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礼記 / 月令

是月也,命婦官染采,黼黻文章必以法故,無或差貸。黑黃倉赤,莫不質良,毋敢詐偽,以給郊廟祭祀之服,以為旗章,以別貴賤等給之度。 是月也,樹木方盛,乃命虞人入山行木,毋有斬伐。不可以興土功,不可以合諸侯,不可以起兵動眾,毋舉大事,以搖養氣。毋發令而待,以妨神農之事也。水潦盛昌,神農將持功,舉大事則有天殃。

新字:是月也,命婦官染采,黼黻文章必以法故,無或差貸。黒黄倉赤,莫不質良,毋敢詐偽,以給郊廟祭祀之服,以為旗章,以別貴賤等給之度。 是月也,樹木方盛,乃命虞人入山行木,毋有斬伐。不可以興土功,不可以合諸侯,不可以起兵動衆,毋舉大事,以揺養気。毋発令而待,以妨神農之事也。水潦盛昌,神農将持功,舉大事則有天殃。

書き下し

是の月や、婦官に命じて采(さい)を染めしむ。黼黻(ほふつ)文章は必ず法故を以てし、差貸(さとく)すること或る無からしむ。黒黄倉赤、質良ならざるは莫く、敢えて詐偽すること毋く、以て郊廟祭祀の服に給し、以て旗章を為り、以て貴賤等給の度を別つ。 是の月や、樹木方に盛んなり、乃ち虞人(ぐじん)に命じて山に入りて木を行(めぐ)らしめ、斬伐すること有る毋からしむ。以て土功を興すべからず、以て諸侯を合わすべからず、以て兵を起こし衆を動かすべからず、大事を挙げて、以て養気を揺るがすこと毋かれ。令を発して待つこと毋かれ、以て神農の事を妨ぐればなり。水潦盛昌にして、神農将に功を持せんとす、大事を挙ぐれば則ち天殃有り。

現代語訳

この月、婦官(染色をつかさどる女官)に命じて色糸を染めさせる。衣の模様である黼(白と黒の斧形の模様)や黻(黒と青の模様)などの文様は、必ず古くからの法式に従わせ、誤りや食い違いがないようにする。黒・黄・青・赤の色は、どれも質がよく正しくないものはなく、偽りごまかしをさせず、それを郊外の祭りや宗廟の祭祀の服にあて、旗やしるしを作り、身分の上下を区別する等級の基準とする。 この月、樹木がまさに盛んに茂るので、虞人(山林をつかさどる官)に命じて山に入って木を見回らせ、伐採させないようにする。土木工事を起こしてはならず、諸侯を会合させてはならず、兵を起こして民衆を動かしてはならず、大事業を起こして、万物を養い育てる気を揺るがしてはならない。前もって政令を出して民を待機させてはならない。それは神農(農業の神)のつかさどる農事を妨げるからである。長雨の水が盛んで、神農がまさに実りの功を成し遂げようとしている時に、大事業を起こせば天の災いがある。

解説

季夏に行う染色と、この月の禁令を述べる段である。婦官に命じて色糸を染めさせ、黼黻などの文様は必ず古来の法式に従わせ、色の質に偽りがないようにする。色と文様が社会の秩序を目に見える形で表すという考えで、『論語』で孔子が「紫の朱を奪うを悪む」と、正色が間色に乱されることを嫌ったのも同じ感覚に根ざしている。後半では、樹木が盛んに茂る時期であるから伐採を禁じ、土木工事・諸侯の会合・兵の動員などの大事業を起こさないよう命じる。とくに、前もって命令を出して民を待機させることさえ戒めるのは、農事の最も大切な時期に民の手を少しでも奪わないためである。相手の大切な時期には、実際に動かさなくても予定で縛ることすら負担になるという指摘は、繁忙期の部下や取引先への配慮として今もよく当てはまる。

この章句が説くこと

礼記月令服色農時配慮

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