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礼記 / 檀弓下

帷殯,非古也,自敬姜之哭穆伯始也。

書き下し

殯に帷(い)するは、古(いにしえ)に非ざるなり、敬姜の穆伯を哭するより始まるなり。

現代語訳

殯(葬る前の柩)の前に帷(とばり)を垂らしておくのは、古の礼ではない。これは敬姜(けいきょう)が夫の穆伯(ぼくはく)を哭したときに始まったことである。

解説

わずか一句で、ある慣わしの起こりを記した段である。殯の前で朝夕に哭するとき、本来は帷を垂らさないのが礼であった。鄭玄は、穆伯は魯の大夫季悼子の子の公甫靖、敬姜はその妻で文伯歜の母であり、礼では朝夕に哭するとき帷をしないと注している。ところが敬姜は夫の殯の前で帷を垂らして哭し、それが後に広まって慣わしになった。敬姜は『国語』などにも、礼をわきまえた賢母として名高い人である。未亡人となった女性として、人目にさらされずに夫を悼みたいという慎みから帷を下ろしたのであろう。一人の人の真情から出た振る舞いが、やがて皆の作法になる。礼は天から降ってくるものではなく、誰かの心の動きがかたちとして定着したものだということを、この短い一文はよく示している。いま当たり前に行っている作法の多くにも、それぞれの始まりがある。

この章句が説くこと

礼記敬姜喪礼慣習檀弓下

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