礼記 / 檀弓下
妻之昆弟為父後者死,哭之適室,子為主,袒免哭踊,夫入門右,使人立于門外告來者,狎則入哭;父在,哭於妻之室;非為父後者,哭諸異室。 有殯,聞遠兄弟之喪,哭于側室;無側室,哭于門內之右;同國,則往哭之。
新字:妻之昆弟為父後者死,哭之適室,子為主,袒免哭踊,夫入門右,使人立于門外告来者,狎則入哭;父在,哭於妻之室;非為父後者,哭諸異室。 有殯,聞遠兄弟之喪,哭于側室;無側室,哭于門内之右;同国,則往哭之。
書き下し
妻の昆弟(こんてい)の父の後(のち)為る者死すれば、これを適室に哭し、子主と為り、袒免(たんぶん)して哭踊す。夫は門を入りて右し、人をして門外に立ちて来たる者に告げしめ、狎(な)るれば則ち入りて哭す。父在せば、妻の室に哭す。父の後為るに非ざる者は、諸(これ)を異室に哭す。 殯有るに、遠き兄弟の喪を聞けば、側室に哭す。側室無ければ、門内の右に哭す。同国なれば、則ち往きてこれを哭す。
現代語訳
妻の兄弟で、その父の跡継ぎである者が亡くなったときは、自分の家の正室(適室)で哭する。自分の子が喪主となり、袒免(たんぶん、肩をあらわにし髪を布で束ねる)して哭し、足を踏み鳴らす。夫は門を入って右側に立ち、人を門の外に立たせて弔いに来た者に事情を告げさせ、故人と親しかった者であれば中に入って哭させる。夫の父が存命であれば、妻の部屋で哭する。妻の兄弟が父の跡継ぎでない場合は、別の部屋で哭する。 家に殯があるときに遠縁の兄弟の喪を聞いたなら、脇の部屋で哭する。脇の部屋がなければ、門の内側の右で哭する。同じ国に住む者であれば、その家へ行って哭する。
解説
妻の実家の不幸や、喪が重なったときに、どこで誰が哭するかを定めた段である。妻の兄弟が実家の跡継ぎであれば、その死は妻の家系の断絶にも関わる重い出来事なので、正室で哭し、甥にあたる自分の子を喪主に立てる。夫自身は門の右に控えて弔問客の応対を人に任せ、故人と親しい者だけを入れる。婿は妻の家の喪では主役にならず、裏方に回るのである。父が存命なら妻の部屋で哭するのは、鄭玄の注によれば、私的な喪で尊い父を煩わせないためである。跡継ぎでない兄弟の場合は別室で足りるとして、ここでも家の継承の重みで扱いを変える。後半は、自家に殯があるときに別の訃報が届いた場合の哭する場所である。二つの悲しみを同じ場所で混ぜないという配慮が見える。配偶者の実家の葬儀で、自分がどこまで前に出るべきか迷う人は今も多い。立場をわきまえて一歩引きつつ、支える役に回るという身の置き方は参考になる。
この章句が説くこと
礼記喪礼姻戚親疎哭
関連する章句
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礼記・檀弓上叔孫武叔の母死す。既に小斂し、挙ぐる者戸を出ず。戸を出でて袒(たん)し、且つ其の冠を投じて、括髪す。子游曰く、「礼を知れり」と。 君を扶くるには、卜人(ぼくじん)の師右を扶け、射人の師左を扶く。君薨ずれば是を以て挙ぐ。 従母の夫、舅(きゅう)の妻、二夫人相為に服するは、君子未だこれを言わざるなり。或ひと曰く、同爨(どうさん)は緦(し)すと
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礼記・奔喪識る所の者弔わば、先ず家に哭して後に墓に之き、皆これが為に踊を成し、主人に従いて北面して踊す。凡そ喪は、父在れば父主と為る。父没すれば、兄弟同居するも、各おのその喪を主る。親同じければ、長者これを主る。同じからざれば、親しき者これを主る。 遠き兄弟の喪を聞き、既に喪を除きて後に喪を聞けば、免袒して踊を成す。賓を拝するには則ち左手を尚(たっと)ぶ。
