論語 / 子罕篇
子曰:「歲寒,然後知松柏之後凋也。」
書き下し
子曰く、歳寒くして、然る後に松柏の後れて凋むを知るなり。
現代語訳
先生がおっしゃった。「年の暮れの寒さが来て、はじめて松や柏が他より遅れて枯れることが分かる。」
解説
春や夏には、どの木も緑である。違いが見えるのは、寒さが来てからだ。人の真価も同じように、順境では判別できないという教えである。有名な一句だが、実務的に読むと二つのことを言っている。一つは、平時の観察には限界があるということ。もう一つは、寒さは必ず来るということである。だから、いま見分けがつかないのは観察が甘いからではなく、時期が来ていないだけとも言える。同時に、この一句は自分の側にも向けられる。自分が松柏かどうかは、寒くなるまで自分でも分からない。順境で誠実でいるのは容易だが、資金が詰まり、評判が落ち、味方が減ったときに何が残るか。それは予測ではなく、実際に通ってみるしかない。人を見るときも自分を見るときも、寒さが判定の場になる。