礼記 / 月令
季秋之月,日在房,昏虛中,旦柳中。其日庚辛。其帝少暭,其神蓐收。其蟲毛,其音商,律中無射。其數九。其味辛,其臭腥。其祀門,祭先肝。 鴻鴈來賓。爵入大水為蛤。鞠有黃華,豺乃祭獸戮禽。
新字:季秋之月,日在房,昏虚中,旦柳中。其日庚辛。其帝少暭,其神蓐収。其虫毛,其音商,律中無射。其数九。其味辛,其臭腥。其祀門,祭先肝。 鴻鴈来賓。爵入大水為蛤。鞠有黄華,豺乃祭獣戮禽。
書き下し
季秋の月、日は房(ぼう)に在り、昏に虚(きょ)中し、旦に柳中す。其の日は庚辛。其の帝は少暭、其の神は蓐収。其の虫は毛、其の音は商、律は無射(ぶえき)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。 鴻鴈来賓(らいひん)す。爵(すずめ)大水に入りて蛤(はまぐり)と為る。鞠(きく)に黄華有り、豺(さい)乃ち獣を祭り禽を戮(ころ)す。
現代語訳
秋の終わりの月(旧暦九月)には、太陽は房宿の位置にあり、日暮れには虚宿が南中し、夜明けには柳宿が南中する。日は庚辛。帝は少皞、神は蓐収。動物は毛のあるもの、音は商、律は無射に当たる。数は九。味は辛さ、においは生臭さ。祀るのは門の神で、供物は肝臓を先にする。 雁が客のようにやって来て留まる。すずめが海に入ってはまぐりとなる。菊に黄色い花が咲き、山犬(豺)は捕らえた獣を並べて祭り、鳥を殺す。
解説
季秋(旧暦九月)の天象と五行の配当、物候を述べる段である。物候のうち、雁が客のようにやって来て留まる、すずめが海に入ってはまぐりになる、菊に黄色い花が咲くという三句は、中国の七十二候で寒露の三候として受け継がれた。すずめがはまぐりになるというのは、秋にすずめの群れが見えなくなり、浜辺にはまぐりが多くなることを、姿を変えたものと見た古人の想像である。菊が咲くこの月は、重陽の節句に菊を愛でる習慣とも結びつき、日本でも菊は秋を代表する花として尊ばれてきた。山犬が獣を並べて祭るという記述は、孟春の獺、孟秋の鷹と同じく、生き物が獲物を並べる姿に祭りを見たものである。季節ごとの生き物の姿に、人の礼に通じるものを見いだそうとしたまなざしは、自然と人とを切り離さずに考える東洋の思考の特色をよく表している。
この章句が説くこと
礼記月令季秋菊物候
関連する章句
-
呂氏春秋・季秋①季秋の月。日は房に在り、昏に虚中し、旦に柳中す。其の日は庚辛、其の帝は少皞、其の神は蓐收、其の蟲は毛、其の音は商、律は無射に中る。其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭るには肝を先にす。候鴈來たり、賓爵、大水に入りて蛤と為る。菊に黄華有り。豺は則ち獸を祭り禽を戮す。天子は總章の右個に居り、戎路に乘り、白駱を駕し、白旂を載て、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らう。其の器は廉にして以て深し。
-
礼記・月令孟秋の月、日は翼に在り、昏に建星中し、旦に畢中す。其の日は庚辛(こうしん)。其の帝は少皞(しょうこう)、其の神は蓐収(じょくしゅう)。其の虫は毛。其の音は商、律は夷則(いそく)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥(せい)。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。 涼風至り、白露降り、寒蟬(かんせん)鳴く。鷹乃ち鳥を祭り、用(もっ)て始めて戮(りく)を行う。
-
