには飽かず、共に飯するには手を沢(こす)らず。 飯を摶(まる)むること毋かれ、飯を放(ほしいまま)にすること毋かれ、流歠(りゅうせつ)すること毋かれ、咤食(たしょく)すること毋かれ、骨を齧(か)むこと毋かれ、魚肉を反すこと毋かれ、狗(いぬ)に骨を投げ与うること毋かれ。固(もっぱ)ら獲(と)ること毋かれ、飯を揚ぐること毋かれ。黍(きび)を飯するには箸を以てすること毋かれ。羹を嚃(とう)すること毋かれ、羹を絮(ととの)うること毋かれ、歯を刺すこと毋かれ、醢(かい)を歠(すす)ること毋かれ。客羹を絮うれば、主人は亨(に)ること能わずと辞し、客醢を歠れば、主人は窶(まず)しきを以て辞す。濡肉は歯にて決(た)ち、乾肉は歯にて決たず。炙(しゃ)を嘬(さい)すること毋かれ。食を卒(お)われば、客自ら前み跪き、飯斉(はんせい)を徹して以て相者(しょうしゃ)に授け、主人興ちて客に辞し、然る後に客坐す。
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礼記・玉藻君は故無くして牛を殺さず、大夫は故無くして羊を殺さず、士は故無くして犬豕(けんし)を殺さず。君子は庖廚(ほうちゅう)を遠ざく。凡そ血気有るの類は、身ずから践(ふ)まざるなり。八月に至りて雨ふらざれば、君は挙(きょ)せず。年順成せざれば、君は布を衣て本(ほん)を搢(さしはさ)み、関梁は租せず、山沢は列して賦せず、土功は興さず、大夫は車馬を造ることを得ず。卜人は亀を定め、史は墨を定め、君は体を定む。君は羔幦(こうべき)虎犆(こしょく)。大夫は斉車(さいしゃ)に鹿幦豹犆、朝車。士は斉車に鹿幦豹犆。君子の居るや恒に戸に当たり、寝ぬるや恒に東首す。若し疾風迅雷甚雨有らば、則ち必ず変じ、夜と雖も必ず興(お)き、衣服冠して坐す。日に五たび盥(てあら)い、沐には稷(しょく)、靧(かい)には粱(りょう)、櫛には樿櫛(せんしつ)を用い、髪晞(かわ)けば象櫛を用い、禨(き)を進め羞を進め、工乃ち升りて歌う。浴には二巾を用い、上は絺(ち)下は綌(げき)、杅(う)を出でて蒯席(かいせき)を履み、湯を連用し、蒲席を履み、布を衣て身を晞かし、乃ち屨(くつ)して飲を進む。将に公所に適(ゆ)かんとすれば、宿(しゅく)して斉戒し、外寝に居り、沐浴す。史は象笏(ぞうこつ)を進め、思対命を書す。既に服して、容を習い玉声を観、乃ち出で、私朝に揖す。煇如(きじょ)たり、車に登れば則ち光有り。天子は珽(てい)を搢み、天下に方正なればなり。諸侯は荼(じょ)、前は詘(くっ)し後は直なり、天子に譲ればなり。大夫は前詘後詘、譲らざる所無ければなり。
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礼記・玉藻童子の節や、緇布衣(しふい)に錦の縁、錦の紳、并びに紐も錦、束髪は皆朱錦なり。童子は裘せず帛せず、屨に絇(く)せず、緦服(しふく)無し。事を聴くには麻せず、事無ければ則ち主人の北に立ちて面す。先生に見(まみ)ゆるには人に従いて入る。先生の爵を異にする者に侍食するには、後に祭り先に飯す。客祭れば、主人辞して曰く、「祭るに足らざるなり」と。客飧(そん)すれば、主人辞するに疏(そ)を以てす。主人自ら其の醤を置けば、則ち客自ら之を徹す。一室の人は、賓客に非ざれば、一人徹す。壹食(いっしょく)の人は、一人徹す。凡そ燕食には、婦人は徹せず。棗桃李を食するには、核に致さず。瓜は上環を祭り、中を食して操る所を棄つ。凡そ果実を食する者は君子に後れ、火孰(かじゅく)の者は君子に先んず。慶有りて、君の賜に非ざれば賀せず。孔子季氏に食す、辞せず、肉を食わずして飧す。
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礼記・玉藻君、車馬を賜えば、乗りて以て賜を拝す。衣服は、服して以て賜を拝す。君未だ命有らざれば、敢えて即ち乗服せず。君賜えば、稽首し、掌を拠りて諸(これ)を地に致す。酒肉の賜には、再拝せず。凡そ賜は、君子と小人と日を同じくせず。凡そ君に献ずるには、大夫は宰をして、士は親(みずか)らし、皆再拝稽首して之を送る。君に膳するには、葷(くん)・桃・茢(れつ)有り。大夫に於いては茢を去り、士に於いては葷を去り、皆膳宰に造(いた)る。大夫は親ら拝せず、君の己に答うるが為なり。大夫は賜を拝して退き、士は諾を待ちて退き、又拝す、答拝せず。大夫親ら士に賜えば、士拝して受け、又其の室に拝す。衣服は、服せずして以て拝す。敵者在らざれば、其の室に拝す。凡そ尊者に献ずること有れば、敢えて以て聞せず。士は大夫に於いて賀を承けず、下大夫は上大夫に於いて賀を承く。親在せば、礼を人に行うに父を称し、人或いは之に賜えば、則ち父を称して之を拝す。礼盛んならず、服充たさず、故に大裘は裼せず、路車に乗りては式せず。
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