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礼記・檀弓上喪服に、兄弟の子は猶子(ゆうし)のごときは、蓋し引きてこれを進むるなり。嫂叔(そうしゅく)の服無きは、蓋し推してこれを遠ざくるなり。姑(こ)・姊妹(しまい)の薄きは、蓋し我より受けてこれを厚くする者有ればなり。 喪有る者の側に食すれば、未だ嘗て飽かざるなり。 曾子客と門の側に立つ。其の徒趨りて出ず。曾子曰く、「爾将に何くにか之(ゆ)かんとする」と。曰く、「吾が父死す。将に出でて巷に哭せんとす」と。曰く、「反りて爾が次(やど)に哭せよ」と。曾子北面してこれを弔う。
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礼記・喪服小記器を陳ぬるの道は、多く之を陳ねて省きて之を納るるも可なり。省きて之を陳ねて尽く之を納るるも可なり。兄弟の喪に奔(はし)るには、先ず墓に之(ゆ)きて而る後に家に之き、位を為して哭す。知る所の喪には、則ち宮に哭して而る後に墓に之く。父は衆子の為に外に次(じ)せず。諸侯と兄弟たる者は斬を服す。下殤(かしょう)の小功は、帯は、澡麻(そうま)して本を絶たず、詘(くっ)して反し以て之を報(むす)ぶ。
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礼記・喪大記小斂には、主人戸内に位に即き、主婦東面し、乃ち斂す。斂を卒(お)うれば、主人これに馮(よ)りて踊し、主婦も亦これの如くす。主人袒(たん)して髦(ぼう)を説(ぬ)き、髪を括るに麻を以てし、婦人は髽(ざ)し、麻を房中に帯ぶ。帷(い)を徹し、男女尸を奉じて堂に夷(うつ)し、降りて拝す。君は寄公・国賓を拝し、大夫・士は卿大夫を位に拝し、士に於いては旁(あまね)く三拝す。夫人も亦寄公の夫人を堂上に拝し、大夫の内子・士の妻は特に拝し、命婦は泛(あまね)く衆賓を堂上に拝す。主人位に即き、襲(しゅう)して絰(てつ)を帯び踊す。母の喪には、位に即きて免(ぶん)し、乃ち奠(てん)す。弔う者は裘を襲い、武に絰を加え帯び、主人と拾(こもごも)踊す。君の喪には、虞人木・角を出だし、狄人壺を出だし、雍人鼎を出だし、司馬これを県け、乃ち官もて代わる代わる哭す。大夫は官もて代わる代わる哭して壺を県けず、士は代わる代わる哭して官を以てせず。君は堂上に二燭、下に二燭、大夫は堂上に一燭、下に二燭、士は堂上に一燭、下に一燭。賓出づれば帷を徹す。尸を堂上に哭するに、主人は東方に在り、外より来たる者は西方に在り、諸婦は南郷す。婦人は客を迎え客を送るに堂を下らず、堂を下れば哭せず。男子は寝門を出でて人を見れば哭せず。その女主無ければ、則ち男主女賓を寝門の内に拝し、その男主無ければ、則ち女主男賓を阼階(そかい)の下に拝す。子幼ければ、則ち衰(さい)を以てこれを抱き、人これが為に拝す。後たる者在らざれば、則ち爵有る者は辞し、爵無き者は人これが為に拝す。竟(さかい)の内に在れば則ちこれを俟ち、竟の外に在れば則ち殯葬して可なり。喪に後無きこと有るも、主無きこと無し。
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礼記・喪大記始めて卒すれば、主人は啼(な)き、兄弟は哭し、婦人は哭踊す。既に尸を正せば、子は東方に坐し、卿大夫・父兄・子姓は東方に立ち、有司・庶士は堂下に哭して北面す。夫人は西方に坐し、内命婦・姑姊妹・子姓は西方に立ち、外命婦は外宗を率いて堂上に哭して北面す。大夫の喪には、主人は東方に坐し、主婦は西方に坐し、その命夫・命婦有れば則ち坐し、無ければ則ち皆立つ。士の喪には、主人・父兄・子姓皆東方に坐し、主婦・姑姊妹・子姓皆西方に坐す。凡そ尸を室に哭する者は、主人二手もて衾(きん)を承けて哭す。
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