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礼記 / 礼器

禮器,是故大備。大備,盛德也。禮釋回,增美質。措則正,施則行。其在人也,如竹箭之有筠也;如松柏之有心也。二者居天下之大端矣。故貫四時而不改柯易葉。故君子有禮,則外諧而內無怨,故物無不懷仁,鬼神饗德。

新字:礼器,是故大備。大備,盛徳也。礼釈回,增美質。措則正,施則行。其在人也,如竹箭之有筠也;如松柏之有心也。二者居天下之大端矣。故貫四時而不改柯易葉。故君子有礼,則外諧而内無怨,故物無不懐仁,鬼神饗徳。

書き下し

礼器は、是の故に大いに備わる。大いに備わるは、盛徳なり。礼は回(よこしま)を釈(す)て、美質を増す。措(お)けば則ち正しく、施せば則ち行わる。其の人に在るや、竹箭(ちくせん)の筠(いん)有るが如く、松柏の心有るが如し。二者は天下の大端に居る。故に四時を貫きて柯(えだ)を改め葉を易えず。故に君子礼有れば、則ち外諧(かな)いて内怨み無し。故に物仁を懐(おも)わざる無く、鬼神徳を饗(う)く。

現代語訳

礼は人を器として成り立たせるものであり、だからこそ人は大いに備わった者となる。大いに備わるとは、盛んな徳のことである。礼は邪なものを取り除き、美しい素質を増す。身に置けば正しくなり、事に施せば物事がうまく行われる。礼が人にあるのは、竹に堅い表皮があり、松や柏に堅い芯があるようなものである。この二つは天下の草木のなかで最も大いなる根本の位置を占めている。だから四季を通じて枝を改めず、葉を変えることもない。だから君子に礼があれば、外では人々と調和し、内には恨みがない。だから人々はみな君子の仁を慕い、鬼神もその徳を受け入れるのである。

解説

礼器篇の冒頭である。篇名の「礼器」について、鄭玄は礼が人を器として成り立たせる意と解しており、礼によって人は徳の備わった器となるという考えが篇全体を貫く。礼は邪を除き、美質を増し、身に置けば正しく、施せば行われる。その礼を身につけた人を、竹の堅い表皮や松柏の芯にたとえ、四季を通じて枝も葉も改めないと言う。『論語』子罕篇の「歳寒くして、然る後に松柏の彫むに後るるを知る」を思わせる比喩で、礼が人に節操を与え、外界の変化に揺るがない芯をつくることを示している。礼ある君子は外で人と調和し、内に恨みを抱かないので、人も神もその徳を受け入れる。外で人に合わせることと、内に恨みをためないことは、しばしば両立しない。その両立を可能にするのが礼だという主張は、人付き合いに疲れがちな今の人にも示唆を与える。

この章句が説くこと

礼記礼器松柏節操徳

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