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礼記 / 檀弓上

陳莊子死,赴於魯,魯人欲勿哭,繆公召縣子而問焉。縣子曰:「古之大夫,束修之問不出竟,雖欲哭之,安得而哭之?今之大夫,交政于中國,雖欲勿哭,焉得而弗哭?且臣聞之,哭有二道:有愛而哭之,有畏而哭之。」公曰:「然,然則如之何而可?」縣子曰:「請哭諸異姓之廟。」於是與哭諸縣氏。

新字:陳荘子死,赴於魯,魯人欲勿哭,繆公召県子而問焉。県子曰:「古之大夫,束修之問不出竟,雖欲哭之,安得而哭之?今之大夫,交政于中国,雖欲勿哭,焉得而弗哭?且臣聞之,哭有二道:有愛而哭之,有畏而哭之。」公曰:「然,然則如之何而可?」県子曰:「請哭諸異姓之廟。」於是与哭諸県氏。

書き下し

陳荘子死し、魯に赴(ふ)す。魯人哭すること勿からんと欲す。繆公(ぼくこう)県子(けんし)を召してこれに問う。県子曰く、「古の大夫は、束修の問も竟(さかい)を出でず。これを哭せんと欲すと雖も、安んぞ得てこれを哭せん。今の大夫は、政を中国に交う。哭すること勿からんと欲すと雖も、焉んぞ得て哭せざらん。且(か)つ且つ臣これを聞く、哭に二道有り。愛して哭する有り、畏れて哭する有り」と。公曰く、「然り。然らば則ち如何にして可ならん」と。県子曰く、「請う諸を異姓の廟に哭せん」と。是に於いて与(とも)に諸を県氏に哭す。

現代語訳

斉の陳荘子(大夫)が死に、その訃報が魯に届いた。魯の人々は哭さないでおこうと考えた。魯の繆公は県子(魯の人)を呼んで相談した。県子は言った。「昔の大夫は、干し肉ひと束の贈り物さえ国境の外とはやりとりしませんでした。ですから他国の君が哭そうと思っても、哭する理由がなかったのです。今の大夫は、中原の諸国と政を交えています。哭さないでおこうと思っても、哭さないわけにはいかないでしょう。それに私はこう聞いています。哭には二つの道がある。愛して哭するものと、畏れて哭するものとがある、と」。公は言った。「なるほど。それではどうすればよいか」。県子は言った。「どうか異姓の家の廟で哭してください」。そこで公は県氏の廟でともに哭した。

解説

鄭玄は、国君には隣国の大夫を哭する礼がないと注し、陳荘子を斉の大夫陳恒の孫とする。県子は、古の大夫は国外と私的な交わりを持たなかったから、そもそも他国の君が哭する理由がなかったが、今の大夫は国の政を左右し諸侯と交わっていると指摘する。鄭玄はこれを、君が弱く臣が強くなり政が大夫に移った時勢を言ったものと注す。そのうえで「哭に二道有り、愛して哭する有り、畏れて哭する有り」と述べ、斉で実権を握る陳氏を畏れての哭もありうると示した。とはいえ、公の廟で哭するのは礼に反するので、県子は異姓の廟で哭することを提案し、公は県氏の廟で哭した。建前と現実の力関係の間で、どこまで礼を曲げ、どこで筋を残すかという判断は、取引先や他部署との付き合いでも避けて通れない。

この章句が説くこと

礼記弔問外交県子建前

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