礼記 / 礼器
有以大為貴者:宮室之量,器皿之度,棺椁之厚,丘封之大。此以大為貴也。 有以小為貴者:宗廟之祭,貴者獻以爵,賤者獻以散;尊者舉觶,卑者舉角。五獻之尊:門外缶,門內壺,君尊瓦甒。此以小為貴也。
新字:有以大為貴者:宮室之量,器皿之度,棺椁之厚,丘封之大。此以大為貴也。 有以小為貴者:宗廟之祭,貴者献以爵,賤者献以散;尊者舉觶,卑者舉角。五献之尊:門外缶,門内壺,君尊瓦甒。此以小為貴也。
書き下し
大を以て貴しと為す者有り。宮室の量、器皿の度、棺椁(かんかく)の厚さ、丘封の大いさ。此れ大を以て貴しと為すなり。 小を以て貴しと為す者有り。宗廟の祭に、貴き者は献ずるに爵を以てし、賤しき者は献ずるに散(さん)を以てす。尊き者は觶(し)を挙げ、卑しき者は角を挙ぐ。五献の尊は、門外には缶(ふ)、門内には壺、君の尊は瓦甒(がぶ)。此れ小を以て貴しと為すなり。
現代語訳
礼には、大きいことを尊いとするものがある。宮殿や家屋の広さ、器物の寸法、棺と外棺の厚さ、墓の盛り土の大きさがそうである。これが大きいことを尊いとするものである。 礼には、小さいことを尊いとするものがある。宗廟の祭りでは、身分の高い者は小さな爵(しゃく、一升入りの杯)で献杯し、身分の低い者は大きな散(さん、五升入りの杯)で献杯する。尊い者は觶(し、三升入りの杯)を挙げ、卑しい者は角(四升入りの杯)を挙げる。五献の礼(子爵・男爵の饗応)の酒樽は、門の外には大きな缶(ふ、甕)を置き、門の内には壺を置き、君の前の酒樽は小さな瓦甒(がぶ、素焼きの樽)である。これが小さいことを尊いとするものである。
解説
礼の差等を大小の尺度で示す段である。前半では、宮室の広さ、器の寸法、棺椁の厚さ、墳丘の大きさが、身分の高いほど大きいとされる。これは誰にでもわかる、目に見える尊さの示し方である。ところが後半では逆に、宗廟の祭りで尊い者ほど小さな杯を用いる。鄭玄の注によれば爵は一升、觶は三升、角は四升、散は五升で、身分が上がるほど杯は小さくなる。酒樽も、門外の大きな缶、門内の壺、君の前の小さな瓦甒と、君に近いほど小さい。尊い人ほど多く飲むのではなく、少なく飲んで節度を示すという考えがそこにある。大きさで尊さを示す礼と、小ささで尊さを示す礼とが並べられていることで、礼が単純に「多い・大きいほど偉い」という物差しではないことがわかる。上に立つ人ほど取り分を控えるという感覚は、今の組織でも信頼を得る大切な作法である。
この章句が説くこと
礼記大小酒器節度礼器
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