礼記 / 月令
命有司為民祈祀山川百源,大雩帝,用盛樂。乃命百縣雩祀百辟卿士有益於民者,以祈穀實。 農乃登黍。是月也,天子乃以雛嘗黍,羞以含桃,先薦寢廟。 令民毋艾藍以染,毋燒灰,毋暴布。門閭毋閉,關市毋索。挺重囚,益其食。
新字:命有司為民祈祀山川百源,大雩帝,用盛楽。乃命百県雩祀百辟卿士有益於民者,以祈穀実。 農乃登黍。是月也,天子乃以雛嘗黍,羞以含桃,先薦寝廟。 令民毋艾藍以染,毋焼灰,毋暴布。門閭毋閉,関市毋索。挺重囚,益其食。
書き下し
有司に命じて民の為に山川百源を祈祀し、大いに帝に雩(う)し、盛楽を用いしむ。乃ち百県に命じて百辟卿士の民に益有りし者を雩祀し、以て穀実を祈らしむ。 農乃ち黍(きび)を登らせ、是の月や、天子乃ち雛(ひな)を以て黍を嘗み、羞(すす)むるに含桃(がんとう)を以てし、先ず寝廟に薦む。 民に令して藍(あい)を艾(か)りて以て染むること毋く、灰を焼くこと毋く、布を暴(さら)すこと毋からしむ。門閭(もんりょ)閉ずること毋く、関市(かんし)索(もと)むること毋し。重囚を挺(ゆる)め、其の食を益す。
現代語訳
役人に命じて、民のために山や川、あらゆる水源の神に祈りを捧げさせ、上帝に対して大いに雩(あまごい)の祭りを行い、盛大な音楽を用いる。また各県に命じて、かつて民に利益をもたらした諸侯や卿士を雨乞いの祭りで祀らせ、穀物の実りを祈らせる。 農民が黍を収穫すると、この月、天子は若鶏とともに黍を味わい、さらに含桃(ゆすらうめ)を添えて、まず寝廟に供える。 民に命じて、藍を刈って染め物をしてはならず、灰を焼いてはならず、布を日にさらしてはならないとする。村や里の門を閉ざしてはならず、関所や市場で荷を改めて取り立ててはならない。重罪の囚人の拘束をゆるめ、食事を増やしてやる。
解説
仲夏の雨乞いの大祭と、初物の供え、そしてこの月の禁令を述べる段である。雩は日照りを避けて雨を祈る祭りで、山川や水源の神に祈り、上帝に対して盛大な楽を用いて行う。『論語』で曾皙が「舞雩に風せん」と志を語る舞雩は、この雨乞いの祭りを行う壇のことである。黍がとれると若鶏とゆすらうめを添えて寝廟に供え、初物をまず祖先に捧げる。禁令のうち藍を刈らせないことについて、鄭玄は伸び育つ気を傷つけるためと注し、灰を焼かないのは盛んな火の気を損なうため、関市で荷を改めないのは陽気に従って物の流れを妨げないためと説明している。季節の勢いに逆らわず、ものの成長や人の往来を妨げないよう配慮するという姿勢は、規制や手続きのあり方を考える今日の行政や組織運営にも示唆を与える。
この章句が説くこと
礼記月令雩雨乞い舞雩
関連する章句
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礼記・月令天子は明堂の右个に居り、朱路に乗り、赤駵に駕し、赤旂を載せ、朱衣を衣、赤玉を服ぶ。菽と雞とを食らい、其の器は高くして以て粗いなり。 漁師に命じて蛟(こう)を伐ち鼉(だ)を取り、亀を登(たてまつ)り黿(げん)を取らしむ。沢人に命じて材葦(ざいい)を納めしむ。 是の月や、四監に命じて大いに百県の秩芻(ちつすう)を合わせ、以て犠牲を養わしむ。民に令して咸(みな)其の力を出ださざること無からしめ、以て皇天・上帝・名山・大川・四方の神に共(きょう)し、以て宗廟社稷の霊を祠り、以て民の為に福を祈る。
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呂氏春秋・仲夏②是の月や、樂師に命じて、鞀・鞞鼓を修め、琴瑟管簫を均え、干戚戈羽を執り、竽笙壎箎を調え、鍾磬柷敔を飭えしむ。有司に命じて、民の為に山川百原に祈祀し、大いに帝に雩するに、盛樂を用いしむ。乃ち百縣に命じて、雩して百辟卿士の民に益有りし者を祭祀して、以て穀實を祈らしむ。農は乃ち黍を登む。
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礼記・月令是の月や、祀るに犠牲を用いず、圭璧(けいへき)を用い、皮幣(ひへい)に更(か)う。 仲春に秋の令を行えば、則ち其の国大いに水あり、寒気揔(すべ)て至り、寇戎(こうじゅう)来たり征す。冬の令を行えば、則ち陽気勝たず、麦乃ち熟さず、民多く相掠(かす)む。夏の令を行えば、則ち国乃ち大いに旱(ひでり)し、煖気早く来たり、虫螟(ちゅうめい)害を為す。
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呂氏春秋・仲夏③是の月や、天子、雛を以て黍を嘗め、羞むるに含桃を以てし、先づ寢廟に薦む。民をして藍を刈りて以て染むること無く、炭を燒くこと無く、布を暴すこと無からしむ。門閭は閉づること無く、關市は索むること無からしむ。重囚を挺め、其の食を益す。游牝は其の群を別ち、則ち騰駒を縶ぎ、馬正を班ぐ。
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礼記・月令始めて雨水(うすい)あり、桃始めて華さき、倉庚(そうこう)鳴き、鷹化して鳩と為る。 天子は青陽の大廟に居り、鸞路に乗り、倉龍に駕し、青旂を載せ、青衣を衣、倉玉を服ぶ。麦と羊とを食らう。其の器は疏にして以て達す。是の月や、萌牙を安んじ、幼少を養い、諸孤を存(と)う。元日を択びて、民に命じて社(しゃ)せしむ。有司に命じて囹圄(れいご)を省(はぶ)き、桎梏(しっこく)を去り、肆掠(しりゃく)すること毋く、獄訟を止めしむ。
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礼記・月令司徒に命じて県鄙(けんぴ)を巡行し、農に命じて勉め作(な)さしめ、都に休むこと毋からしむ。是の月や、獣を駆りて五穀を害すること毋からしめ、大いに田猟すること毋かれ。農乃ち麦を登(みの)らせ、天子乃ち彘(ぶた)を以て麦を嘗(こころ)み、先ず寝廟に薦む。是の月や、百薬を聚畜す。靡草(びそう)死し、麦秋(ばくしゅう)至る。薄刑を断じ、小罪を決し、軽繫(けいけい)を出だす。蚕事畢(お)わり、后妃繭を献ず。乃ち繭税を収むるに、桑を以て均しきと為し、貴賤長幼一の如くし、以て郊廟の服に給す。
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