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礼記 / 曲礼下

大饗不問卜,不饒富。 凡摯,天子鬯,諸侯圭,卿羔,大夫雁,士雉,庶人之摯匹;童子委摯而退。野外、軍中無摯,以纓、拾、矢,可也。婦人之摯,椇、榛、脯、脩、棗、栗。 納女於天子曰「備百姓」,於國君曰「備酒漿」,於大夫曰「備埽灑」。

新字:大饗不問卜,不饒富。 凡摯,天子鬯,諸侯圭,卿羔,大夫雁,士雉,庶人之摯匹;童子委摯而退。野外、軍中無摯,以纓、拾、矢,可也。婦人之摯,椇、榛、脯、脩、棗、栗。 納女於天子曰「備百姓」,於国君曰「備酒漿」,於大夫曰「備埽灑」。

書き下し

大饗(たいきょう)には卜を問わず、富を饒(ゆた)かにせず。 凡そ摰(し)は、天子は鬯(ちょう)、諸侯は圭、卿は羔(こう)、大夫は雁、士は雉、庶人の摰は匹(ひつ)なり。童子は摰を委(お)きて退く。野外・軍中には摰無し、纓(えい)・拾(しょう)・矢を以てして可なり。婦人の摰は、椇(く)・榛(しん)・脯(ほ)・脩(しゅう)・棗(なつめ)・栗なり。 女を天子に納るるには「百姓に備う」と曰い、国君には「酒漿に備う」と曰い、大夫には「埽灑(そうさい)に備う」と曰う。

現代語訳

大饗(明堂で五帝をあわせて祭る大祭)では、個々に卜いを立てることはせず、供え物を礼の定め以上に多くしない。 およそ人に会うときに持参する摯(手みやげ)は、天子は鬯(香草で香りをつけた酒)、諸侯は圭(玉の礼器)、卿は子羊、大夫は雁、士は雉、庶人の摯は匹(鶩、あひる)である。童子(元服前の者)は摯を置いて退き、主人と直接やりとりしない。野外や軍中では定まった摯はなく、馬の胸繋や射韝(弓を射るときの籠手)や矢を用いてよい。婦人の摯は、枳椇(けんぽなし)の実・榛の実・干し肉・味付けした干し肉・棗・栗である。 娘を嫁がせるとき、天子に対しては「百姓(多くの子孫)をお備えするために」といい、国君に対しては「酒や飲み物の支度にお備えするために」といい、大夫に対しては「掃除のお役にお備えするために」という。

解説

大祭の心得、人に会うときの贈り物である摯、娘を嫁がせるときの口上という三つの事柄を並べる段である。大饗について鄭玄は、明堂で五帝を祭るもので卜いを一々立てず、「富」は備えの意で、備わればよく礼より多くしないと注している。摯は初めて会う相手への礼物で、身分ごとに品が定まる。童子が摯を置いて退くのは、まだ成人として主人と礼を交わす立場にないからである。野外や軍中では手近な武具で代えてよく、形式に固執しない柔軟さも示される。最後の嫁入りの口上は、相手の家の務めに仕えるためと言い表す謙りのことばで、鄭玄は、壻が親迎しない場合に女の家が人をやって送り届けるときの辞と注す。手みやげ一つにも関係の結び方が表れるという感覚は、今の贈答にも生きている。

この章句が説くこと

礼記贈答婚礼摯身分

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