『淮南子』時則訓季秋の月、招搖は戌を指し、昏に虛中し、旦に柳中す。其の位は西方、其の日は庚辛、其の蟲は毛、其の音は商、律は無射に中たり、其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭には肝を先にす。候鴈來たり、賓雀大水に入りて蛤と為り、菊に黃華有り、豺乃ち獸を祭り禽を戮す。天子は白衣を衣、白駱に乘り、白玉を服し、白旗を建て、麻と犬とを食らい、八風の水を服し、柘を爨き火を燧り、西宮の御女は白色、白采を衣、白鐘を撞き、其の兵は戈、其の畜は犬、總章の右丢に朝す。有司に命じ、號令を申嚴し、百官貴賤、入るるを務めざる無く、以て天地の藏に會い、宣出する有る無からしむ。乃ち冢宰に命じ、農事備さに收め、五穀の要を舉げ、帝籍の收を神倉に藏めしむ。是の月や、霜始めて降り、百工休む。乃ち有司に命じて曰く、寒氣總て至り、民力堪えず、其れ皆な室に入れ、と。上丁に學に入りて吹を習い、大いに帝を饗し、犧牲を嘗め、諸侯を合し、百縣を制し、來歲の朔日を受くると、諸侯の民に稅する所、輕重の法、貢歲の數とを為し、遠近土地の宜しき所を以て度と為す。乃ち田獵を教え、以て五戎を習う。太僕及び七騶に命じ、咸な駕して戴荏し、車を授くるに級を以てし、皆な正しく屏外に設けしむ。司徒は朴を搢み、北嚮して以て之を贊く。天子乃ち服を厲しくし飾りを廣くし、弓を執り矢を操りて以て獵す。主祠に命じ、禽を四方に祭らしむ。是の月草木黃ばみ落つれば、乃ち薪を伐りて炭と為し、蟄蟲咸な俛せば、乃ち獄刑に趨き、罪有るを留むる毋く、祿秩の當たらざる、供養の宜しからざる者を收む。路を通じ道を除くこと、境より始め、國に至りて后に已む。是の月、天子乃ち犬を以て麻を嘗め、先ず寢廟に薦む。季秋に夏令を行えば、則ち其の國大水あり、冬藏殃い敗れ、民に鼽窒多し。冬令を行えば、則ち國に盜賊多く、邊竟寧からず、土地分裂す。春令を行えば、則ち飕風來たり至り、民氣解隋し、師旅並び興る。九月は候を官とし、其の樹は槐なり。
-
礼記・月令孟秋に冬の令を行えば、則ち陰気大いに勝ち、介虫(かいちゅう)穀を敗り、戎兵乃ち来たる。春の令を行えば、則ち其の国乃ち旱し、陽気復た還り、五穀実無し。夏の令を行えば、則ち国に火災多く、寒熱節ならず、民に瘧疾(ぎゃくしつ)多し。 仲秋の月、日は角(かく)に在り、昏に牽牛中し、旦に觜觿(しけい)中す。其の日は庚辛、其の帝は少暭、其の礼は蓐収。其の虫は毛。其の音は商、律は南呂(なんりょ)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。
-
礼記・月令季夏の月、日は柳(りゅう)に在り、昏に火中し、旦に奎中す。其の日は丙丁。其の帝は炎帝、其の神は祝融。其の虫は羽。其の音は徴、律は林鍾(りんしょう)に中る。其の数は七。其の味は苦、其の臭は焦。其の祀りは竈、祭るに肺を先にす。温風始めて至り、蟋蟀(しつしゅつ)壁に居り、鷹乃ち学習し、腐草(ふそう)螢と為る。
-
礼記・月令季冬の月は、日は婺女(ぶじょ)に在り、昏(くれ)に婁(ろう)中し、旦(あした)に氐(てい)中す。其の日は壬癸(じんき)。其の帝は顓頊(せんぎょく)、其の神は玄冥(げんめい)。其の虫は介。其の音は羽、律は大呂(たいりょ)に中(あた)る。其の数は六。其の味は鹹(かん)、其の臭(におい)は朽。其の祀は行(こう)、祭るに腎を先にす。 鴈(かり)北に郷(むか)い、鵲(かささぎ)始めて巣くう。雉(きじ)雊(な)き、雞(にわとり)乳す。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る