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礼記 / 檀弓下

晉獻文子成室,晉大夫發焉。張老曰:「美哉輪焉,美哉奐焉!歌於斯,哭於斯,聚國族於斯。」文子曰:「武也得歌於斯,哭於斯,聚國族於斯,是全要領以從先大夫於九亰也。」北面再拜稽首。君子謂之善頌善禱。

新字:晋献文子成室,晋大夫発焉。張老曰:「美哉輪焉,美哉奐焉!歌於斯,哭於斯,聚国族於斯。」文子曰:「武也得歌於斯,哭於斯,聚国族於斯,是全要領以従先大夫於九亰也。」北面再拝稽首。君子謂之善頌善祷。

書き下し

晋の献文子(けんぶんし)室を成す。晋の大夫発(おく)る。張老曰く、「美なるかな輪(りん)たり、美なるかな奐(かん)たり。斯(ここ)に歌い、斯に哭し、国族を斯に聚めん」と。文子曰く、「武や斯に歌い、斯に哭し、国族を斯に聚むるを得ば、是れ要領(ようりょう)を全うして以て先大夫に九京(きゅうけい)に従うなり」と。北面して再拝稽首す。君子これを善く頌(しょう)し善く禱(いの)ると謂う。

現代語訳

晋の趙文子(名は武、晋の卿)が邸宅を完成させた。晋君がこれを祝い、晋の大夫たちも礼物を携えて祝いに出向いた。張老(晋の大夫)が言った。「なんと見事な、高くそびえることよ。なんと見事な、華やかに多く連なることよ。ここで祭りの歌を歌い、ここで喪に哭し、ここに一族を集められるのがよろしかろう」。文子は答えた。「私、武が、ここで歌い、ここで哭し、ここに一族を集めることができるならば、それは腰と首とを全うして、すなわち刑罰に遭うことなく天寿を終え、先祖の大夫たちのもと、九京(九原、晋の卿大夫の墓地)に従って葬られるということである」。そう言って北を向いて再拝し、頭を地につけて礼をした。君子はこれを、よく頌(ほ)め、よく禱(いの)ったものだと評した。

解説

趙文子(趙武)の新築祝いの場面である。鄭玄は、張老の「美なるかな」という讃辞には、邸宅の奢りを心中で譏る意が込められていると注する。張老は贅沢を正面から責めず、「ここで歌い、哭し、一族を集めよ」と、家の本来の用である祭祀・喪礼・宗族の集まりだけを挙げて、それ以上の用に供するなと言外に戒めたのである。文子はその含みを悟り、自らの名を名のって、刑罰に遭わずに祖先の墓地に葬られることができれば十分だと応じ、北面して稽首した。孔穎達の疏は、これを過ちを謝して諫めを受け容れる礼と読む。君子が「善く頌し善く禱る」と評したのは、張老の言が讃えつつ諫め、文子の言が慎みつつ祈ったからである。直言すれば角が立つ場面で、祝いの言葉に戒めを包む言い方と、それを聞き取る耳の両方がそろっている。成功を祝われたときほど、身を慎む言葉を返せる人でありたい。

この章句が説くこと

礼記檀弓諫言慎み善頌善祷

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