礼記 / 月令
乃命樂師習合禮樂。命太尉贊桀俊,遂賢良,舉長大,行爵出祿,必當其位。是月也,繼長增高,毋有壞墮,毋起土功,毋發大眾,毋伐大樹。是月也,天子始絺。命野虞出行田原,為天子勞農勸民,毋或失時。
新字:乃命楽師習合礼楽。命太尉賛桀俊,遂賢良,舉長大,行爵出禄,必当其位。是月也,継長增高,毋有壊堕,毋起土功,毋発大衆,毋伐大樹。是月也,天子始絺。命野虞出行田原,為天子労農勧民,毋或失時。
書き下し
乃ち楽師に命じて礼楽を習合せしむ。太尉(たいい)に命じて桀俊(けつしゅん)を賛(すす)め、賢良を遂げ、長大を挙げ、爵を行い禄を出だすこと、必ず其の位に当たらしむ。是の月や、長ずるを継ぎ高きを増し、壊堕(かいだ)すること有る毋く、土功を起こすこと毋く、大衆を発すること毋く、大樹を伐ること毋かれ。是の月や、天子始めて絺(ち)す。野虞に命じて出でて田原を行(めぐ)り、天子の為に農を労い民に勧め、或いは時を失うこと毋からしむ。
現代語訳
そこで楽師に命じて、礼と楽をあわせて習わせる。太尉(軍事をつかさどる長官)に命じて、才知の優れた者を推薦させ、賢く善良な者を登用し、背が高く体格の大きな者を取り立て、爵位を与え俸禄を出すときには、必ずその地位にふさわしいようにさせる。この月には、伸び育つものをさらに伸ばし、高くなるものをいっそう高くし、壊したり崩したりしてはならず、土木工事を起こしてはならず、大勢の民を動員してはならず、大木を伐ってはならない。この月、天子ははじめて葛の細布(絺)の衣を着る。野虞に命じて田野を巡らせ、天子に代わって農民をねぎらい、民を励まして、農時を失うことがないようにさせる。
解説
孟夏の人材登用と禁令を述べる段である。夏は万物が伸び育つ季節であるから、人の世でも優れた者を推し、賢良を進め、体格の大きな者を取り立てて、爵位と俸禄をその位にふさわしく与える。鄭玄はこれを、伸び育つ気を助けるためと注している。また鄭玄は、夏・殷・周の三王の官制には司馬はあっても太尉はなく、太尉は秦の官名であるとして、俗に周公が月令を作ったというのは古を知らない説だと述べている。月令の成立を考えるうえで重要な指摘である。続く禁令では、伸びるものをさらに伸ばし、壊したり崩したりせず、土木工事や大動員を控え、大木を伐らないよう求める。伸び盛りの人や事業には、壊したり負担をかけたりせず、ふさわしい位置と報いを与えて後押しせよという教えは、人を育てる立場の者に今も響く。
この章句が説くこと
礼記月令登用人材孟夏
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