礼記 / 礼器
是故昔先王尚有德,尊有道,任有能。舉賢而置之,聚眾而誓之。是故因天事天,因地事地,因名山升中于天,因吉土以饗帝于郊。升中于天,而鳳凰降,龜龍假。饗帝於郊,而風雨節,寒暑時。是故聖人南面而立而天下大治。
新字:是故昔先王尚有徳,尊有道,任有能。舉賢而置之,聚衆而誓之。是故因天事天,因地事地,因名山升中于天,因吉土以饗帝于郊。升中于天,而鳳凰降,亀竜仮。饗帝於郊,而風雨節,寒暑時。是故聖人南面而立而天下大治。
書き下し
是の故に昔先王は有徳を尚び、有道を尊び、有能に任ず。賢を挙げて之を置き、衆を聚めて之に誓う。是の故に天に因りて天に事え、地に因りて地に事え、名山に因りて中(ちゅう)を天に升(のぼ)せ、吉土に因りて以て帝を郊に饗す。中を天に升せて、鳳凰降り、亀竜假(いた)る。帝を郊に饗して、風雨節あり、寒暑時あり。是の故に聖人南面して立ちて天下大いに治まる。
現代語訳
それゆえ昔、先王は徳ある者を尊び、道ある者を敬い、能力ある者に任せた。賢者を登用して官に就け、人々を集めて誓いを立てた。そして天の高さによって天に仕え、地の低さによって地に仕え、名山に登って天下の治まったことを天に告げ、吉い土地を選んで郊外で天帝を祭った。天下の成功を天に告げると、鳳凰が舞い降り、亀と竜がやって来た。郊外で天帝を祭ると、風雨は節度を保ち、寒暑は時節どおりにめぐった。だから聖人は南に向かって立つだけで、天下は大いに治まったのである。
解説
先王の政治と祭祀の結びつきを述べる段である。先王は徳・道・能のある者を尊び用い、賢者を登用し、人々を集めて誓いを立てた。そのうえで、天の高さに応じて天を祭り、地の低さに応じて地を祭り、名山に登って天下の成功を天に告げ、吉い土地を選んで郊外で天帝を祭った。その結果、鳳凰や亀竜が現れ、風雨寒暑が時を得たという。前段の、礼は自然の条件に因って定めるという考えを、天下を治める大きな祭りに当てはめたものである。人を正しく用いることが先に述べられ、祭祀がその後に来る順序に注意したい。天が応じるのは、祭りの形が整っているからではなく、その前に賢者を登用し人々と誓いを共にしているからだと読める。聖人が南面して立つだけで天下が治まるというのは、『論語』衛霊公篇で舜が己を恭しくして正しく南面したのみと言われたのと同じ理想である。人を得ることが先で、儀式や仕組みはその後だという順序は、今の組織運営にも当てはまる。
この章句が説くこと
礼記任賢祭祀南面礼器
関連する章句
-
『呻吟語』内篇・倫理・福を求むるは已に君子の心に非ず郊社は、天地生成の大德に報ゆるなり。然れども災沴には禳有り、順成には祈有り。君の私田を為すは則ち仁、民の公田を為すは則ち忠なり。福を求むるを嫌はず、禍を免るるを嫌はず。子孫の先祖を祭るは、追養繼孝を以てなり。我が祖父母より此の身有るなり。曰く、「先人の澤に賴りて、以て其の餘慶を享く」と。曰く、「吾朝夕奉養して歡を承けしに、一旦復た杯棬を獻ぜず、心悲思して寄する無し、故に祭薦して以て吾が情を伸ぶるなり」と。曰く、「吾貧賤にして菽水を供するに足らず、今鼎食するも親逮ばず、心悲思して及ぶ莫し、故に祭薦して以て吾が悔いを志すなり」と。豈に其の遊魂虛位の能く我を福せんが為に之を求めんや。福を求むるは已に君子の心に非ず。而して一飯の設、數拜の勤を以て、福を先人に求む、仁孝誠敬の心果たして是くのごとくならんや。利を謀らず、報を責めず、其の感激を望まず。他人に在りてすら猶ほ然り、而るに況んや我が先人をや。『詩』の祭は必ず福を言ふ、而して『楚茨』の諸詩を尤も甚だしと為す、豈に訓と為す可けんや。吾獨り『采蘩』『采蘋』の二詩に取る有り。物を盡くし志を盡くし、以て吾が子孫の誠敬を達するのみ、他は及ばざるなり。此の道に明らかならば、則ち天下の萬事萬物皆我の當に為すべき所を盡くし、禍福利害は皆其の自ら至るに聽す。人事脩まりて外慕の心息み、道に向かふこと專らにして作輟の念忘れん。何者ぞ。性分に明らかにして冀悻する所無ければなり。
-
『呻吟語』外篇・品藻・古人の笑ふ所宋儒は古に泥み、更に古昔の真偽、今世の是非を考へず。只だ祭祀一節の如し。古人は席地にして飲食に便ならず。故に簠簋籩豆を尚び、其の器は皆な高し。今古人を祭るに之を用ふるは、其の時に從ふなり。子孫の祖考を祭るは、只だ祖考の常に用ひし所の宜しきを用ふ可し。而るに簠簋籩豆是れ設くるは可ならんや。諸の此の類の如きは甚だ多く、皆な古人の笑ふ所なり。古人をして今に生まれしめば、舉動必ず此の如くならざらん。
-
論語・八佾篇子曰く、『禘は既に灌より往くもの、吾これを観るを欲せざるなり。』
-
『墨子』明鬼下今、無鬼を執る者曰く、意うに親の利に忠ならずして、孝子を害するを為さんか、と。子墨子曰く、古今の鬼を為すは、他に非ざるなり。天鬼有り、亦た山川鬼神なる者有り、亦た人、死して鬼と為る者有り。今、子の其の父に先んじて死し、弟の其の兄に先んじて死する者有り。意うに死すること然りと雖も、然り而して天下の陳物、曰く、先に生まるる者は先に死す、と。是くの若くんば、則ち先に死する者は父に非ざれば則ち母、兄に非ざれば而ち姒なり。今、潔く酒醴粢盛を為りて、以て敬み慎みて祭祀す。若し鬼神をして誠に有らしめば、是れ其の父母姒兄を得て之に飲食せしむるなり。豈に厚利に非ざらんや。
-
『呻吟語』内篇・談道・鑿ちて求む可からず、道破す可からず鬼神を敬事するは、聖人の世教を維持する大端なり。其の義は深く、其の功は大なり。但だ自ら鑿ちて求む可からず、道破す可からざるのみ。
-
『都鄙問答』卷之二・鬼神ヲ遠ト云事ヲ問ノ段又問、或人云、子曰、其の鬼に非ずして之を祭るは諂ひなりと、祭べからずとのたまふ。我朝には、土地の神、又太神宮といへども、御恩の為に、五穀の出来、初穂や或は神楽などを捧奉ることなれば、兎角唐土とは違有と云り。然るに汝、神は一列の如くに云へるは、如何なることぞ。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る