礼記 / 月令
孟秋之月,日在翼,昏建星中,旦畢中。其日庚辛。其帝少皞,其神蓐收。其蟲毛。其音商,律中夷則。其數九。其味辛,其臭腥。其祀門,祭先肝。 涼風至,白露降,寒蟬鳴。鷹乃祭鳥,用始行戮。
新字:孟秋之月,日在翼,昏建星中,旦畢中。其日庚辛。其帝少皞,其神蓐収。其虫毛。其音商,律中夷則。其数九。其味辛,其臭腥。其祀門,祭先肝。 涼風至,白露降,寒蝉鳴。鷹乃祭鳥,用始行戮。
書き下し
孟秋の月、日は翼に在り、昏に建星中し、旦に畢中す。其の日は庚辛(こうしん)。其の帝は少皞(しょうこう)、其の神は蓐収(じょくしゅう)。其の虫は毛。其の音は商、律は夷則(いそく)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥(せい)。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。 涼風至り、白露降り、寒蟬(かんせん)鳴く。鷹乃ち鳥を祭り、用(もっ)て始めて戮(りく)を行う。
現代語訳
秋の初めの月(旧暦七月)には、太陽は翼宿の位置にあり、日暮れには建星が南中し、夜明けには畢宿が南中する。日は十干の庚と辛(五行の金に当たる)。帝は少皞(金天氏とされる古の帝王)、神は蓐収(金をつかさどる神)。動物は毛のあるもの。音は五音の商、律は夷則に当たる。数は九。味は辛さ、においは生臭さ。祀るのは門の神で、供物は肝臓を先にする。 涼しい風が吹き、白露が降り、寒蟬(ひぐらしの類)が鳴く。鷹は捕らえた鳥を並べて祭るようにし、これを機に人の世でもはじめて刑罰による処刑を行う。
解説
孟秋(旧暦七月)の天象と五行の配当、物候を述べる段である。季節が秋に入り、日は庚辛、帝は少皞、神は蓐収、音は商、数は九、味は辛、においは腥、祀るのは門と、すべてが五行の金に配当し直される。涼しい風、白露、ひぐらしの声は、中国の七十二候で立秋の三候とされ、日本の七十二候でも「涼風至る」「寒蝉鳴く」が立秋の候に置かれている。秋は万物を引き締め、実を結ばせて余分なものを枯らす粛殺の季節とされ、鷹が鳥を捕らえて並べるのを合図に、人の世でも刑の執行を始める。死刑の執行を秋から冬に行うという中国の長い慣行は、この考えに根ざしている。人を認め育てる時と、けじめをつける時とを分けて考えることは、今日の人の上に立つ者にも大切な心得である。
この章句が説くこと
礼記月令孟秋刑罰立秋
関連する章句
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呂氏春秋・孟秋①孟秋の月。日は翼に在り、昏に斗中し、旦に畢中す。其の日は庚辛、其の帝は少皞、其の神は蓐收、其の蟲は毛、其の音は商、律は夷則に中る。其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭るには肝を先にす。涼風至り、白露降り、寒蟬鳴き、鷹乃ち鳥を祭る。始めて刑戮を用いる。天子、總章の左個に居り、戎路に乘り、白駱を駕し、白旂を載て、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らう。其の器は廉にして以て深し。
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『淮南子』時則訓孟秋の月、招搖は申を指し、昏に斗中し、旦に畢中す。其の位は西方、其の日は庚辛、盛德は金に在り、其の蟲は毛、其の音は商、律は夷則に中たり、其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭には肝を先にす。涼風至り、白露降り、寒蟬鳴き、鷹乃ち鳥を祭り、用て始めて戮を行う。天子は白衣を衣、白駱に乘り、白玉を服し、白旗を建て、麻と犬とを食らい、八風の水を服し、柘を爨き火を燧り、西宮の御女は白色、白采を衣、白鐘を撞き、其の兵は戈、其の畜は狗、總章の左丢に朝し、以て秋令を出だす。不孝不悌を求め、暴傲悍を戮して之を罰し、以て損氣を助く。立秋の日、天子親ら三公九卿大夫を率いて以て秋を西郊に迎う。還りて、乃ち軍率武人を朝に賞す。將率に命じ、卒を選び兵を厲ぎ、桀俊を簡練し、專ら功有るに任じ、以て不義を征し、暴慢を詰誅し、彼の四方を順わしむ。有司に命じ、法制を修め、囹圄を繕い、姦を禁じ邪を塞ぎ、決獄を審らかにし、詞訟を平らかにせしむ。天地始めて肅たり、以て贏る可からず。是の月、農始めて穀を升め、天子新を嘗め、先ず寢廟に薦む。百官に命じ、始めて收斂し、隄防を完うし、障塞を謹み、以て水潦に備え、城郭を修め、宮室を繕わしむ。以て侯を封じ、大官を立て、重幣を行い、大使を出だす毋かれ。是の月令を行えば、涼風至ること三旬。孟秋に冬令を行えば、則ち陰氣大いに勝ち、介蟲穀を敗り、戎兵乃ち來たる。春令を行えば、則ち其の國乃ち旱し、陽氣復た還り、五穀實無し。夏令を行えば、則ち冬に火災多く、寒暑節せず、民に瘧疾多し。七月は庫を官とし、其の樹は楝なり。
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礼記・月令天子は総章(そうしょう)の左个に居り、戎路(じゅうろ)に乗り、白駱(はくらく)に駕し、白旂を載せ、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らい、其の器は廉(かど)ありて以て深し。 是の月や、以て秋を立つ。立秋に先だつこと三日、大史之を天子に謁げて曰く、「某日立秋なり、盛徳は金に在り」と。天子乃ち斉す。立秋の日、天子親ら三公・九卿・諸侯・大夫を帥いて以て秋を西郊に迎う。還り反りて、軍帥・武人を朝に賞す。天子乃ち将帥に命じて士を選び兵を厲(と)ぎ、桀俊を簡練し、有功に専任し、以て不義を征せしむ。暴慢を詰誅(きっちゅう)し、以て好悪を明らかにし、彼の遠方を順わしむ。是の月や、有司に命じて法制を脩め、囹圄を繕い、桎梏を具え、姦を禁止し、罪邪を慎み、搏執(はくしつ)に務めしむ。理に命じて傷を瞻(み)、創を察し、折を視、断を審らかにし、獄訟を決するに、必ず端平ならしむ。有罪を戮し、刑を断ずるを厳にす。天地始めて粛(しゅく)す、以て贏(えい)すべからず。是の月や、農乃ち穀を登らせ、天子新を嘗み、先ず寝廟に薦む。百官に命じて始めて収斂し、隄坊(ていぼう)を完くし、壅塞(ようそく)を謹み、以て水潦に備えしむ。宮室を脩め、牆垣(しょうえん)を坏(つちか)い、城郭を補う。是の月や、以て諸侯を封じ、大官を立つること毋かれ。以て地を割き、大使を行い、大幣を出だすこと毋かれ。
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呂氏春秋・仲秋①仲秋の月。日は角に在り、昏に牽牛中し、旦に觜嶲中す。其の日は庚辛、其の帝は少皞、其の神は蓐收、其の蟲は毛、其の音は商、律は南呂に中る。其の數は九、其の味は辛、其の臭は腥、其の祀は門、祭るには肝を先にす。涼風生じ、候鴈來たり、玄鳥歸り、群鳥、羞を養う。天子、總章の太廟に居り、戎路に乘り、白駱を駕し、白旂を載て、白衣を衣、白玉を服び、麻と犬とを食らう。其の器は廉にして以て深し。
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礼記・月令孟秋に冬の令を行えば、則ち陰気大いに勝ち、介虫(かいちゅう)穀を敗り、戎兵乃ち来たる。春の令を行えば、則ち其の国乃ち旱し、陽気復た還り、五穀実無し。夏の令を行えば、則ち国に火災多く、寒熱節ならず、民に瘧疾(ぎゃくしつ)多し。 仲秋の月、日は角(かく)に在り、昏に牽牛中し、旦に觜觿(しけい)中す。其の日は庚辛、其の帝は少暭、其の礼は蓐収。其の虫は毛。其の音は商、律は南呂(なんりょ)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。
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礼記・月令季秋の月、日は房(ぼう)に在り、昏に虚(きょ)中し、旦に柳中す。其の日は庚辛。其の帝は少暭、其の神は蓐収。其の虫は毛、其の音は商、律は無射(ぶえき)に中る。其の数は九。其の味は辛、其の臭は腥。其の祀りは門、祭るに肝を先にす。 鴻鴈来賓(らいひん)す。爵(すずめ)大水に入りて蛤(はまぐり)と為る。鞠(きく)に黄華有り、豺(さい)乃ち獣を祭り禽を戮(ころ)す。
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